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魔眼の幻創術師 ~勇者パーティに見捨てられた三流幻術師は真の力に目覚めて世界を翻弄する~  作者: 結城 からく


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第78話 煮え滾る世界

 それからの日々も、ひたすら戦争に費やす。

 激化していく世界に適応していくには、こちらも戦力を強化していくしかなかった。

 各地の情報を集めながら兵士を募り、時には現地に出向いて鼓舞する。

 英雄だった過去の経験を用いて、戦況の把握と制御に努めた。


 総じて地道な行動だった。

 その気になれば、どんなことでもできる。

 幻創魔術があるのだから当然だ。

 何もかもが自由自在である。


 しかし、それでは駄目なのだ。

 俺だけが活躍するのではまるで意味がない。

 自己満足で力を振りかざすのは、箱庭の玩具で遊ぶ子供と同じだろう。

 俺はそこから脱却せねばなるまい。


 国という一つの大きな単位で何かを成すことに意味があるのだ。

 突出した存在の力が全てを左右するのならば、魔王が管理する世界と何ら変わらないだろう。


 俺は人間の力を信じている。

 全面的に彼らの味方というわけではないが、思わぬ可能性を生み出すことを知っていた。

 俺だってその一人だ。

 元々は役立たずの三流幻術師だったはずなのに、今ではこうして魔王となっている。


 だから他の人間もきっとできる。

 俺やノアは、あくまでも世界を動かすきっかけに過ぎない。

 今後、過度な動きは控えていきたい。

 魔王になった時点で大きく干渉はしているものの、これについては必要な措置だと考えている。


 現在、王国内における俺とノアの評価は賛否両論であった。

 様々な意見が出てきているが、反乱などの動きにはまだ繋がっていない。

 いくらなんでも、複数の魔王を倒した存在に牙を剥くのは命知らずであると誰もが分かっているのだ。


 しかし、虎視眈々と俺の玉座を狙っている者が確実にいる。

 個人的にはそれで構わないと思っている。

 なんなら反対派の誰かにこの立場を譲り渡してもいい。


 元々、魔王という存在自体に否定的なのだ。

 だから人間の王が増えていくことには基本的には賛成である。

 ただし、それも方向性によっては考え直さなくてはならなかった。


 俺は人間の醜さを知っている。

 魔王の必要性も知っている。

 五年前より広い視野を持ち、様々な見聞を経てきたのだ。


 魔族を倒して何もかもを人間に託せば、万事解決というわけでもない。

 その辺りの調整は、都度考えて行わなければならないだろう。


 魔王であるルイスを黙認しているのも同様の理由に尽きる。

 俺は奴の王としての素質に世界の未来を見出した。

 そこらの人間の王よりよほど気高く、物事を俯瞰して捉えられている。

 魔王という前提を取っ払って、個人としてルイズを評しているのだ。


 現在のルイズはゴーレムを使った戦争を展開し、次々と傘下を加えながら同時に防衛網の構築を進めている。

 しっかりと民のことを考えている証拠である。

 昔はとにかく侵略戦争ばかりを繰り返していたのだから大きな進歩だろう。


 今のところルイズの勢力と敵対するつもりはない。

 特に示し合わせたつもりはないが、暗黙的に共闘していた。

 互いに力を蓄えつつ、今後の世界に必要のない魔王や他の勢力を削って行く予定だ。


 その中には元勇者の国も含まれている。

 個人的な感情や因縁もあるが、あいつを放っておけないのは事実である。

 着々と支配領域を広げて、良からぬことを考えている。


 ここらで食い止めるべきだ。

 そろそろ直接対決に持ち込む盤面だろう。

 俺はそう考えていた。

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