第63話 進化する怨念
裁きの魔王を無力化した俺は、残る幹部達をまとめて始末する。
青炎の斬撃で畳みかけるだけなので簡単だ。
多少の反撃を受けたが、別にどうということはない。
俺は幻創魔術で魂を白い部屋に保管している。
そのため基本的に不死身なのだ。
肉体の欠損も幻で補える以上、精神的に折れない限りは負けることがなかった。
そうして幹部達を全滅させた後、彼らの持つ力を余さず不浄剣で吸い取る。
不浄剣が脈動し、内包された力がさらに禍々しくなった。
犠牲者を増やすほどにその怨念が蓄積しているようだ。
一人でも多くを道連れにするために性能を高めているのである。
倫理的には悪循環だが、武器としては最高だろう。
今のままでも強いというのに、さらなる成長を見せてくれるのだから。
それと同時に不浄剣の雰囲気が変わったので、魔眼で解釈を少しずらしてみる。
すると不浄剣は、青炎を帯びた黒い大盾になった。
どうやら変形できるようになったようだ。
大盾は聖騎士が愛用していた防具である。
その特性を引き出せるようになったらしい。
(なぜこんな機能が追加されたんだ?)
俺は大盾を調べながら首を傾げる。
武器として使いこなせるようになってきた影響か。
それとも幹部達の力を吸収し、潜在的な性能が解放されたのか。
或いは不浄剣に対する俺自身の印象が変わったことで、大盾に変形できる視点を見つけたのかもしれない。
何にしても嬉しい発見だった。
これで使い道がさらに増えたことになる。
他にも何か変形できないか検証したところ、よく分からない金属塊になったり、そもそも形を保てないことばかりだった。
ちゃんとした武具は、剣と大盾のみのようだ。
これが今の俺の限界になる。
とは言え、悲観はしない。
攻防一体で使えると分かっただけでも収穫だろう。
戦闘面で基本的に困ることはなくなった。
まだまだ使い続けるつもりなので、今後のさらなる進化に期待しようと思う。
それにしても、変形機能が備わった不浄剣は果たして剣なのか。
最初が剣だっただけで、真の姿は何か分からない。
呼び名を変える必要がある気もするが、ひとまずは保留でいいだろう。
別に名前など便宜的なものだ。
本質は別の部分に宿る。
もっとも、その本質でさえ俺の幻創魔術は歪めていくのだが。
不浄剣の性能を調べるつもりが、大盾になる機能を増やしてしまった。
詳しい力が気になるものの、ひとまず帰還すべきだろう。
ノアとルイズが待っているはずだ。
俺は大地に巨大な転移扉を創り出す。
そして、裁きの魔王が統治していたこの都市を丸ごと白い空間に収めた。
もし『面白かった』『続きが気になる』と思っていただけましたら、下記の評価ボタンを押して応援してもらえますと嬉しいです。




