第60話 侵入者の剣舞
宮殿に近付いていくと、前方から人型のゴーレムが殺到してきた。
見える範囲だけでも百体は下るまい。
魔力感知によると、まだまだ増援がいるようだった。
ゴーレムはこの街の住人である。
裁きの魔王の傀儡で、魔術で擬似的な命を与えられて活動していた。
外敵を排除するための設備の一つという位置づけにある。
この街には、魔王本人と幹部の他にはゴーレムしかいない。
裁きの魔王は他者を信頼しない気質なのだ。
だから生きた住民を受け入れようとせず、ひたすら排除してきたらしい。
一方で己の能力に絶対的な自信があるからこそ、こうした極端な環境を続けているのだろう。
(さて、そろそろ仕掛けるか)
迫るゴーレムの軍勢を前に俺は考える。
普段なら幻創魔術で一掃するところだが、今こそ新たな武器を試す時だ。
大まかな使い方は把握しているし、存分に振るっていこうと思う。
俺は不浄剣を横薙ぎに一閃させる。
青炎の斬撃が地を這うように滑空し、ゴーレムを連続で切断して燃やしていった。
今の一振りで数十体は破壊できた。
しかもゴーレムを破壊したことで、剣に宿る魔力が増えている。
どうやら切り付けた相手から魔力を奪うことができるようだ。
森での試し切りでは感じなかったので、敵対的な存在を倒すことでしか魔力を奪えないのかもしれない。
少し特殊な条件だが、この剣ならばありえそうである。
きっと不浄剣はさらなる犠牲者を求めている。
一つでも多くの命を道連れにしようとしていた。
聖騎士とリエアとルイズの人格が混合し、不浄剣としての自我が芽生えつつあるのではないか。
魔眼の視点をずらすと、それらしき怨嗟と憎悪の声が剣から聞こえてきた。
今は鬱陶しいので遮断しておく。
「これはいいな」
俺は高速で青炎を撒き散らしながら笑う。
内包された怨嗟はともかく、破壊力が高いので爽快感が抜群だった。
ゴーレムは搭載した武器や魔術で反撃してくるも、俺にとっては些細な抵抗に過ぎない。
そもそも辺りに散らばる青炎が攻撃を防いでくれるため、迎撃に意識を割く必要があまりなかった。
攻防一体の青炎の特性は、リエアの戦法を上手く継承した証拠であった。
時折、刺突による闇槍も打ち込んでおく。
もちろんゴーレムが耐えられるはずもなく、一瞬の抵抗もできずに貫通していった。
あまり加減をしていないせいで、街の外壁まで到達してしまう。
直線状の無関係な建物が崩落した。
まあ、一般人がいない都市なので気にしなくてもいいだろう。
ゴーレムが人間らしく暮らしているとは思えない。
街並みは魔王が見下ろして満足するためだけの代物だと思われる。
だからこそ見せつけるのだ。
これだけ騒ぎを起こせば、向こうから出向いてくれるはずである。
俺の来訪をしっかりと伝えていこうじゃないか。
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