第59話 不浄剣の力
幻創魔術で攻撃的な形になった以上、不浄剣には相応の力がある。
仮に壊したとしても何ら困らないのも良い。
俺は気軽な気持ちで不浄剣に魔力を込める。
すると、刃が灰色の光を帯びた。
なんとなく聖騎士を彷彿とさせる。
剣という形状は聖騎士の要素だ。
二人の魔王と混ざりながらも個性を出してくるのだから、さすがは英雄である。
相容れない性格だったものの、その素質は本物だったのだろう。
俺は森の木々に向けて不浄剣を振るう。
横薙ぎの斬撃は、青い炎となって拡散し、軌道上の木々を燃やして切り倒していく。
「ほう、なかなかの威力だ」
感心する間に燃えた木々から被害が広がる。
ひとまず幻創魔術で消火をして、青い炎の消滅を確認する。
そこで俺は斬撃による破壊の痕跡を調べ始めた。
斬撃は扇状に森を破壊しており、それなりの距離まで被害が及んでいた。
ちょっとした弓よりも遠くを攻撃できるようだ。
ただし多量の魔力を消費するため、他人に貸しても真価は発揮できそうにない。
魔力量を誤魔化せる俺だから扱える。
その後も不浄剣を適当に振り回してみると、途中で青炎の代わりに闇の槍が放たれた。
条件が分からなかったので何度か試した結果、その仕組みが判明する。
どうやら不浄剣は刺突で闇の槍を発射するらしい。
青炎のように広範囲を焼き払えるわけではないが、こちらは貫通力が高い。
射程も斬撃の数倍はあった。
青炎と闇槍はどちらも強力な能力だ。
ただし、乱戦での使用には適していない。
魔力の制御次第で加減はできるものの、味方に当ててしまいそうだった。
(まあ、十分な性能だな。実戦でも使えそうだ)
俺はそう結論付ける。
不浄剣は期待を超える力を秘めている。
今後も役立ってくれそうだ。
とは言え、このまま検証を終えるのは物足りない。
まだ森を破壊しただけだ。
有効性は把握できたものの、やはり実際に戦いの中で使ってみないと分からないこともある。
俺は不浄剣を片手に転移扉を生成した。
扉の先に広がるのは、白を基調とした街と宮殿だ。
ここは"裁き"の魔王が支配する土地である。
リエアの離反に続けて独立した幹部の一人で、現在は戦争から遠のいて隠居生活中だった。
しかし、裏では未だに人間を使って策略を張り巡らせている。
その所業は国王の記憶で把握済みなので間違いない。
リエアの時は三人で派手に乗り込んだが、今回は単独でいこうと思う。
生け捕りにすれば、ルイズが文句を言うこともないだろう。
一人で納得した俺は宮殿を目指して歩き出した。




