第56話 再利用の案
状況を悟ったリエアは、籠の中で崩れ落ちる。
彼はすぐさま懇願し始めた。
「ま、待ってくれ! 悪かった! 何が必要だ。五年で培ったコネがある。なんでも用意してやるよっ!」
命乞いする姿はとても醜い。
ノアなどは露骨に嫌悪して顔を逸らしていた。
もはや直視に耐えないということだろう。
それとは対照的に、ルイズは真正面からリエアを注視していた。
彼は冷淡な口調で述べる。
「一つ用意してほしいものがある」
「え、遠慮なく言ってくれ! 絶対に用意してやるよっ!」
リエアが鉄格子を掴みながら応じる。
救いの光明が見えたことで、それに縋り付こうとしていた。
刹那、籠の外から侵入した漆黒の槍がリエアの額を貫く。
そこから巧みな挙動を描いて首を刎ねてみせた。
籠の中に頭部が転がる。
首から上を失った胴体は、夥しい量の血を噴き上げながら倒れた。
槍を引き抜いたルイズは静かに呟く。
「――貴様の死だ」
リエアは死亡した。
世界有数の強力な魔王は、幻創魔術で無力な鳥となって死んだ。
あまりにもあっけない最期だったが、こればかりは幻ではない。
「終わったな」
「まだだ。青炎を殺しただけに過ぎない。離反した配下はまだ何人もいる」
ルイズは微塵も気を緩めていない。
その目はさらに先の戦いを見つめていた。
俺は籠を解除する。
そしてリエアの死体を漁り始めた。
隣から覗き込むノアが怪訝そうに尋ねる。
「レード。何をしているのだ?」
「核を摘出している」
俺は死体から結晶を抉り出した。
それはリエアの魔王としての要素を物体化した物である。
概念的な存在なので、幻創魔術で無理やり生み出したのだ。
核の内部では青炎が揺らいでいる。
ここにはリエアの血や魂や魔力が詰め込まれていた。
色々と使い道があると思うので、しっかりと回収しておく。
ついでに籠も元の魔力に戻して核で吸い取っておいた。
続けて俺は転移扉を生成して開く。
その先にも白い空間が広がっていた。
中央には少し錆びた金属球が浮かんでいる。
それはかつて聖騎士だった物体だ。
つまり扉の先は、尋問に使った白い空間だった。
扉を抜けようとしたところで、またもやノアが尋ねてくる。
「な、何をするつもりなのだ……?」
「実験だ。命を有効活用する」
俺は結晶を握りながら微笑した。
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