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魔眼の幻創術師 ~勇者パーティに見捨てられた三流幻術師は真の力に目覚めて世界を翻弄する~  作者: 結城 からく


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第24話 折れる心と復讐心

 聖騎士を無力化したところで、ノアが俺に問いかける。


「どうするのだ、レード。こいつを捕まえたとしても移動が不便すぎるぞ。やはり強行突破するか。我が元の姿で兵士どもを吹き飛ばしてもいい」


「いや、その必要はない。使えそうな発想を閃いたんだ」


 俺が魔眼を一瞬だけ解放して、路地裏の壁に木製の扉を設けた。

 一見すると何の変哲もない古びた扉である。

 魔力的な反応も感じないだろう。


 ノアがじっくりと観察して首を傾げた。


「この扉は何だ?」


「空間の狭間に繋がる境界線だ。仮に転移扉と名付けようか。今回はこいつで離脱する」


 俺は聖騎士の腕を掴んだ。

 拘束用の蔦が地面から分離し、聖騎士の四肢を完全に封じ込める。

 その間に扉を開けて、先に続く闇へと身を投じた。

 ノアも恐る恐るついてくる。


 扉の先に広がるのは何もない白い部屋であった。

 すぐさま異常を察知したらしく、ノアが辺りを見回しながら騒ぐ。


「おおっ、何だ!? 部屋の外から一切の魔力を感じないぞ!?」


「よく分かったな。ここは幻創魔術の構築する疑似空間だ。外なんて存在しないから魔力も感じない。そして物理的な繋がりがないからこそ、どこにでも繋げることができる」


「うぬぅ……よく分からないがすごそうだ」


「ようするに無制限な転移魔術だ」


「レードは天才だなッ!」


 小難しい説明を省くと、ノアがしきりに称賛してきた。

 なんとなく察していたが、彼女は魔術的な理論や知識をほとんど持ち合わせていないらしい。

 長く生きる竜は頭脳明晰で物知りだったりするが、ノアはまだ若い部類なのだろう。

 或いは本人の性格的に勉強が苦手なのかもしれない。

 何にしても上手く伝わってよかった。


 転移門とそれに続く白い部屋は、幻創魔術の新たな領域である。

 他と断絶されたこの空間は、物理的な距離を無視する特性を有している。

 出入り口の扉を開ける際に行き先を念じるだけでそこに通じるのだ。

 行ったことのない場所に移動するのは難しいだろうが、それでも便利なことには違いない。


(王都まで来るのに時間がかかったが、今後は苦労もしなさそうだ)


 移動に適した幻を思い付かなかったせいで難儀してしまったが、これで悩みは解消した。

 発想力が弱いと幻創魔術を活かせないので、今後はその辺りの鍛練も行いたいと思う。

 常識に囚われない柔軟な発想が重要なのだ。

 とりあえず転移門の完成によって、術の段階は上がったと思われる。


 俺は開いたままの扉を閉める。

 外から聞こえた兵士達の喧騒がぴたりと止まった。


「これで王都からも断絶された」


 俺は部屋の中心に聖騎士を置いて眺める。

 今やその顔には不安と怯えが見れ隠れしていた。


「さて、尋問を始めるか」


 本来は移動用に使う白い部屋だが、今回は尋問用に使おうと思う。

 誰からも邪魔されないので好都合だろう。

 幻創魔術で構成されているので壊れる心配もない。


 俺は土に変換されつつあった聖騎士の体内を元通りにする。

 顔色が露骨に良くなったが、表情は暗いままだった。

 聖騎士は掠れた声で言う。


「お前、本当にあのレードか? 能力が違いすぎるだろ! まさか当時は力を隠して――」


 余計なことを喋る聖騎士の頬にナイフを刺す。

 柄を捻って傷口を抉ると、血が勢いよく湧き出してきた。


「ぐおおおおおあああああああぁぁっ!?」


「隠していたんじゃない。この五年で習得したんだ。死に物狂いでな」


 俺は憎悪に塗れながら言う。

 自分の精神が闇へ傾いていくのを自覚しつつも、それを止められなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] さて、聖騎士()の末路は……。 [一言] 続きも楽しみにしています!
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