第39話 『獄炎の咆哮/沃土の凱歌』
〜前回の仮面ライダーラグナロクは〜
日本全土へと一斉に襲来した、超強化を施されたゾロアスターの邪神たち。
単独での戦いを余儀なくされたイザナギたちは苦戦を強いられる。だが、決して諦めることはせず、自分たちの持てる力を絞り出し、小さな一歩ではあるが、確実に勝利が見えつつあった…。
――福岡、博多・中洲エリア。
超高速の残像を引くポダルゲーと、グレンデルの巨軀から放たれる質量暴力。その猛攻の嵐の中で、ルドラは、静かに不敵な笑みを浮かべていた。
(幾つか神力が減った…?位置的に、黒瀬と氷室と永倉か、)
「俺も、負けてられないな」
“ヒュドラ、ローディング。仮面ライダールドラ WITH ヒュドラ”
「この猛毒からは、決して逃れることはできない」
ルドラは一点集中で、確実に感染させる為に、まずはポダルゲーに向かって猛毒を載せた突風を喰らわせる。ルドラの固有能力のことを知らないポダルゲーは構わずルドラの周囲を走り回る。
「ふっ、ただ風の色を変えただけの、虚仮威しかァ??」
ポダルゲーは、またルドラに向かってスピードにより威力の上がった蹴りを喰らわせようと突進する。だが、ルドラはそこから一歩たりとも動かず、風杖ケーリュケイオンに疾風之宝珠を装填する。
「虚仮威し? いいや、必殺だ…」
次の瞬間、ポダルゲーはその場に蹲り、喀血する。
「な!?なんだ…これは…!?」
「『病源旋風』俺の風に載った猛毒を一度でも浴びれば、その時点で感染は免れない。……ましてやお前のように、自ら風を切って走り回ればどうなるか、言うまでもないだろう」
風杖から解き放たれる不吉な輝き。
「虚仮威しの風か、あるいは命を刈り取る毒針か――その身で確かめろ」
動きの止まったポダルゲーと、動揺するグレンデルへ向かって、ルドラの容赦のない追撃が炸裂する。
“疾風ノ聖刃”
――同時刻、兵庫、神戸・メリケンパーク。
ガルグイユの放つ高熱と鉄砲水、ギガースの圧倒的な質量。ナーイアスもまた、仲間の勝利の波動を受け取っていた。
「さっすが、希愛、よおーし、私も続くよ!!」
“トリトン、ローディング。仮面ライダーナーイアス WITH トリトン”
ーー次の瞬間ーー
「消え……た!? どこへ行った!?」
ギガースが巨大な拳を叩きつけた場所には、もう誰もいない。
ガルグイユが撒き散らした大量の鉄砲水によって、石畳には無数の「水溜まり」が出来上がっていた。波浪之宝珠の能力――そこに水があれば、どんなに小さな水溜まりであろうとも、その中へ自在に潜り込み、気配ごと潜伏する。
「こっちよ」
ガルグイユの足元にできた小さな水溜まり。その水面が不自然に波立った直後、ナーイアスが完全に死角から飛び出し、自身の頭上に飛び現れた。
“導軌ノ刻、流水ノ聖刃”
☆ ☆ ☆
――大阪、道頓堀・心斎橋。
アレスとディオスクーロイの頑強な盾と、実質不死身の連撃。インドラの脚は尋常じゃない程のスピードに限界を迎えており、悲鳴が上がりつつあった。
「〜〜〜っっぅうゔーー!!!いっーーたくないよーー!!ぜーんぜん!痛くない!!よしっ!!」
(炎堂君じゃないけど、こういうのはプラシーボでどうにかなる!!)
「ギア、上げていこうか!」
“ヘルメース、ローディング。仮面ライダーインドラ WITH ヘルメース”
「さあ!迅速に祓うよ!」
瞬間、インドラの姿はそこには無かった。
「なっ……どこへ消えた!」
アレスが巨大な盾を構え、周囲を鋭く睨みつける。だが、その網膜が捉えられる速度を、ヘルメースフォームの「迅速」は遥かに超越していた。
キィィィン――と空間が引き裂かれるような高周波の雷鳴。
アレスが気づいた時には、その背後、頭上、死角から、無数の青白い雷光の軌跡が同時に奔走していた。
「ここだよ!」
ガギィィィン!!! と激しい火花が散る。
インドラが狙うのは、戦闘開始から執拗に、何十発、何百発とピンポイントで叩き込み続けていた、アレスの身体の『一点』。
「無駄だ! 私の身体の硬度は貴様の攻撃など――」
「いいや、無駄じゃない。水滴だって、毎日同じ場所に落ちれば岩に穴をあける。……ましてや俺のは雷だからね!」
迅速の連撃が、再びその一点へとミリ単位の狂いもなく収束する。限界を超えた疲労と熱量がアレスの身体に限界を迎えさせ――次の瞬間、パキィィンと甲高い音を立てて、頑強を誇った身体にひびが入り、砕け散った。
「なにっ――」
「これで、イケるかな?」
インドラは雷杵ヴァジュラに雷鳴之宝珠を装填する。
“導軌ノ刻、雷鳴ノ聖刃”
――同時刻、神奈川、横浜みなとみらい。
知恵と戦争の神アテナが率いる、フィアナ騎士団の圧倒的な物量。アラマズドは、数多の槍や刃を冷静に捌きながら、前線から一歩も引かずに立ち塞がっていた。
「全く、確かお前たち騎士団は全員同時に斃さなきゃいけないんだったよな?」
「そうだが、それが分かっていたところでだろう。お前一人で我々騎士団の全員を斃せるとは思えんぞ」
騎士団の数は八人。今のアラマズドの実力では、精々三人が限界といったところだろう。
「確かにな。でも、俺にはこいつがある」
そう言って、アラマズドが取り出したのは傀儡之宝珠だった。
“ヘラ、導軌ノ刻。傀儡ノ聖刃”
光槍トリアイナから発せられた傀儡の呪法を完全に浴びてしまったフィアナ騎士団。だが、その力が如何なるものなのかを知らない騎士団たちは、何もダメージも入っていないぞ、と完全に舐め切っていた。
「どうした、アラマズド。遂に攻撃力も落ちたのか?」
「ふっ、いいや、こっからがヘラの真骨頂だ」
アラマズドが指パッチンをした瞬間、騎士団たちの身体が言うことを聞かなくなる。
「な……にっ!? 身体が、動かん……!」
「さて、騎士団…いや、我が傀儡達よ、アテナを拘束しろ」
その指示が出た瞬間、八人の騎士団はアテナを標的として飛び掛かり、その場に力任せに留める。
「な、なんだと!?」
身内の裏切りに驚愕し、必死に抗うアテナ。だが、神の呪縛に縛られた八人の肉壁はビクともしない。
「ようし、これは広範囲技で通常技より神力の消費が増えるからアレなんだが、仕留められる可能性はこっちのが高い」
アラマズドはドライバーにある宝珠を二回起動させる。
“聖裁ノ刻”
「この世に光を灯すのは、俺だ」
“光輝ノ聖罰”
次の瞬間、アテナを中心とした場所に頭上から強い光が降り落ちた。
「全員、消え去れ!!」
神聖な光の柱がみなとみらいの海を照らし出し、絶叫とともにアテナとフィアナ騎士団の身体を完全に消滅、爆散させた。
とりあえず一息つけるとアラマズドは変身を解除しようとドライバーにある宝珠を取ろうとした次の瞬間、途轍もない程の圧を感じ取った。それは、他日本各地に散らばったイザナギ全員も同じだった。
「な、まさかこれは、黒瀬くんの予想通り幹部の登場って訳か…」
アラマズドは直ぐに神力の出所を感じ取ろうと日本全体に意識を向ける。
(どこだ…。今の所、気配としては自分の担当として撃破が完了してるのは俺だけなのは間違いない。雷牙は脚の限界があるから、大阪に向かうべきか? いや、一人で六体を相手をした上に、一番近くの黒瀬くんのもとに向かうべきか…?)
「……悩んでいる暇はないが、ここはやはり何処に誰が来たかで動くべきか…。幹部内で最も警戒すべきはヴリトラか…。下手をすればアフリマンが来る可能性も考えられる」
その懸念は、最悪の形で現実へと変わる。
突如として、日本全土の霊脈が引き裂かれるような、悍ましい神力の奔流が本国を震わせた。
みなとみらいの海を見つめるアラマズドの網膜の奥に、そして日本各地で死線を潜り抜けたイザナギたちの肌に、同時に「終わり」の予感が叩きつけられる。
絶望の引き鉄は、北の大地から順番に、瞬く間に日本列島を南下していった。
――北海道、札幌・大通公園
ハスターを斃し、勢いに乗ってラクタヴィージャを全て冰付けにしようと吹雪之宝珠でウルフォームに変身していたフレイヤの下に艶かしく笑う調教家が姿を見せた。
「久しぶりね、フレイヤ」
「キルケー…」
――兵庫、神戸・メリケンパーク。
ギガースをトリトンの力で翻弄していたナーイアスの頭上から、空間を直接殴りつけるような純粋な暴虐の衝撃波が降り注いだ。
「何をちょこまかと水溜まりに隠れているんですか?」
更なる純粋暴力の化身――格闘家。その拳が放つ気圧の壁に、ナーイアスは水溜まりから放り出される。
――大阪、道頓堀。
アレスの盾を砕き、辛うじて勝利を掴みかけたインドラの前に、黒い邪気が溢れ出した。
「よう、インドラ」
限界を迎えたインドラの網膜に、幹部内でも最凶の硬度と質量を誇る怪物。すべてを圧殺する武闘家が現れた。
――福岡、博多・中洲エリア。
グレンデルを『病源旋風』の猛毒で追い詰めていたルドラの背後。博多の夜景を塗り潰すように、一つの神力が爆発した。その正体はゾロアスター内で唯一の切れ者、策略家だった。
「早くグレンデルを斃して、インドラのもとに向かいたいのだろう?させないぞ」
「相変わらず性格の悪い奴だ」
そして――日本全土を駆け巡った絶望の波は、すべての中心地へと収束する。
――東京、新宿。
瓦礫の山と化した大都市の中心。六体の邪神を相手した直後のラグナロクの前に、そいつは姿を再び見せた。
「またやられに来たのかよ、アフリマン」
「ふはははは、随分と舐めてくれるな、ラグナロク。残念だが、その逆だ。貴様を潰す」
絶対悪、アフリマン。その実力は初めて相手をした時よりも遥かに強くなっていた。
「いいぜ、やってみろよ」
完全に詰みかけた日本地図。
全ての都市が同時に、幹部と絶対悪という名の死神にロックオンされた瞬間だった。
☆ ☆ ☆
――静岡県、秋葉山本宮秋葉神社
「オレがお前に唯一求めるものは、お前の覚悟だ。……そうだ、聞かせてみろ。お前が今よりも強くなるための力を欲する理由を、その覚悟を」
通路の真ん中に着地したヒノカグツチの言葉は、どこか軽妙でありながらも、炎堂の魂の奥底を直接灼き焦がすような絶対的な圧を孕んでいた。
炎堂は、自身の胸に当てられた黒瀬の拳の熱を、まだはっきりと覚えていた。
『お前が強いからだよ、炎堂。……お前なら、最短最速で俺たちの元へ、最高戦力として帰還できる』
あの言葉は、ただの慰めじゃない。自分たちを信じてくれているからこそ、3箇所もの戦場を引き受けた親友の覚悟だ。
「……理由は、一つだけだ」
炎堂は、溢れ出そうになる焦燥をすべて、腹の底の「熱」へと変えて笑ってみせた。
「俺はもう、目の前で人が死ぬところなんか見たくねえんだ!ゾロアスターの好き勝手にさせて、この世界を終わらせるなんてのは、絶対に御免だ。……けど、」
一歩、炎堂が石畳を踏み締める。その足元から、パチパチと爆ぜる火花が、ヒノカグツチの放つ霊気を押し返し始めた。
「それ以上に……あいつに、黒瀬にさ! これ以上、全部一人で背負い込ませてたまるかってんだよ!!」
「ほう……」
「あいつはいつもそうだ! 自分ばっかりボロボロになって、俺たちのために死線に立ちやがる! あいつが俺を『強い』って信じてくれたなら、俺はその信頼の100倍強くなって、今度は俺があいつの前に立って護ってやる! それが、俺の、炎堂武尊の覚悟だァァ!!」
吠えた瞬間、炎堂の全身から、紅蓮の劫火が天を突くように噴き上がった。
それを見たヒノカグツチは、ニィッと牙を見せて獰猛に笑う。
「――合格だ。その歪みのねえ熱量、火の神として気に入った。往け、仮面ライダーアドラヌスよ!お前の炎で、すべての悪を灼き尽くしてこい!」
☆ ☆ ☆
――愛媛県、大山祇神社
「どうした? 私に何か用でもあるのではないのか?」
オオヤマツミの、厳格にして絶対的な一言。
脳が勝手に「重力」を錯覚し、骨の髄まで押し潰されそうになる。その様をオオヤマツミはただ腕を組んだまま、すべてを透かすような静かな瞳で彼女を見下ろしていた。そしてゆっくりとその口を開く。
「お前はかつて、身内が理不尽に消された様を見たことがあるな」
「――ッ!?」
静かに放たれたその言葉に、草壁の心臓が跳ね上がった。
「だからこそ、お前は常に『中道』に身を置く。組織にも情にも流されず、ただ有利な方に着くと嘯きながら、嵐が過ぎ去るのを待つ。……己の命を護るために、冷徹な仮面を被っているな」
「……そうよ、悪い? 私は賢く生き残りたいだけ。無謀な正義感で死ぬなんて馬鹿らしいわ……!」
草壁の脳内に、あの日の、齢七つのときの記憶が蘇る。あの日はたしか、雨が降っていた。
――ポツポツと、お気に入りの傘を叩く雨音。
小学校からの帰り道、遠くから聞こえた激しい金属音と地鳴りに引かれ、幼い美土里は引き寄せられるように足を進めてしまった。
路地裏の突き当たりで見つけたのは、ボロボロになって倒れている、大好きだった父親の姿。
「お父さん……?」
駆け寄ろうとした小さな身体が、冷徹な一言に凍りついた。
『戦闘直後の消耗、並びに変身解除後に乗じた、上層部への叛逆者の処分を完了した。これより、名誉ある殉職として隠蔽処理に入る』
親の亡き骸の傍らに立っていたのは、傘も差さずに冷酷な目を光らせる、当時のイザナギ上層部の大人たちだった。
「愚かな奴だ。一度にならず二度までも叛逆を企てるとはな」
「そのくせ、一度厳重注意をした際にアレだけの啖呵を切ったくせに警戒もせずに変身を解いてしまうのですからな」
冷たい雨のなかに、冷酷な笑いが飛び交う。
逆らえば、身内の誰かが、跡形もなく消される。父に関しては二度目なためか、本人が消された。
正義や情なんて、何の役にも立たない。ただ理不尽に踏み潰されるだけだ。
恐怖で声も出せず、ただ雨の中でガタガタと震えながら、七歳の美土里は「中道」に隠れて息を潜めることだけを覚えた。誰の味方もしない、誰にも深入りしない。それが、あの日泥塗れになった親の遺志を、そして自分の命を護るために、子供ながらに編み出した唯一の処世術だった。
「随分と苦しい生き方だな」
オオヤマツミの声は、七歳の雨音をすべて掻き消すように、静かに、けれど圧倒的な重みを持って草壁の鼓膜を震わせた。
「……なにがよ。私はただ、賢く立ち回ってきただけ。あんな腐った大人たちに付き合って、犬死にするのを避けただけよ。どこにも属さないでいるのが、一番安全なんだから……!」
草壁はあの日以来、誰にも見せたことがなかった涙を流す。拳は血が滲む程に強く握りしめて、身体は震えている。
「情に流されれば死ぬ……! 正義を気取れば足元を掬われる……! そんなの、あの雨の日に嫌っていうほど分かったわよ! だから私は、誰も信じない、誰の味方もしないって決めたの! 私の生き方の何が悪いっていうのよ……ッ!!」
生身の彼女の瞳から、大粒の涙が堰を切ったように溢れ出し、石畳を濡らす。
いつも一歩引いて、年長者として微笑んでいた彼女の、それが初めて剥き出しにした「本音」の叫びだった。悔しくて、悲しくて、誰も失いたくなくて、ずっと一人で耐えてきた七歳の頃からの孤独な叫び。
「――否。お前が被るその仮面は、己を護るためではない。お前以外の者を、これ以上失わぬための壁だ」
「え……?」
「誰にも流されぬ中道に立つことで、お前は周囲の均衡バランスを保とうとしてきた。無謀に走る者をいなし、暴走する者を冷徹に見守る。……それこそが、お前自身すら気づいていぬ、お前なりの『優しさ』の形ではないか」
――ガツン、と頭を殴られたような衝撃が草壁を貫いた。
どこにも属さない。そう言って周囲と距離を置いていたスタンスの正体を、目の前の神は、彼女本人よりも正しく理解していた。
復讐なんて毛頭考えていない。ただ、もうこれ以上、身内が泥に塗れて理不尽に死んでいく姿を見たくなかった。後輩たちが運命に引き裂かれて涙を流すのを、冷めた位置から、必死に引き止め、護りたかっただけだ。
中道を歩んでいたのは、冷酷だからじゃない。誰よりも、みんなを失うのが怖かったからだ。
「…ほんと、なんなのよ。最高神ってのは、プライバシーとかないわけ…?」
オオヤマツミは何も言わず、ただその厳格な瞳で、涙を流す草壁を静かに見つめ返していた。肯定も否定もせず、ただ彼女のすべてを受け止めるかのような、大地の深い沈黙。
その沈黙に、草壁は小さく息を吐き出すと、手の甲で一度だけ手荒く涙を拭った。
そして次の瞬間には、いつもの、いや、今までで一番気高くキリッとした表情を整えて、まっすぐに顔を上げた。その瞳からは、迷いも、かつて彼女を縛っていた過去の呪縛も、完全に消え去っている。
「……私はもう、過去にも組織にも、何にも縛られない。私は私の信じる道を歩むわ。――目的は、あの頃から何も変わってない。私のすべてを懸けて、仲間を護り抜く! それだけよ!!」
ギチィィッ!! と、骨が軋む音を無視して、草壁は大山津見神の正面へと力強く一歩を踏み出した。生身の足で、脳が錯覚していた擬似重圧を完全に踏み砕く。
「だから……私に貸して!!」
ドォン!!!
草壁の覚悟に呼応するように、神域の全空域を支配していた圧迫感が、爆発するように霧散した。
オオヤマツミが、初めてその重い瞼を開く。その厳格な瞳に、草壁の魂の「真の重み」を認めたかのような、深い感嘆の色が浮かんでいた。
「……見事なり。己が身を省みず、中道にて他者を護らんとするその不屈。……我が力、お前に託そう」
ほぼ同時刻に二つの場所で二つの力がイザナギに力を貸した。
「待ってろよ、みんな!」 「みんな、今行くから」
各式神に飛び乗り、二人は連絡を取りながら行くべき場所に向かった。
☆ ☆ ☆
〜炎堂と草壁が最高神に認められる数十分前〜
日本全土が、幹部たちの圧倒的な神力によって地獄絵図と化していた。だが、仮面ライダーたちは、ただ圧し潰されるだけの存在ではない。
――北海道、札幌・大通公園
ラクタヴィージャの分身に苦戦を強いられていたフレイヤは最強フォームであるツゲノイナギに変身していた。
冰剣レーヴァテインと冰弓アルテミスの二つを使い、ラクタヴィージャの核そのものを凍らせていた。つい先程までは順調だった、幹部の一人、キルケーが来るまでは…。
「同じ冰同士で戦わせてやろう。行きなさい、フェンリル」
「アンタの相手はうちの子に任せるわよ」
フレイヤは冰狼を召喚する。
「そう来ましたか。でも、私の使役する子はフェンリルのみではない事は分かっているでしょう」
キルケーは続けざまにアイトーンとケルベロスを召喚する。
「これらを全て貴女の固有能力“心体凍結”で凍らすのは神力の消費が激しいでしょうね」
「当たってる分に腹が立つわね。でも舐めないで、私は絶対に負けない」
フレイヤは冰の神とは相反する熱い闘志を見せる。その場にもう一人の神が現れる。
「熱いところ申し訳ないが、」
それは超強化のフォームに変身していたアラマズドだった。フレイヤは「朝日奈さん!どうして此処に!?」と驚く。
「まあ色々だ。そんな事より氷室、今すぐ大阪に向かうんだ。おそらくだが、雷牙が危ない」
「鳴上先輩が…?もしかして、ヴリトラが…?」
「ああ、それに脚も限界に近いはずだ。直ぐに治癒を施しに行ってくれ」
アラマズドの必死さは声の震えと息の荒々しさの両方から感じ取れた。
「分かりました、冰狼は置いていくので使ってください」
「ああ、助かるよ」
フレイヤは転移之渦で大阪に向かう。
同じ頃、兵庫のメリケンパークではナーイアスが『ミヅハノメ』に変身し、ギガースを圧倒していたが、突如空間を割って現れた幹部・格闘家ビアーの格闘技術によって水膜を粉砕され、絶体絶命の窮地に陥っていた。
また福岡でも、限界を迎えたルドラの前に幹部・策略家ファフニールが立ち塞がり、イザナギの戦線は完全に崩壊しかけていた――。
――しかし、絶望の時計の針が、今まさに「現在」へと重なる。
☆ ☆ ☆
――兵庫県、神戸・メリケンパーク(現在)
「なかなか耐えましたが、ここまでですね、ナーイアス。トドメです」
ビアーが容赦のないトドメの拳を振り下ろす。ナーイアスが恐怖に目を瞑った――その時。
ガアッ!!!
「次元の違う獄炎の咆哮」が空から聴こえ、上空から途轍もないほどの炎が垂直落下した。
「――待たせたな、水崎! 交代だッ!!」
爆炎の中から現れたのは、式神から飛び降り、最高神ヒノカグツチの力をその手にした炎堂武尊だった。
「来ましたね、アドラヌスよ。待っていましたよ」
「おう!そうか!なら今直ぐ魅せてやるよ!この俺の、いや、俺とヒノカグツチ…。俺たちの新しい力をよ!!」
“ヒノカグツチ、ローディング”
炎堂は酸素と共に気合いを身体に取り入れる。
「すうぅぅぅ……。ウオオオオオォォォォォォ!!!変身!!!!」
“The divine hellfire reduces even disaster itself to nothingness.(神聖なる獄炎は災厄そのものすらも虚無へと帰す。)仮面ライダーアドラヌス WITH ヒノカグツチ”
それはこれまでの焔火をも遥かに凌駕する、純度100%の神聖なる獄炎の鎧。炎堂の身体を包み込んだ真の最高神の力が、辺り一帯を炎で包み上げる。
――同時刻、福岡
「ここで確実に、お前の首を貰う」
ファフニールがルドラへ冷酷な刃を向けたその瞬間、地鳴りとともに「沃土」の障壁がせり上がった。
土煙を払いながら、涙を拭ってキリッとした顔を上げた草壁が、迷いなく『沃土之宝珠』を装填する。
“オオヤマツミ、ローディング”
「迷いを振り切った私は…超絶に強いから!」
草壁は凛とした瞳でファフニールを見据え、静かに、けれど揺るぎない決意を込めて言い放つ。
「――変身」
“The absolute fertile soil encompasses all existence and endures any malicious despair.(絶対的な沃土はあらゆる存在を包摂し、如何なる悪意の絶望をも耐え凌ぐ。)仮面ライダーヨルズ WITH オオヤマツミ”
草壁の身体を重厚な鎧が覆いこみ、ファフニールは一瞬ではあったが、圧倒され一歩二歩後退りしてしまう。
――東京・新宿
「ーーっ、」
ラグナロクは数十分間、アフリマンと一進一退の攻防を繰り広げていた。
「……なるほど、3〜4割程ってところまで回復してるみたいだな」
「そんな事を調べて何になると言うのだ…?」
「別に。ただの興味だ。答えは出たから、蹴りをつけさせてもらうぞ」
“クレイジェスト、ローディング”
「変身」
“仮面ライダーラグナロク WITH クレイジェスト”
“万路終焉=夜叉鴉”
ラグナロクは鞘から刀を抜き、その刃先を再びアフリマンに向けて突き付ける。
――兵庫県、神戸・メリケンパーク
「オラオラオラーー!!」
アドラヌスは灼拳を左右二つに持ち、ビアーに向かって殴りかかる。ビアーはその勢いに、少しばかり劣勢になる。
(本当に、凄まじい成長速度だこと)
「なに逃げてんだよ!!わるいが今回は逃がさないぜ、俺らがこの手で確実に仕留めるからな」
ビアーは、前回の戦い(28話『陰る三日月』)のことを思い出した。
「そういえば、そんな借りがありましたね。逃げることを不安に思っているのであれば、それは杞憂ですよ」
次の瞬間、ビアーから発せられる覇気が変わる。それはまさしく闘気。その熱に、アドラヌスは敏感に反応する。
「いいなー、激アツだ!!」
二人の拳が再び激しくぶつかり合う。その戦場を疲労し切ったナーイアスは変身を解除して見守る。
「……ほんと、筋肉バカね」
☆ ☆ ☆
――同時刻、福岡。
神戸の「熱」とは対照的に、こちらの戦場を支配しているのは、底の見えない絶対的な「重圧」だった。
「……くっ、これがオオヤマツミの重みか……!」
策略家ファフニールが、その端正な顔を屈辱に歪ませて大槌『ミョルニル』を構えるヨルズを睨みつける。
ヨルズがただそこに佇んでいるだけで、大地から発せられる不可視の質量圧がファフニールを強引に圧し潰し、その足をその場にへと縫い留めていた。
「あら、逃げないの?前に私たちに宝珠を取り返された時には颯爽と逃げていたじゃない」
ヨルズは以前にラグナロクを利用して自分たちから宝珠を略奪させた(32話『救いの光/殺意に埋まる満天の月』)時の出来事を使い、とことん煽る。
「おのれ…この、小娘が…!!」
ファフニールは怒りに我を忘れたのか、狙いを定めない光弾を無作為に放つ。
「あのヤロ、街中に被害を出す気か!!草壁さん!光弾は俺が風でどうにか…」
ルドラは神力、体力ともに消費し切った身体を起こそうとするが、それをヨルズは片手で静止する。
「全部任せなさい」
ヨルズは大槌の頭部を地面に叩きつける。すると地面全体にヨルズの神力が流れ込み土製の巨壁が出来上がり、全ての光弾を受け止める。
「冷静さを欠くなんて、策略家って名前も、随分と落ちたわね」
☆ ☆ ☆
――同時刻、大阪
武闘家ヴリトラの振るう、長杖を縦横無尽に操る苛烈な連撃。さらにその長杖から放たれる凶悪な蛇の幻影が、式神のごとく死角から牙を剥く。
「インドラ!逃げずに俺とちゃんと戦え!!」
「ーーっ、だーかーらー!脚が痛いんだよ!!」
インドラは攻撃はおろか、防御もせずに式神である黄鹿に跨り、逃げに徹していた。
(あー、これでも一度死ぬ前よりはマシなのがインドラの力のヤバいところだよ。黒瀬くんめ、完全錬成で俺の身体を構築する時に、何か細工をしたな? にしても、父さんの「鳴上家当主は早期引退だ」って理由が漸く分かったよ…って、)
「そんなこと考えてる場合じゃないよねぇぇぇ!!ぎゃあアアァァァ!!黄鹿ゥゥゥ、お前に俺の命が懸かってるからなァァァ!!」
本気なのかネタなのかも分からない悲鳴に呆れながらも、一人の女神が、その戦場に舞い降りる。
「随分と情けないですね、鳴上先輩」
「うぇ?あ、氷室!?なんでここに…」
「朝日奈さんに頼まれたんです。キルケーの相手はお任せしてきました」
フレイヤは素早く冰の礫を混ぜた吹雪をヴリトラに放ち、冰で拘束する。
「ーーっ、こんな拘束…」
フレイヤは直ぐにインドラの下に駆け寄る。
「長くは保ちません。直ぐに治癒を施します」
「ああ、助かるよ」
フレイヤから治癒の神法を受けたインドラは数秒後に回復し、立ち上がると何度かその場で軽くジャンプをする。
「よし!ありがとう氷室、助かったよ」
「いえ、問題ないで…す…」
「氷室!」
インドラへの治癒が完了すると、フレイヤはその場に強制変身解除と共に倒れ込む。
「相当な無茶をしたんだね…?相手はラクタヴィージャだったかな?」
「…はい、ちょっと凍らすのに苦戦しました…」
「そうか、。黄鹿、氷室をイザナギに運んでおいてくれ」
インドラは氷室を黄鹿の背中に乗せてイザナギに向かわせた。すると、フレイヤの神法が弱まったのか、ヴリトラは冰の拘束を内側から破壊する。
「はっ!!やっと、本気で戦えるようだな」
「…ああ、やってやるよ。後輩が無理してまで俺にこの場を託してくれたんだからな」
先程までの情けなさは何処へやら、インドラは覚醒之聖堂を取り出して変身する。
“インドラ、フォシュターク、ローディング”
「変身」
“仮面ライダーインドラ WITH フォシュターク”
「戦いにおいて最も強力な武器は…スピードだ。追いつけない絶望ってやつを…教えてやるよ、ヴリトラ。さっさとかかって来い」
その身から発せられる雷電は、文字通りヴリトラの戦闘意欲を刺激させた。
「ああ、言われなくともだ」
☆ ☆ ☆
――東京・新宿
ラグナロクとアフリマンは特に変わらず戦闘が続いていた。ラグナロクはクレイジェストの能力の一つ、最狂之指輪を使ってのライダー選択からの各ライダーの固有武器を召喚して少しばかり優位を保っていた。
“ヨルズ、ミョルニル”
大槌を振り上げてからの、アフリマンの鳩尾目掛けての一撃。
“アドラヌス、ヤールングローヴィ”
灼拳から発せられる炎でのパワー増強の一撃を何発も同じ箇所に殴り付ける。
「カハッ!!」
「どうした、アフリマン。こんなものなのか?絶対悪の名を冠するにしては、些か弱すぎる気がしてくるな。それとも、俺が強すぎるのか?」
「初代にはクレイジェストの力は無かっただろうしな」とラグナロクはアフリマンに対して憐れみの言葉をぶつける。
「舐めるなよ、若造が。これは決して言い訳ではない、紛れもない事実だ。私が完全復活を遂げれば貴様など一瞬で木っ端微塵だ!!」
次の瞬間、アフリマンは全身に神力を纏う。シンプルな肉体強化を行なったのだ。
(神力の量からして、さっきまでの3...いや、5倍か…?)
ラグナロクは夜叉鴉の切っ先を向けて防御の態勢を取る。が、それは無意味に終わる。既にアフリマンは自身の左に回っており、その拳を振るっていた。
「終わりだ、ラグナロク」
「……しまっ、」
☆ ☆ ☆
――福岡
ファフニールは怒りと焦りで頭が回らず、その上にその場から動けずにいた。
「貴方はこれで終わりよ」
“加護ノ刻”
「サッサと土に還りなさい」
“沃土ノ洗礼”
ヨルズの足元から土の柱が現れ、ヨルズはその高台から飛び降り、岩石に覆われたライダーキックをファフニールに放つ。
「グオアアアアァァァ!!!」
かなりの大ダメージが入ったことだろう。だが、策略家はしぶとかった。動けないのであれば、引っ張ってくればいい。自身の神力から雑魚兵を生み出して、盾にしたのだ。
「、、なんて狡猾だこと」
「ふっ、そう簡単にやられる訳にはいかぬのだよ。ここは退かせてもらうぞ」
「は?ちょっと待ちなさ…」
ファフニールは龍の幻影を召喚してどこかに向かう。その方角は東だった。
「東の方角…。まさか、ビアーとかに参戦するつもり!?」
ヨルズは急いで式神の灰熊を召喚しようとするが、神力の消耗が激しく強制変身解除してしまう。
「くっ、これが、最高神の力なの…?」
「草壁さん!」
涼風は草壁に駆け寄る。
「大丈夫です、あいつらを信じましょう」
「そうね、」
――兵庫県・神戸
アドラヌスは、ヒノカグツチの純度100%の獄炎をヤールングローヴィに滾らせ、ビアーの覇気ごと、その肉体を真っ向から撃ち抜いた。
「くぅっ!!」
ビアーは後ろに転がされる。
「一気に決めるぜ!」
アドラヌスはヤールングローヴィに獄炎之宝珠を装填する。
“導軌ノ刻”
「俺の更なる成長の為の、糧となれ」
“獄炎ノ聖刃”
放つ際に生じる向かい風が、その火力を更に高めて行き、ビアーに辿り着く頃には純度200%の炎の拳になっていた。
「……カハッ!……見事ですよ…アドラヌス」
「これに倒れねえお前もな」
「ふっ…。もう動くことは叶いません、完全にトドメを刺しなさい」
「! ああ、分かった」
アドラヌスは獄炎之宝珠をドライバーに戻して、ライダーキックを放とうとすると、上空から何かが来る気配がした。
「炎堂!!避けて!!」
水崎の言葉に反応したアドラヌスは直ぐに10数メートル離れる。やって来たのは龍の幻影に乗ったファフニールだった。
「ファフニール!!あのヤローー!!テメー!真拳勝負に水を刺してんじゃねーー!!」
「こっから声なんて届かないわよ、諦めましょう…」
「…っ、。まあ、そうだな、」
☆ ☆ ☆
そして、兵庫から大阪は目と鼻の先、ファフニールはヴリトラも回収しようとしていた。何故なら時刻は夕方。そう、ヴリトラの絶対防御のバリアが解除される5分間である。
その戦いはおそらくラグナロクでも捉えられるか分からないものだった。動けば動くほど速くなっていくインドラと戦いが長くなればなる程に相手の速さに順応していく武闘家ヴリトラ。
「決めさせてもらうぞ、ヴリトラ!」
インドラは走りながら宝珠を起動する。
「来い!インドラァァァ!!」
“加護ノ刻”
「迅速に祓うぞ」
“霹靂ノ洗礼”
雷電を纏った一撃のラッシュをヴリトラは全て拳で撃ち返すが、インドラはステップで直ぐに跳ね返り、また一撃を喰らわす。その速さは既に言葉では表せないだろう。
(もうこれ以上は保たない、これで決める)
一瞬、インドラの蹴りのが速かった。ヴリトラもそれは分かっていた。
(これだ、この『死』を感じる瞬間を俺は待っていた。さあ、俺を殺してみろ!インドラ!!)
だが、組織に属した以上、運命は残酷である。コンマ0.00001秒ほどか、ファフニールは既にヴリトラを掴んでいた。
「「は???」」
両者とも同じことを思った。
「おい!ファフニール!ざけんな!!何故邪魔をした!!」
「貴重な戦力を失うわけにはいかないのでな」
「おまえ…今直ぐ降ろせ!こっからが面白いところ…」
「無駄だ。既に5分経ってしまった頃だろう」
ヴリトラはバリアに意識を向けると、確かに張られていた。
「〜〜〜っ、、クソがァァァ!!!」
それはインドラも同じだった。
「ファフニールのやつ、巫山戯た真似を…」
ーー北海道・札幌
「ハァハァハァ…」
(白竜は限界に近く、冰狼は消えた。たぶん氷室が気を失ったんだろうな、)
「なかなか健闘していましたけど、どうやらここまでみたいですね」
キルケーは鞭をアラマズドの首に巻き付ける。
「その首級をイザナギにでも送りつけてあげましょうか」
「……こっの、悪趣味が。誰が喜ぶんだよ」
「私が悦ぶんですよ。アイツらの絶望した顔を見てね」
今にもアラマズドがやられる、その同時刻、東京でもラグナロクがやられる瞬間だった。
☆ ☆ ☆
「終わりだ、ラグナロク」
「……しまっ、」
アフリマンの拳が目の前に来た、その刻、ラグナロクの固有能力“絶対攻略”がクレイジェストを解析し、もう一つの力を見つけ出した。
(ああ、当然使うさ)
ラグナロクはドライバーにある最狂之宝珠を起動せずに回転させる。
“混沌之門”
その能力と共にラグナロクとアフリマンの拳の間に現れたのは、なんとウォルトゥムヌスだった。
「なに!?なぜウォルトゥムヌスが!?私はコイツを復活させてなどおらんぞ!?」
「ああ、そりゃあそうだろうな。コイツを復活させたのは紛れもなく、俺だ。ちょうど盾にするには使い勝手がいいしな」
ウォルトゥムヌスの爆散と共に二人は距離を取る。その隙にラグナロクは再び混沌之門を北海道で発動させる。
☆ ☆ ☆
「言い残すことはあるかしら?」
「伝える気なんか更々ないだろ?」
「ええ、もちろん♪」
キルケーは鞭の柄を握りしめて、一気に斬首しようとする。その時に、すぐそこに混沌之門が開いたのだ。出てきたのは速さに定評のあるポダルゲーだった。ポダルゲーは一瞬でアラマズドを救出する。
「なっ、何をするんですか?!ポダルゲー!」
(意識がない?いや、この神力は、まさか創り出したのはラグナロクなのか…?)
「今は考えるだけ無駄ね」
キルケーはアイトーンに乗ってその場から飛び去って行く。
アラマズドはポダルゲーからゆっくりと地面に降ろされる。
「ラグナロクの神力…?」
(いったい、黒瀬くんの身に何が起きているんだ…?)
☆ ☆ ☆
「!」
(朝日奈さんの救出には成功したか。他の場所でも戦いは終わってる)
「どうやら、残りの戦場は此処だけみたいだな。決めさせてもらうぞ、アフリマン」
「どこまでも舐め腐った若僧だな!」
アフリマンは全身に神力を纏って突進してくる。ラグナロクは魔剣ダーインスレイヴを取り出して、終焉之宝珠を装填する。また、夜叉鴉の方には最狂之宝珠を装填する。
“祓魔ノ刻
「華々しく、散れ」
“終焉・最狂}ノ一閃”
二つの白銀の斬撃が、アフリマンの身体を袈裟斬りにした。
アフリマンは斬り裂かれた面を境に爆散した。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
ラグナロクは強制変身解除される。
(やべ、さすがに、ちかづき、)
意識が保たずその場に倒れそうになると、聞き馴染みのある声が聞こえた。
「廻!!」
それはザハークとクトゥグアとの戦いで極度の脱水に陥り、勝利の後に気を失っていた永倉だった。
「…月夜か。わりぃ、俺、今日はもう動けねえ」
「いいよ、僕が運ぶから」
今日、この日の戦いはイザナギは辛勝に終わり、ゾロアスターには手痛い結果となった。
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【仮面ライダーアドラヌスに関する現在公開可能な情報】
『獄炎之宝珠』
身長215cm 体重110kg パンチ力105t キック力135t ジャンプ力55m(ひとっ飛び)走力2.6秒(100m)
【仮面ライダーヨルズに関する現在公開可能な情報】
『沃土之宝珠』
身長202cm 体重110kg パンチ力99t キック力125t ジャンプ力52m(ひとっ飛び)走力3.0秒(100m)
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次回予告
日本全土の大決戦から一週間、玉帝学園では球技大会が開催されていた。
束の間の日常に笑い合う仲間たちだが、その裏では、黒瀬の放った異質の力『混沌之門』への懸念が渦巻いていた。
そんな中、さらなる強さを求める鳴上と涼風は、最高神の試練へと旅立つ。
その裏で、黒瀬は朝日奈の計らいにより、再び氷室千鶴と話す機会を得る。
第40話:雨雫もまた虚色
仮面ライダーラグナロク第39話『獄炎の咆哮/沃土の凱歌』を読んで頂きありがとうございます。柊叶です。
えー、今回はとんでもなく長くなりました。放送する時にはOPはカットかな?というぐらいには長くなりました。
今回の見どころといえば、なんといってもアドラヌスとヨルズの最強フォームですね。最後の方にラグナロクの新たな力の顕現もありましたが、次回の見どころのためのものなので、今回は炎堂と草壁を祝福してください。
それではまた、次回でお会いしましょう。
柊叶




