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巫女は海を守りたい〜愛が溢れるヒーラー物語  作者: 紫陽花
第8章 変わりゆく時代
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エピローグ シーシェルの巫女物語

むかしむかし、

小さな海に囲まれた小さな島がありました。


そこには、海が大好きな《シェル》と言う名のお姫様がおりました。


シェル姫は、毎日、浜に行って、蟹やヤドカリや、波打ち際にくる小さなお魚たちと遊んでいました。


シェル姫が、5歳になった日に、海に行くと、傷ついたクジラが波打ち際に、打ち上げられていました。


「まあ大変、クジラさん、大丈夫ですか。」


「よその国の人にモリを打たれて、、」


「まあ、なんという事でしょう。」


シェル姫は、力の限りを尽くして、槍を抜き取り、薬になる海藻を傷に貼り付けましたが、

クジラは、どんどん弱って行きます。


クジラが

「シェル姫、ありがとうございました。でも私は、もう死んでしまいます。優しくしてくれて、嬉しかったです。」

クジラは息を引き取りました。


「美しいクジラさん、死んではなりません。死なないでっ。」


シェル姫の深い緑の瞳から、真珠のような大粒の涙が溢れて、止まりませんでした。


その時でした。

海から、ザザ〜ンと大きな波が押し寄せました。


「間に合わなかったか。」


シェル姫が顔を上げると、

波打ち際から、少し離れた海に、シャチに乗った、銀色の髪にコバルトブルーの瞳、眩しいほど整った顔立ち、鍛え抜かれた体躯が輝く凛々しい少年がいました。


「あなたは誰?」


「我は海神の王子、ポセイドンだ。そなたは人間か。」


「はい。この国の姫、シェルでございます。」


「シェル姫か。其方、クーポラを手当てしてくれたのか。」


「クーポラ?」


「このクジラは、我が家臣、クーポラだ。」


「このクジラさんは、クーポラという名前だったのですね。」

シェル姫の美しい深い緑の瞳から、真珠のような大粒の涙がポロポロとこぼれていく。


「ポセイドン王子さま。申し訳ありません。クーポラを助けてあげられなくて、、ごめんなさい。」


「そなたが謝る事ではない。モリを抜き、薬海藻を貼り、ここまで手厚く手当てしてくれて、礼を言うぞ。」


まだ涙を流すシェルをみて、ポセイドンは海から上がって波打ち際まできました。


「シェル姫よ、そなたが目から流している真珠のような水は何だ?」


「これは、涙というものです。悲しい時に流れてしまうのです。クーポラが死んでしまって悲しいのです。」


「確かに、そなたは、ずっと海の生き物を大切にしてくれていたな。」


「えっ?私を知っているのですか。」


「海の中から、見ていた。海の生き物を大切にしてくれる愛らしい人間だと思ってな。もう泣かなくてよい。」


ポセイドン王子は、涙が止まらないシェル姫のまなじりに、そっと触れると、涙は真珠になり、浜辺に落ちていきます。


「あっ、これは。」


「海の中では、悲しいと目から真珠がこぼれ落ちるのだ。」


「まあ、こんな事が、綺麗な真珠、でも悲しみの真珠ですね。」


「其方、クジラは好きか。」


「はい、大好きです。大きくて、しなやかで美しい形、そして目が優しくて、ジャンプするところも好きです。」


「そうか、わかった。」

王子はクジラに向かって話しかけました。


「クーポラ、死ぬではない。其方を助けてくれたシェル姫の為に生きるが良い。」


ポセイドン王子は、海の王子がもつトライデントを、クジラの上で一振りした。銀色の光がキラキラとクジラに降り注ぎました。


するとクジラのクーポラが、目を開けて、波打ち際から海に入って言いいました。


「ポセイドン王子、ありがとうございます。不覚にも襲撃にされてしまい、、、」


「よい気にするな。このシェル姫がお前を手厚く手当てしてくれたのだ。礼ならシェル姫に言え。これからは我が臣下として、シェル姫を守るのだ。よいな。」


「ポセイドン王子、ありがたき幸せ。」


クジラが生き返って、シェル姫はびっくりしました。

ポセイドン王子は、シェル姫に歩みより、手をとって言いました。


「クーポラは今日から、其方を守る臣下として、シェル姫に贈るゆえ、海に来るときは一緒に遊べばよい。」


「ポセイドン王子様、ありがとうございます。」


その時、王子はシェル姫が手を怪我している事に気がつきました。


「そなた、怪我をしているではないか。」


「モリを、必死で抜いたから、、でも大丈夫。」


「そなたは、何と優しいのだ。」


王子は、シェル姫の傷ついた手に、そっと口づけすると、傷がみるみる治っていくではありませんか。


この時、二人は恋に落ちたのです。


それから、毎日、二人は海で過ごしました。


クジラのクーポラの背に乗って、海の中を散歩して楽しい時間を過ごしました。


シェル姫が16歳になった時、王子は、シャチのクーリーの背中にシェル姫を同乗して、珊瑚の花畑に連れて行きました。


そこで、王子は姫に求婚しました。


「我が愛するシェル姫よ。そなたは海と海の生き物を愛してくれる。海を守る海神である私の妻になって、共に海で生きてほしい。」


「はい。ポセイドン王子さま、私もお慕いしています。」


ポセイドン王子が、シェル姫に口づけをしようとしたその時でした。


「わが弟ポセイドンよ、えらく美しい姫とデートか。」


「ゼウス兄上。」


「海なんぞを守るお前にその姫は、もったいない。私によこせ。可愛がってやる。」


「クーポラ、シェルを連れて逃げよっ。」


「逃すのか、我に渡せっ。」


「シェルは私の求婚を受け入れた。僕たちは、10以上、共に愛を育んできたんだ。兄上に入る隙はない。」


「何が愛だ。天界のゼウスの寵愛を与えてやると言っている。」


「ゼウス兄上は、浮名をながし、誰一人、大切にしてはおらぬ。私はシェル一人を愛している。」


「弟のくせにうるさい、私に逆らうなど許せぬ。」


ゼウスが、剣を振り回すと、炎が広がって海の中まで炎が広がっていきます。


ポセイドンがトライデントで火を消します。

しかし空と陸と海に稲妻と炎と嵐が巻き起こり、シェル姫の国が消えそうになってきました。


すると、さらに大きな光が辺りに溢れたのです。


「やめんか、ゼウス、ポセイドン。」


「父上っ。」


「人間界で、兄弟喧嘩とは、どういう事か。」


「父上っ、兄上が、私のシェルを。」


「ポセイドン、わかっておる。ゼウス、ポセイドンとシェルは相思相愛だ。ポセイドンが大切にしてきた人間の姫だ。お前が横恋慕するのは間違っておる。それに天界の女神だけでは飽き足らず、人間の女子とも、浮名を流しているだろう。そろそろ一人に決めて、妻を娶れ。」


「シェルなら、娶ってもよい。」


「兄上、これだけは譲れません。」


ゼウスがポセイドンを雷で投げ飛ばし、その隙にゼウスはシェル姫を奪い、天界に登り姿を隠してしまいました。



「ゼウス様、私をポセイドン様の元に帰してください。」


「さあ、シェル姫よ、私の妻になれ。」


「嫌です。死んでも嫌です。」


ゼウスは天界にシェルを閉じ込めてしまいます。シェルは毎日泣いてあけくれました。

ゼウスを狙っていた女神イライザは、シェルが邪魔だったため、囚われたシェルに、嘘の助かる方法を教えます。

それは、身を守るために冥界、黄泉の国に姿を隠す事でした。シェル姫は、ポセイドンへの思いを胸に、真珠の涙を流し続けながら冥界へ旅立ちます。


その日、真珠の雨が天から降り続け、海とシェル姫の国に落ち続け、それが新しい土地となり、シェル姫の国は大きな真珠の島国となりました。


シェル姫を助けるために、ポセイドンは父クロノスの許可を得て、天界に向かったのですが間に合わず、シェル姫は黄泉の国に沈んでしまいました。


ポセイドンは荒れ狂い、三日三晩海を荒らし続け、生涯独り身でいると誓い、海の大海神となったのです。


その後もシェル姫は、黄泉の国にとどまりシーシェルの安泰を祈り続けました。

その後、シーシェルの王には、国を守る為に王の治世に一人の巫女を授かるようになりました。

国王は、巫女を天神ゼウスに奪われぬように、巫女の存在を隠して大切に扱い、誰にも知られる事なく、巫女は代々続いて、王の治世に生まれご神託を受け、それがシーシェルを安泰に導きました。


その後、千年を経て、ポセイドンとシェル姫の愛を結びつける王子と巫女姫が、シーシェルに生まれます。

銀の髪にコバルトブルーの瞳を持つ、その王子の名は、ヴァシリス。

ヴァシリスと愛を育む巫女姫の名は、アリエッタ。

いずれこの2人は、新たなるシーシェルの神話を紡ぐことになります。


これでこの物語は幕を閉じます。

まさかの聖夜が完結日になり驚いております。

皆さま、長い間、読んでいただきありがとうございました。

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