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巫女は海を守りたい〜愛が溢れるヒーラー物語  作者: 紫陽花
第8章 変わりゆく時代
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第8章 ポセイダルゴの愛

「天界の神よ、我、海神の王子と、その巫女が願うものなり。この海洋全て、この海で生きる全ての命を救い給え。人間の愚かなる欲望より出し極悪なウィルスを消し去り給え。」


俺はクールの背に立ち、トライデントをブンブンと回しコバルトブルー、オレンジキラキラ、銀の光を溢れされなが、何度も何度も詠唱する。


「天界の神々よ。黄泉の国の神々よ。どうかこの世界の大切な全ての命を助け給え。我ら海を愛する思い、我と我が愛する夫への思いと同じ。全てを愛する魂を信じた給え。」


アリエッタもクーポの背に腰掛けて、盾をクルクルと回しグリーンキラキラと虹の7色のキラキラを振り撒いて、繰り返し詠唱している。


水平線の向こう、右手から左手から、金銀の強烈な光が水平線全体に広がって海の中も金銀に光る。ポセイドン殿とポセイダルゴ殿の海神のパワーだ。

神々の光とこちらのヒーリング光が合流すると色がわからないくらい眩い光になり、海が染まっていく。

しばらくすると、海の中からポンポンと魚や哺乳類が飛び跳ねて、海面より数メートル高く上がって、霧のような真っ黒の蒸気を発した後、一瞬銀色に変化し、元の色に戻ると元気そうに海中に戻っていく。ウィルスが浄化されて癒されているのだろう。


海面から飛び出す生き物の数が尋常でない、増える事があれ減っていく様子がない。この世界の海全てにウィルスが行き渡っているわけだから、海洋生物全てが浄化されるまで、一体どのくらいのヒーリングパワーが必要なんだ。アリエッタを見ると、まだ大丈夫そうだが、かなりのパワーを出しているのがわかる。


太陽の位置がかなり動いて、あと一刻程度で夕暮れになるのがわかる。


その時、伝書バラクーダが俺に向かって泳いでくる。何かあったのか?


《ヴァシリス、アズラエルだっ、シーシェルとブリテンに向かってチャンシアの自爆型潜水艦が5艦ずつ向かっていると、緊急連絡があった。》


まさか、あの自爆型潜水艦か。虹色の盾を回しながら、アリエッタも顔色を変える。


いまシーシェルにいる騎士団と海洋軍では、5艦全てに対処はできないし、あの潜水艦は全ての防護カーテンを突破して、陸地に乗り上げ自爆し、国を滅亡に招くものだ。

しかし、今、シーシェルに戻れば、全世界の海洋浄化が頓挫する。シーシェルだけ救えても世界の海が汚染されたままでは、いずれシーシェルも同じ末路を辿る。

あの皇子、手に入らないなら滅ぼしてしまえ、と言う性格だったな。世界を滅亡に陥れる事をしておきながら、更にブリテンとシーシェルだけ絶滅したいわけだ。あの野郎、もっと早くに消すべきだったが、今更遅い。


しかし、しかし、どうすればいい。

バンジキュウス、なのか。何の為に、今海を浄化しているのだ。全てを守るため。


コバルトブルーの強い光が、俺たちの近くで一閃する。

《ヴァシリス、アリエッタ、聞こえるか。》


「ポセイダルゴ殿っ。」


《シーシェルが狙われた。私がシーシェルに向かうから、お前たちは海洋のヒーリングを続けるのだ。海にはお前たちのパワーが不可欠だ。》


「しかし、ポセイダルゴ殿っ。」


《私は、アンジェラを死なせたくないのだ。アンジェラの幸せを守ると決めて生きてきた。だから助けに行くっ、父上に許可を得た。あとは頼んだぞ。ヴァシリス、アリエッタ。お前たちと出会えて幸せだった。》


コバルトブルーの強い光が一閃し、シーシェルの方角に飛んで行った。


「ブリテンは、ブリテンはどうなる。」


今度は銀の強い光が一閃する。


《ヴァシリス、慌てるな。ブリテンは魔法部隊が帰還途中で、チャンシアの潜水艦はブリテンの領海手前で破壊可能だ。シーシェルはポセイダルゴに任せろっ。あいつは命をかけてアンジェラを守る。ポセイダルゴが抜けた分、其方らのパワーが更に必要だ。》


「わかりました。海の父上っ。アリィ、パワーアップするぞ。大丈夫か。」


「ヴァル、大丈夫よ。」


考えている暇はない。とにかく詠唱を続け、トライデントにヒーリングパワーを送り続ける。



*・゜゜・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。.:*・゜゜・*


「陛下っ、王家の方々は緊急避難を。」


シーシェル国王の執務室に親衛隊隊長が飛び込んでくる。


「マーカス、どうした、何があった。」


「チャンシアの自爆型潜水艦が5艦、シーシェルの領海線を突破しました。」


「自爆型潜水艦だと?パトリックは今どこにいる。」


「パトリック殿下の艦隊は全速で帰還途中ですが、間に合いません。ヴァシリス総帥配下の全艦は、6海洋のヒーリング中。」


「わかった。親衛隊隊長、親衛隊全騎士を連れて王妃と子供たちを緊急避難用潜水艦でシーシェルを離れてパトリックに合流せよ。」


「陛下、私は残ります。子供たちだけ避難を。」


「セレスティーナ、我が王妃よ。お前はシーシェルの王妃だ、果たすべき役目を果たすのだ。」


「ラングドン、お前も一緒に行くのだ。前国王と前王妃がここにいる。若い者から避難して、これからのシーシェルを開くのだ。」


「父上っ、それはなりません。私が残ります。」


「親衛隊隊長、親衛隊っ!前国王の命令だ。国王一家を避難させよ。死なせてはならん。」


「「「「「はっ!」」」」」


「離せっ、父上、私が残り、、、」


「行けっ、生き延びるのも使命だ。」


ラングドン国王とセレスティーナ王妃が親衛隊騎士たちに連れられていく。


「エドワード、私はお側に。」


「アンジェラ、ありがとう。」


「我々も、、」


マースとセレステ、アラン達が執務室に残る。


「チャンシアの自爆型潜水艦は、あと少しで我が国土に乗り上げてくるだろう。どうせ殺人ウィルスを仕込んで全滅させる気だろう。」


「防御ヒーリングがかかっているが、ヴァシリスがかけた領海の防波カーテンを突破したなら、陸地の防御も危ないな。」


「こんな死に方も悪くない。子供の活躍を見ながら逝ける。アラン、マース、セレステ、今まで共に生きてくれ、ありがとう。」


「皆で逝くのも悪くないですな。ユリシーズとオランが息子達を導いてくれるはずです。」


「うっ、、、あっ、、」 


「セレステ、どうした。」


「ご神託が。」


「何が見える。」


「、、ポセイ、ダルゴさま?」


「えっ?まさか。ポセイダルゴ様が何を。」


「まさかアンジェラを拐いに来たのか。」


「エドワード、ポセイダルゴ様はそんな事なさらないわ。」


コバルトブルーの強い光が、シーシェル中を覆う。


《我が名は海神ポセイダルゴ、旧知の友、アンジェラとエドワードの国を守るゆえ、安心するが良い。》


アンジェラが執務室を出て、王宮の外に走る。海が見えるところまで。続いてエドワードがアンジェラを追う。


シーシェルを包んでいる防御カーテンの外側にコバルトブルーの加護がかかる。ラングドン達が乗った避難用の潜水艦が軍港を離れるのが見えた。


「ポセイダルゴ様っ。」


《アンジェラ、其方らを死なせはせぬ。》


「ポセイダルゴ様っ。」


チャンシアの自爆型潜水艦がシーシェルの海岸線まで近づいてきている。

ポセイダルゴのトライデントが銀色に輝き、津波を起こす。チャンシアの潜水艦が津波で沖に引き戻される。

潜水艦から魚雷が次々と発射されるが、トライデントで粉々にされている。ポセイダルゴがトライデントをぐるぐると回し始める。


5つの潜水艦は渦潮に巻き込まれて海に引き摺り込まれるが、しばらくすると海からジャンプして海面に現れる。ポセイダルゴが、竜巻を起こし全ての潜水艦を空中にまとめると、潜水艦がクルクル回りながら空高く登っていく。

目を開けてられないほどの光が一閃し、空中で潜水艦が大爆発を起こす。トライデントで巨大な水球をつくり、爆破された残骸を飲み込んでいく。その水球をトライデントで操りながら、天に向かって声をかける。


《我が海神の全ての力をシーシェルに捧げる。シーシェルに生きる者は、永遠に海に守られるであろう。タールーン殿。我が愛を捧げます。》


《ポセイダルゴよ、良いのか。》


《はい、我は、愛しい人が幸せに生きるのを見たい。その思い出が残るシーシェルを守りたい、どうかこの力を。》


《わかった。シーシェルが永遠に海に守られるように、取り計らう故、逝くがよい。》


《ありがたき御采配に感謝します。》


《しばし、別れの時をやろう。》


潜水艦の瓦礫と殺人ウィルスを飲み込んだ水球は、空高く留まっている。



海岸に降り立ったポセイダルゴはアンジェラと向き合っていた。


「久しぶりだな、アンジェラ、すっかり大人の女性だな。変わらず美しい。」


「ポセイダルゴさま、何故、あなたは神なのですよ。私なんかのために。」


「愛しい人のために命を使って何がいかんのだ。其方が幸せであれば、それでよい。」


アンジェラが泣き出す。少し離れたところでエドワードが2人を見つめている。


「エドワード、これからもアンジェラを大切に。我の分まで大切に、な。」


「ポセイダルゴ殿っ。」


「エドワードよ、其方は立派なシーシェルの王であった。アンジェラを慈しみ大切にし、息子達も立派に育ち、3人目の王子は海神の力を持った。我はもう思い残す事はない。エドワード、一つだけ頼みがある。」


「何なりと。」


「アンジェラを抱きしめてよいか。黄泉の国への思い出に。」


「私に依存はありません。」


「アンジェラ、其方と出会えて、我は幸せであった。」


「ポセイダルゴさまっ、あなたは、あなたは、、」


ポセイダルゴがアンジェラをそっと抱きしめる。


「アンジェラ、幸せでいてくれてありがとう。」


ポセイダルゴがアンジェラの頬に手を添え、額にそっとそっと口づけた。


「エドワードと幸せにな。さらばじゃ。」


「ポセイダルゴさまっ。」


ポセイダルゴが空中の水球に向かって空高く登っていく。トライデントが水球に突き刺さると同時に眩い光が辺り一面に広がって、水球と海神ポセイダルゴの姿は見えなくなった。そして空からコバルトブルーのキラキラした光がシーシェル全てに降り注いだ。


「ポセイダルゴさま、、、あぁ、、。」


「アンジェラ、泣くな。お前をシーシェルごと救って下さった。」


「エドワード、、、」


アンジェラはエドワードの腕の中で泣き崩れた。


ポセイダルゴがシーシェルの危機を救ってくれました。読んでいただき、ありがとうございます。

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