第38話 目覚めろまんご!沙耶香決死の口移し!だまんごー。
「これを飲ませてやれ」
的場菜奈は、ペットボトル入りの水をどこからか取り出す。
魔法少女『フルプリバナナ』に変身中の菜奈は、赤い越中褌を穿き、白いサラシを巻いて、腰丈ほどの法被を羽織っているだけだ。
しかし、彼女は、どこかにペットボトルを持っていたのだ!
深くは考えるな! 感じろ!
「うん。ありがとう、的場さん!」
堀江沙耶香は、うつ伏せに倒れている高村まんごを、仰向けに寝かせ直す。
そして、まんごの顔についていた土を、優しく払う。
「飲ませられるか?」
菜奈は、ペットボトルの蓋を開け、それを沙耶香に渡す。
「うん、やってみる」
沙耶香はコクリと頷く。
「口移しだぞ? 大丈夫か?」
菜奈が沙耶香を心配そうに見やる。
「大丈夫! まんごちゃんとキスするのは、初めてじゃないし!」
心配する的場に反し、沙耶香は、自信満々の笑顔を浮かべる。
「そうか……。それは、何か聞いてはいけないようなことを聞いた気がするな……。」
菜奈は、うっすらと頬を赤らめた。
菜奈は男勝りな性格もあり、そういうことには疎いのである。それ以前に小学3年生でもあるため、キスなどしたことも、他人がしているのを見たこともなかった。
そして、その単語だけで顔を赤めるくらいにはウブなのだ。
「まんごちゃん、お願い、目を覚まして……。」
沙耶香は、水を口に含み、まんごの口に自分の口を重ねた。
(ねぇ、まんごちゃん……。お願い、目を覚まして!)
沙耶香は、自分の口から、ゆっくりと水を吐き出してゆく。溢れないように、ゆっくり、確実に、水をまんごの口の中に移してゆく。
「……。」
菜奈は腕組みをして凛々しく立ちながらも、2人の口元を興味深かそうに覗き混んでいた。
ゴクリと、まんごの喉が動いた。
「んっ……。ああっ」
まんごは、ゆっくりと瞼を開ける。
まんごは、口の中に何か柔らかく動くものの感触を感じた。朦朧とした意識の中で、ゆっくりと舌を動かし、それが何かを確認する。
「んっ……。(レロレロ)」
そして、まんごは、すぐ目の前に見えるのが、沙耶香の顔だと気がついた。
「あっ……。」
まんごは、急に目を見開く。口の中に何が入っていたのかを理解したのだ。
「ぷはっ! あっ、まんごちゃん! 気が付いた! よかったぁ〜! ごめん! ごめん! ごめ〜〜ん! 私のせいで〜!」
沙耶香は、まんごが意識を取り戻したことがわかると、涙を浮かべながらまんごに抱きつく。
沙耶香は、自分のせいで、まんごの大切なマンゴスチン・ハートが食べられてしまったのだと、責任を感じている。
まんごは、上半身を起き上がらせながら、沙耶香を抱き返した。そして、右手で優しく、沙耶香の頭を撫でた。
「ううん。沙耶香ちゃんが無事でよかった。そして……、あっ! 的場さん!」
まんごは、沙耶香の後ろにいた菜奈の存在に気がついた。
菜奈は魔法少女のような格好をしていたが、今は、そこには触れない。
「高村、大丈夫か?」
菜奈は、まんごに問いかける。
「うん、お腹がまだちょっと痛いけど……。大丈夫。それよりも……。」
「あぁ、あれだろ……。」
菜奈は、目で合図をする。
まんごは、菜奈が合図した先の地面に、不知火玄武が倒れているのを見つけた。
「あれ……。的場さんがやっつけてくれたの?」
「あぁ、そうだ」
菜奈は、コクリと頷く。
「あっ、それよりも……。」
まんごは、急いで立ち上がろうとした。
まだ、沙耶香は、まんごに抱きついている。ぐすぐすと涙を流し、まんごの背中を涙で濡らしている。
「痛っ……。」
まんごは生身の体で玄武のパンチを受けたのだ。まだ痛みが残っている。
「無理をするな、高村。お前が探しているのは、これだろう?」
菜奈は、赤い果物の皮をまんごに渡す。
マンゴスチン・ハートは玄武によって中身を食べられてしまい、皮だけになってしまっていた。マンゴスチン・ハートは、もはや、普通のマンゴスチンの皮だった。
「守れなかった……。」
まんごは、両手でマンゴスチン・ハートの亡骸を優しく包み込んだ。
頬を涙がつたう。
「大切なものなんだろう? 自分の大切なものくらい自分で守れるように、力をつけな。今回は、私が偶然近くにいたから助けてあげられたけど、いつでも助けてあげられるとは限らないから……。せめて、自分の目の届く範囲のものは自分で守れるように、力をつけな……。」
菜奈は、まんごに諭すように、ゆっくりと言った。
まんごは、菜奈に真剣な眼差しを向けながら、聞いていた。
1月のある寒い日のことだった。
地面に落ちた沙耶香のびしょ濡れのパンツは、冷たくなっていた。
体育館の壁に当たり、ゴーッと音を立てて吹く冷たい風が、沙耶香のスカートをひらひらとなびかせる。
「寒いねぇ……。戻ろっか……。」
まんごは、泣きじゃくる沙耶香の耳元で囁いた。
「うん……。」
沙耶香は泣きじゃくりながらも、返事をする。
まんごは、もう一度、沙耶香の頭を優しく、撫でた。
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「おい! お前ら、何があったんだ?」
岡本隆彦先生が体育館裏にやって来たのは、ちょうど、まんごたちが教室に戻ろうとした時だった。
岡本先生は、授業が始まっても3人の姿が見えないので、3人を探していたのだ。
「堀江、高村、的場、良かった。こんなところにいたのか。そして、おい、ここで倒れているのは不知火か。というか、お前、学校に来てたのか?」
岡本先生は周りをキョロキョロと見回しながら言う。
嘔吐したものを地面にぶちまけながら、玄武は地面に倒れていた。
的場は、もちろん、すでに変身を解いて、元の服装に戻っていた。
堀江沙耶香は、地面に落ちていたおパンツを拾い上げ、きっちりとビニール袋にしまっていた。しかし、おパンツはまだ乾いていなかったので、依然としてノーおパンツである。
まんごは、沙耶香の肩に寄りかかっていた。
「あっ、たかさん先生。実は……。」
まんごたちは、話せる範囲でたかさん先生に事情を説明した。
もちろん、魔法少女のことを話せない。なので、普通に、まんごと沙耶香が、玄武にイタズラされかけたところを、的場に助けられた。 ……と言うことにしておいた。
「これをほっとくわけにはいかないからなぁ……。」
たかさん先生は救急車を呼び、玄武は救急車で病院に運ばれて行った。
まんごはお腹の痛みが治まってきたので、沙耶香に支えられながらも、教室に戻る。
寒空に、玄武を乗せた救急車の音が響いていた。
「ふぅ……。」
まんごの深いため息は、寒さで白くなっていた。
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ハロー、私、宮村まんご。高校2年生。
アイドル声優を目指して活躍中だよ〜。『MAN☆GO』として活躍してるんだ。もちろん、魔法少女もやってるよ。
果物型変身装置の『マンゴー・ダイヤ』で、『フルプリマンゴー』に変身するんだ。
まだあんまり活躍はないけど、これからじゃんじゃん活躍するからねっ!
いやぁ、シリアスな展開だったねー。
まぁ、高村まんごちゃんは無事に目覚めたし、残る問題は、マンゴスチン・ハートだけだね。
どうするんだろうね。もう、これからの展開に目が離せないね。
病院に運ばれて行った不知火玄武もどうなるか、気になるよねっ!
なになに? シリアスが規定値を超えたので、次は閑話になります。
じゃあ、次回は……。
って、えええ〜?
何よ、この『宮村まんごのティータイム2』って?
って、私?
しかも『2』って、どういうことなのよ……。
2回目なの……。
ん?
あれ?
ティータイムってことは……。
もしかして、みんな、私のティータイムを見てたの?
て、ことは……、私が粽を食べてたこと、知ってるの?
え? おまん小豆茶?
おおおおぉ〜〜い!
めっちゃ、知ってんじゃん!
もぉ〜、やだよ〜、アイドルになると、自分の部屋でも落ち着けなくなるのぉ〜。
でも、いいじゃん! おまん小豆茶で粽を食べても!
普通だよ! 普通!
え? オパイに挟ん……?
ちょっとぉおお! なんでそこまで知ってるのよっ!!
ちょっと、待って! あれは手が滑ったんだよ!!
いつもは普通に食べてるからね!
あれは、偶然なんだって!
あ〜もぅ、いいや! 今回はこれぐらいで、終わり!
それじゃあ、バイバイ!
次回!
魔法少女 マンゴ☆スチン A’s
『番外編 宮村まんごのティータイム2』
だよ……。
読んでもいいけど、誰にも喋っちゃダメだからねっ!
マンゴー! カジュー! ハンドレッドパーセントー!




