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第10話 へぇ、あんたもまんごって言うんだ祭!だまんごー。


「お〜い、まんご! 待ってって!」


 高村まんごと兄の桃矢は、駅のホームにいる。



 改札のタッチに戸惑った桃矢が、まんごを引き止めるために、大声で名前を呼んだ。



「は〜い、わかってるよ〜」



「う……ん?」


 まんごの隣を歩いていたセーラー服を着た女子高生も、桃矢の言葉に、まんごと一緒になって振り返った。



「へぇ、あんたもまんごって言うんだ……。私の名前も、まんごよ!」


 その女子高生は、自分ではなく、隣を歩いていた小学生がまんごと呼ばれたのだと気が付いた。


 そして、まんごに話しかける。



 彼女の名前は、宮村まんごだ。


 端正な落ち着いた雰囲気の17歳の女子高生である。高校2年生だ。


 ほっそりとしたスレンダーな体型で、服の中に大きめのマンゴーを2つ入れたと思えるくらいの巨乳だった。



「へぇ〜、そうなんですか〜。私、同じ名前の人に初めて会いました」


 まんごは、宮村まんごの顔を見上げながら、丁寧に返事する。



「はは、私も! 私と同じ名前の()に初めて会ったよ。珍しい名前だもんね。まぁ、よろしくね、まんごちゃん!」



「はい。まんごさん!」


 まんごは、口に笑みを作り、頷く。



「すっげ〜、まんごが2人になった〜」


 カードをポケットにしまいながら、桃矢も、まんごに追いついき、2人の後を歩く。




 3人は、駅のホームにやって来た。


 ホームには日光を遮る屋根はなく、直射日光が降り注いでいる。



「暑いねぇ〜」


「そうですね」


 宮村まんごとまんごは、揃って暑さに文句を言う。


 2人は、すでに汗をびっしょりとかいていた。


 2人とも、脇汗で服の色が変わるほどに、びっしょりだ。



「あっ、まんご! 大きな虫だ!」


 ホームから見える田んぼの先に、巨大なトンボが飛んでいた。


 桃矢がいち早く気がつき、声をあげる。



 その巨大トンボは素早い動きでこちらに向かってくる。



「ふふっ。大丈夫、お姉ちゃんに任せなさい!」


 宮村まんごは、右手の人差し指を立てる。



「えっ、でも……。」



「大丈夫だ、まんご。きっとこの人も……。」


 桃矢はまんごの言葉をさえぎった。



「うん……。」


 まんごは、小さく頷いた。




「よし、じゃあ、行くよぉ〜」


 宮村まんごは、マンゴーの果物型変身装置(フルーツデバイス)を手に持ち、それを天に掲げた。




「オッケー! レッツゴー!


 マンGo! マンGo! マンGo! Go!


  イッアショータイム!


   カーモン ベイビー マンゴー・ダイヤ!


    ユーアンドアイ Go! トゲザー!


     マイ ネーム イズ! マンゴ! ミヤムラ!


      マンゴー・ダイヤ! カジュー! ハンドレッドパーセントー!」




 キューイーン



   ピカーーーーーン



 宮村まんごが持つ『マンゴー・ダイヤ』が、黄色く光り輝いた。




 駅のホームに眩ゆい黄色の光が放たれる。



 マンゴー・ダイヤから放たれた黄色の光が宮村まんごを包む。



 宮村まんごが着ていた服一式が消えた。



 これが、問題がないわけがない!



 宮村まんごの後ろでは、桃矢は目を見開き、その瞬間に集中する。


 一瞬を見逃さないように、瞬きをしないように、集中していた。



 ホームにいた人々も、宮村まんごの方に視線を集めている。


 男どもは皆、それを凝視していた……。





 黄色の光は線状になり、宮村まんごの体にぐるぐると巻きつく。


 黄色の光は、宮村まんごの体の周りに黄色い全身タイツを作り出す。


 黄色を基調とした全身タイツだ!



 レイピアが宮村まんごの右手から現れ、そのグリップの先にマンゴー・ダイヤがくっついた。



「アイム ゥレディ! マジカルプリンセス『フルプリマンゴー』!」



 黄色の光が消えてなくなると、駅のホームには、魔法少女『フルプリマンゴー』に変身した宮村まんごが立っていた。




「さて、ちゃっちゃと終わらしちゃおっかなぁ〜」


 宮村まんごは、駅のホームから、田んぼの方に向けて飛び立った。


 巨大なトンボを迎え撃つのだ。




 宮村まんごは、空に浮かんでいる。足元には、田んぼが広がっていた。


 目の前に飛んでいる巨大なトンボも、宮村まんごに向かって、スピードを上げて近づいてくる。



「さて、動きが素早いようだから、広範囲呪文がいいかなぁ〜


 じゃ、PM2.5、やっちゃおっかぁ〜


 スモーラー アンド スモーラー!


  スプレッド アンド アタック インセクト!


   イッツア スモール パーティクル!


    パーティクル・マンゴー・2.5!」




 シュウ〜〜   シュウ〜〜



   シュウ〜〜   シュウ〜〜



 宮村まんごの周りに、黄色い霧が出てくる。


 そして、その黄色い霧は宮村まんごを中心に広がってゆく。



 黄色い霧が巨大なトンボに触れると、その霧は、徐々に巨大なトンボの周りに集まり、それを包み込んだ。



「いっけ〜」


 霧は巨大なトンボに絡みつくように、侵入してゆく。


 飛び回る巨大なトンボは、次第に動きが遅くなり、羽ばたくのを止めた。



「いまだ!」


 宮村まんごは、すぐに呪文を詠唱し始めた。



(なんじ)、消滅してなお、その魂を我のために捧げよ。


 契約のカードとなりて、(わらわ)にその命を捧げよ!


  ムシクイーンカード!」



 ビシュ〜〜〜


 巨大なトンボが、田んぼに落ちようとした時だった。


 それは、1枚のカードになった。



 シュッ



 そのカードは、宮村まんごの手元に、飛んでゆく。


 宮村まんごは、それを左手で、受け止めた。



「よし、回収完了〜」


 宮村まんごは満足げにカードを見つめた。




「なん……だと?」


 「カードに……した?」


 駅のホームでは、まんごと桃矢は、目を見開いていた。



 まんごたちの前では虫は爆発して消滅していたのに、フルプリマンゴーの宮村まんごは、その虫をカードにしたのだ。




――――――――――――――




「私、アイドル声優を目指しているんだ。そんで、『MAN☆GO』として活躍してるんだ」


 宮村まんごと桃矢とまんごの3人は、電車に乗っていた。


 高村家のおばあちゃんの家の近くの駅から、3人は同じ電車に乗ったのだ。



「あぁ、そうなんですか。私も、最近、同人活動を始めたんですよ。まだ、コンビソングの歌詞を書くくらいしかやってないんですけど……。」



「あぁ、そうなんだぁ〜。いいね、いいねぇ〜。私も、歌詞を書いたりするよ。最近だと、歌も歌えた方がいいからねぇ〜」



「へぇ〜、そうなんですかぁ」


 まんごは、興味深い目で、宮村まんごを見つめる。


 まんごは、宮村まんごの顔をじっと見つめる。綺麗で整った顔に惹きつけられそうになっていた……。



「あ、あの〜、俺も1つ気になるんですけど……。あの虫を、カードにしてましたよねぇ?」


 まんご同士の2人の会話に、桃矢が横入りする。



「あぁ、あれが気になるの? あれはね、カードにする魔法だよ、私専用の魔法じゃないから、堅苦しい呪文なんだけどね。ほら、こうやって、カードにして集められるんだ。でも、虫だからね。好き嫌いが別れるとは思うけど。私は、虫好きだから」


 宮村まんごは、カバンの中から、数枚の『ムシクイーンカード』を取り出した。その中には、先ほどのトンボもいた。



「「へぇ〜」」


 桃矢とまんごは声を揃えて、感嘆した。



「あっ、じゃあ、私、ここだから、じゃあまた。シーユー!」


 電車がちょうど駅に着いた。


 宮村まんごは、そそくさとカードをカバンにしまい込み、手を振りながら電車を降りていった。


 桃矢たちの降りる駅より3駅手前の駅だ。




「あっ、お兄ちゃん! 外、外!」


「あっ、ほんとだ!」


 2人が窓の方に目をやると、窓の外で宮村まんごが手を振っていた。


 桃矢とまんごも、彼女に手を振り返した。




――――――――――――――




「「ただいまぁ〜」」


 桃矢とまんごは家に帰って来た。



「「おかえり〜」」


 家の中から、『高村甜瓜(てんか)』と『高村綾子』の声が、2人を迎えた。


 この2人が桃矢とまんごの両親である。



「おかえり、2人とも。今、母さんが晩御飯を準備していてくれてるからなぁ」


 父親の甜瓜(てんか)が玄関まで2人を出迎えにきた。



「おかえり。遊んでばっかりじゃなくて、ちゃんと宿題もやってたんでしょうねぇ〜?」


 綾子は、料理の準備をしながらも、桃矢とまんごに話しかける。



「大丈夫。おばあちゃんのうちでちゃんとやってたから」


 まんごは、元気よく答える。


 しっかり者のまんごは、きちんと宿題を済ませていた。



「俺もぉ〜」


 桃矢も、まんごの横で、返事をする。



「本当にぃ〜?」


 普段お調子者の桃矢は、宿題を忘れることもある。


 家族の中では、しっかり者の妹とちょっと抜けたお兄ちゃんという立ち位置なのだ。



「本当だよ、ちゃんと全部やったよ。だって他にすることなかったんだもん」


 桃矢は、拗ねた口調で言った。


 実際に、桃矢は宿題をちゃんと終わらせていた。まんごがドリアの屋敷に遊びに行っている間、すごく暇だったのだ。



「じゃあ、早速ご飯にしましょうか?」


 綾子は晩御飯をテーブルに持ってきた。今日の晩飯は『わかめたっぷり冷やしたぬきうどん』だ。




 桃矢とまんごは、両親と久しぶりの家族団欒を楽しんだ。



 桃矢とまんごは、おばあちゃんの家での出来事を色々と話した。


 プールに遊びに行ったことや、ドリアちゃんという友達ができたことも。


 そして、鍾乳洞に遊びに行ったことや、魔法少女のことまでも話した。



「魔法少女かぁ……。うん。すごいなぁ、まんごは」


 父親の甜瓜(てんか)は、まんごが魔法少女になったことを、笑いながら受け入れた。


 お酒を飲んで気分が良かったのであろうか……。


 また、久しぶりに家に帰って来た娘と息子が可愛いのであろうか……。



 笑っている甜瓜(てんか)の姿を見て、綾子も笑っている。



 高村家の食卓は、いつもに増して賑やかだった。




===============================




 私、高村まんご。小学3年生。



 果物型変身装置(フルーツデバイス)の『マンゴスチン・ハート』と出会って魔法少女フルプリマンゴスチンに変身できるようになったんだ!


 そして、ついに!


 果物型変身装置(フルーツデバイス)の『マンゴー・ダイヤ』を持つ、宮村まんごさんと友達になっちゃったの!


 えへへっ!



 宮村まんごさんは、アイドル声優を目指して、『MAN☆GO』として活躍中なんだって。



 そのうち、宮村まんごさんの書いた歌詞が出てくるかもねっ!


 楽しみだねっ!



 え? まんごちゃんも?


 う〜ん、そうだねっ! 私もガンバらないとっ!


 まだ何も同人活動してないや〜。 ははっ。




 さて、『フルーツプリンセス』と『ムシクイーンカード』ねぇ。


 なんかありそうな感じだよねぇ〜。


 あぁ〜めっちゃ面白くなってきたぁ〜。うっひょ〜。


 今後の展開に期待だねっ?





 おばあちゃんの家から帰ってきたし、学校も始まるよっ!



 え? 学校?


 もちろんよ! 小学3年生だからね、学校に行くのよ。


 9月からは、新学期! 楽しみぃ〜!



 もちろん、事件が起こらないと、小説にならないからね〜。


 事件は、起こるべくして起きるのよっ!



 夏休み終わっちゃったし〜。


 夏休みに、色々あるじゃん? で、新学期デビューしちゃったり?


 新学期は色々と大変だよ〜。



 クラスメイトとかも紹介しないといけないからねぇ〜。



 えっ? 覚えやすい名前がいい?


 だよね〜。かっこよくてインパクトのある名前とキャラね〜。



 わかったよっ!



 でも、主人公の私よりインパクトあったらやだなぁ〜なんて。


 まぁ、次回のお楽しみっ! ってことで。




 それじゃあ、次回も、よろしくっ!



 それじゃあ、バイバイ!




 次回!


 魔法少女 マンゴ☆スチン

 『第11話 始業式から全力全開!パンチラを求め、パンチラに泣いた男!だまんごー』


 だよっ!



 絶対に読んでねっ!


 マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!


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i488219
秋の桜子さまよりいただきました。
リンク先は『マンゴスチンから生まれたマンゴスチン太郎』です。
i471546
こちらもどうぞ!完結しました!
― 新着の感想 ―
[一言]  やっぱり、こっちのマンゴーも出てきたか(笑)。  まんごちゃんは、小学三年にして、同人活動に百合素質もありですと・・・末恐ろしい(汗)。  歌や挿入歌?もあって、華やかですね。  まさ…
[一言] 《ワームライド! ト、ト、ト、トンボ!》(違 まんご「力を貸してもらうよ、トンボ!」 トンボ『気を付けてね。バッタみたいに、封印した気になってて身体を乗っ取られないようにね』(違 《ファ…
[良い点] メチャおもしろいです (ノ∀`) [一言] ティーバッグとか凄かったです。 布面積ってそんな感じなんですね? (;'∀')ww しかも凄い高校生が追加 Σ( ̄□ ̄|||) マンゴー! …
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