第百拾七話 せめて、鍬形らしく
(作者注: 今回も不知火玄武くんの夢の中の話になります。)
深山青龍の元服を祝う宴は終わりを迎え、平田家の屋敷の庭は静まり返っていた。
そして、静かになってもまだ屋敷の中に戻らない『平田果実』の身を案じて、その嫁の『平田イウィ』は、庭の様子を見にきたのであった。
「あら……青龍? あなた、何を……?」
うっすらと月明かりが照らす中、彼女に識別できたのは、刀を持った青龍の姿であった。元服の儀を終え、その正装のまま参加した宴である。彼の衣装のため、彼は遠くから見ても彼だとわかったのだ。
そして、イウィは青龍の目の前に横たわる人物に視線を移す。そのあたりに寝転がる大勢の村人とは違っていた。目立つ衣装であり、そしてなにより、その人物は首を切り落とされていたのだ。
「あっ……あなた……?」
その首先は見えないが、その衣装は果実のものである。元服の儀のための正装であり、日中に彼が着ていたものであった。
「えっ……?」
イウィは、これが最悪の出来事であることを理解し、前身から力が抜けていくのを感じた。しかし、更に最悪の事態が彼女の頭の中をよぎる。ここで倒れている場合ではないと悟り、彼女は手足にグイと力を入れて、踏みとどまった。
「母上……。あなたも……すぐに……。」
屋敷の入り口に立つイウィの姿に気がついた青龍は、ニヤリと不気味な笑顔でイウィに語りかけた。
「あぁ、こうしては……。」
その青龍の言葉を無視し、イウィは屋敷の中に踵を返す。そして、つい先ほど眠りについたばかりの玄武の元へと駆けた。
――――――――――――――
「玄武! 起きなさい! 起きて、逃げなさい!」
イウィは、布団の中に横たわる玄武を叩き起こした。
「あなたの父上が……。果実さまが……青龍にっ。青龍にっ、殺されました。ううぅ……。」
涙を流しながら必死で現状を説明するイウィの言葉に、玄武はただ「えっ……。あぁ……。」と口をポカンと開けるだけであった。
「さぁ、早く! 森の中に逃げなさい……。そこに行けば、樹が……。世界樹が、きっとあなたを守ってくれますから……。そして、これを……。きっとあなたを導いてくれますから……。」
「え……えぇ……。母上……何をおっしゃっているのです……。無理です! 絶対に無理です! 僕は、父上も母上もいないと……。僕は……。」
目の前で涙を流すイウィの表情と言葉から、本当に父親の果実が死んでしまったこと。もうこの世にいないことを朧げながらも理解した玄武ではあった。しかし、この先、母親からも見放されて、一人で生きていくことなど……。どうやっていいかわからなかった。
「無理……。無理です……。」
玄武は、ただ頭を振った。それもそのはず、彼はまだ5歳である。親の助けなく生きていくことは、まだ困難な年であった。
「私はここで青龍を待ちます。そして、あなたが十分に逃げられるだけの時間を作ります。だから……。行きなさい、玄武!」
イウィは玄武の耳元でそう呟くと、玄武の手に『コテカ』を握り締めさせた。そして、彼の背中に手を回し、ギュウと抱いた。
「はっ……母上……。」
しかし、それも数秒と経たない時間であった。すぐに玄武に背を向けさせ、トンと背を叩いて、部屋の外へと促した。
――――――――――――――
「何故です? 私たちはあなたを家族同然に育てたつもりです。そして今でも、あなたを家族同然に思っているのです……。」
青龍が、玄武の寝室を訪れると、その戸は開けられ、その中ではイウィが正座をして座っていた。そして、彼の姿をギッと睨んでいる。
部屋の中に置かれた行灯だけが、うっすらと彼女の姿を照らしていた。
「ふっ、おもしろいことを言う。家族同然だが……。家族ではない。俺は生まれてこの方ずっと深山家の人間だ。平田家とは相容れない……。俺はただ、時期を待っていただけだ」
青龍の言葉に、イウィはただ真剣な目で彼をじっと見つめ、「そうですか……。」と小さく頷いた。
「今から俺が、深山家の復興をする。そして、お前たち平田家は、深山家の邪魔をする存在だ……。ここで根絶やしにしておく……。」
青龍は、手にしていた刀を自身の前に構える。
イウィは、果実が殺された後には、自分と玄武も狙われると察していた。そのため、自身が時間稼ぎをして、玄武だけでも逃がそうとしたのであった。今、この部屋には玄武はいない。すでに屋敷から出て森へと向かっている頃であろう。
イウィにできることは、できるだけ時間を稼ぎ、玄武の生存確率を上げることだけだった。
「そうはさせません! この私の命に換えても……。いや、たとえこの命が尽きようとも、玄武は……、いや、平田家は私が守ります!」
イウィは着物の懐から、薄茶色の皮をして産毛が生えた果物『キウイフルーツ』を取り出した。もちろん、ただの果物ではない。彼女の持つ『果物型変身装置』である。
「あの子が生きてさえいれば、お家は途絶えません。そして、『平田鍬形流』も……。私に出来ることはここで、あなたを止めること。もう使うことは無いと思っていました。果実さまと結婚して、捨てた名です。ですが……。果実さまが亡くなった今、私はまた『イアリック・イウィ』の名に戻ったのです!」
イウィは、その場でゆっくりと立ち上がる。キリッっとした顔で、ゆっくりと落ち着いて立ち上がった。青龍など怖くも無いと言わんばかりに。
「何をブツブツ言っているのだ? 母上? 気でもお狂いになったか? まぁ、お家のことも鍬形流のことも心配はいらないさ。俺が深山家の人間として。そして、『深山鍬形流』として、きっちりと受け継いでいってやるからなぁ!」
青龍は刀を構えたまま、イウィとの距離をジリジリと詰める。
一方で、刀を持つ青龍が近寄ってきても、それに怯えることなく、イウィは自身の目の前に果物型変身装置を構える。
「そうは……させませんよ、青龍! 魔法少女の力、とくと見なさい!
失墜の鳥は 空を望み
勇猛な爪は 地を掴む
新緑の瑞 漆黒の粒 真白の芯
鳴き声に 応え 響け雄叫び
我が名は、『イアリック・イウィ』!
キウイ! カジュー! ヒャクパーセントー!」
ドンッ!!
次回に続く!
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シュイ〜〜〜ン! ピカ〜〜ン!!
私、高村まんご。小学4年生。 魔法少女だよっ!
いやぁ〜。今回もいいところで終わったねぇ〜。いいよねぇ〜。こういう終わり方。うん。夢の中編だけだよね、こういうシリアスな展開で終われるの……。
まぁ、まんごちゃんはほのぼの日常系魔法少女ものだから。本編ではこういう展開になりにくいんだよね〜。うん。だから、こういうところで頑張って、読者を惹き付けようとしているわけ!
んほ〜〜!!
次回まで待てないブヒ〜!! ふんがふんが!!
全力で全裸待機しちゃうブヒ〜!! ふんがふんが!!
って、なっちゃえばこっちのものよ。脳汁ぶしゃぁ〜〜! ね。これでもう、まんごちゃん無しの生活には戻れないってわけ。
う〜ん。私って罪な女。うふふっ!
え? ああ、イウィさんでしょ?
アルファベットで書くと『Iarik Iwi』だからね。これだとわかりやすいよね?
ちゃんと『Kiwi』になってるでしょ? キウイフルーツのことだよ!
まぁ、あれよ。苗字と名前で跨って果物の名前になってるパターンだと、結婚して苗字が変わると、魔法少女に変身できなくなっちゃうんだよね〜。
そうそう!
的場さんがそのパターンだよね〜。
でも、私とか、お兄ちゃんは大丈夫なんだよね〜。苗字が変わっても大丈夫ってわけ!
この違いが、もしかしたら超大事な伏線になってるかもしれないよ〜。知らんけど。
ふふふ〜。
ちなみに、『Iarik Iwi』が、どことなく『Ikari Yui』に似てるかも?って思った君! うん! スルーしておいてねっ! そんなもん、ねぇ〜(笑。
そんでまぁ、あれよ。次回のタイトルね……。ちょっと苦しくなってきた感があるよねぇ〜。割と無理してるよねー。でもまぁ、勘弁してあげて。これを使うのは難しいんだって、きっと。
じゃあやめとけよって?
ふふふ? そんなのおもしろくないじゃん?
面白さを求めるのが、マンゴスチンシリーズなのよっ!
まぁ、タイトルと内容がどれほど関係あるのかは知らないけどね……。うん。
いつものように軽〜くスルーしてね。ここまでこの作品を読んでくれたみんななら、それくらいのスルースキルを持ってるよねっ! じゃあ、そういうことだから……。
次回は、
魔法少女マンゴ☆スチン Reincarnation
『第百拾八話 コテカダイバー』
だよっ!
絶対に読んでねっ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!




