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レクサス逆転生――異世界育ちの俺、父さんの世界で科学文明を学ぶ  作者: しばたろう


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20/20

エピローグ 未来へ

春。


 俺は、名古屋大学工学部機械・航空宇宙工学科へ進学した。


 我が坂の上高校から旧帝国大学へ進学するのは快挙らしい。


 もっとも、俺は受験勉強を死ぬほど頑張ったし、おじいちゃんには予備校にも通わせてもらった。


 努力が実を結んだ、その結果だ。


 俺がこの大学にこだわった理由は、自宅から通える距離にあることも一つだが、それ以上に、この大学には俺の夢へ続く道があったからだ。


 名古屋大学工学部は、自動運転やモビリティをはじめとする未来の自動車技術の研究で、東京大学と並ぶ国内最高峰の一つだという。


 世界トップクラスの自動車メーカー、トヨタ自動車のお膝元に位置し、共同研究や企業との連携も非常に盛んだ。


 ここで車づくりを学び、大学院では自動運転やAIを研究する。


 そしていつの日か、自動車メーカーで未来の車の開発に携わりたい。


 それが、今の俺の夢だ。



 この世界へ来た頃の俺は、何も知らなかった。


 知識も、常識も、この世界ではゼロからのスタートだった。


 その遅れを取り戻すように、夢中で学び続けた。


 高校一年の冬。


 あの一か月。


 すべてを注ぎ込み、ハヤトノートを書き上げた経験が、今の俺の原点になっている。



 ハルカやサクラたちは、それぞれ地元近くの大学へ進学した。


 進む道は違っても、今でも変わらず交流は続いている。


 そして――


 ハルカとは、高校一年の終わりに付き合い始めた。


 別々の進路が決まった日。


「……浮気、しないでね?」


 そう言って、じっと俺を見つめてきた。


 もちろん心配はいらない。


 工学部は女子が少ない。


 俺が入る剣道部も、きっと同じだろう。


 浮気なんて、できる環境ではない。


 ……いや、そういう問題じゃないか。


 俺は、彼女こそが一番の理解者だと思っている。


 だからこそ――


 まだ話せていないことがある。


 俺が別の世界から来た人間だということ。


 もし将来、本当の家族になる日が来たなら。


 その時は、すべてを話そうと思う。



 時々、あちらの世界に残してきた家族を思い出す。


 父さん。


 母さん。


 そして、ミオ。


 元気にしているだろうか、と不安になることはない。


 ミオから、二人の未来を聞いているからだ。


 未来を知っている家族の安否を案じる。


 不思議な感覚だった。


 もうすぐ、あちらのミオは十五歳の成人を迎える。


 まもなく、あちらのミオは十五歳の成人を迎える。

 

 そして、レクサスに乗り、こちらの世界の過去へ旅立つ。


 高校一年生だった俺のもとへ――。



 あの奇跡のレクサスは、今も時空のループの中を走り続けている。


 もう、俺が、父さんや母さんのもとへ戻ることはないだろう。


 それでも――


 願っている。


 あの王国で。


 父さんとミオが、改革を成し遂げることを。


 そして俺も、この世界で。


 父さんに負けないくらい、未来を少しだけ前へ進められる人間になりたい。


 技術で。


 知恵で。


 そして、人の暮らしを変える仕事で。


 父さん。


 どちらが、より遠くまで未来を進められるか。


 ――親子で勝負だ。

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