194 温泉へ行こう 前編
ゴースト退治をしてビンタ街へ戻って来た
この日は街で買い物したりのんびり過ごす
翌朝早くに再び東へ向かって走り出す
村や街をいくつも素通りして先を急ぐ
「お兄さん、急ぎ旅じゃないとか言っているわりに急ぐのね」
「そうなんだけど、あの街に行きたいからそこまでは素通りしているんだ」
「どこですか?」
「「「「バリカン街!」」」」
俺、サクラさん、ベンケイさん、アオイくんが声を揃える
「バリカン街、ああアレですか」
アンナも気づいたようだ
ブリタニカ王国のバリカン街、名前はともかく名所である
ここには温泉がある、そう、温泉街なのだ
しかも超和風、日本の温泉街とほぼ変わらない
「日本人なら風呂だろ、温泉だろ!」
「温泉楽しみだぜ♪」
「和風なのが最高でござる!」
「ゆっくり浸かりましょう♪」
「私日本人じゃないけど楽しみです」
俺たちはスピードアップしてバリカン街を目指した
バリカン街に到着、街に入ると日本の温泉旅館風の建物が建ち並ぶ
「なんか元の世界に戻ったみたいだ」
「この和風感、落ち着くでござる」
「でも異世界なのよね」
「冒険者がたくさんいるしな」
「それじゃ早く宿を取りましょうお兄さん」
そうだな、泊まれなかったら温泉に入れない
「アンナ、悪いが宿の手配は任せる」
「まさか私に雑用やらせて観光しに行くつもりですか?」
「違うよ、ちょっと大事な用があるんだ」
「ここの温泉以外にもなにか目的があったんですか?」
「じつはな・・・」
ここに来る前にサクラさんに相談していたことがある
それをみんなにも話した
「なるほど、大事な用事ですね」
「それは思いつかなかった、やるじゃねえかケンタ」
「いいですね、みんなで楽しむでござる♪」
「じゃ、ちょっと行ってくる、よろしくサクラさん」
「ええ、任せて♪」
俺とサクラさんは転移した
「お疲れさまベッキーちゃん、また明後日ね」
「はい、ベルさん」
15時、仕事を終えて屋敷へ帰ります
明日はお休みです、買い足しておくものをメモしないと
3日前、おじさんたちはまた旅に出ました
今度は10日以内に戻って来てくれると思います
まあ一日、二日ぐらいの遅れは大目に見ようと思います
さすがにこの前みたいなのは不安になるのでやめて欲しいけど
「今頃どこらへんにいるのかな・・・」
屋敷に着きました
「ただいま」
「「おかえり姉ちゃん」」
トムとハックが迎えてくれます
「「おかえりベッキー」」
おじさんとサクラさんも迎えてくれます
「なんでっ!?」
「わはは、いい驚きっぷりだベッキー♪」
「やっほー、ベッキーちゃん♪」
おじさんとサクラさんがいました、驚きました
なんでいるの? まだ旅に出てから3日目だよ?
いや、早く帰ってくれるのは嬉しいけど
「あれ、アンナさんたちは?」
「俺たちだけ一旦戻って来た」
「どうかしたのおじさん、なにか忘れ物?」
転移スキルはサクラさんしか使えない
だからおじさんを連れて来てくれたのでしょう
「いや、お前らを温泉に御招待だ♪」
「温泉?」
「今立ち寄っているところが温泉街なんだ」
「ベッキーちゃんたちも一緒に温泉を楽しみましょ♪」
「どういうこと?」
まったくわけがわかりません
首をかしげているとおじさんとサクラさんが説明してくれました
東の国にあるバリカン街が温泉街だということ
わたしたちが留守番ばかりなので遊ばせてくれようということ
「いいの?」
「いいから誘いに来たんだよ」
「行きましょベッキーちゃん」
「トムとハックにはもう話してある」
「温泉行こうよ姉ちゃん」
「おいしいものもたくさんあるんだって♪」
温泉が楽しみなトム、食べ物に釣られているハック
わたしも温泉なんて行ったことがないから行ってみたい
「じゃ連れて行ってくれる?」
「おう♪」
わたしたちは温泉へ行くことになりました
「どうだ三人とも、すごいだろ」
「見たことのない建物ばかりです」
「うわあ、わくわくするよ♪」
「なんかおいしそうなニオイがする」
三人がキョロキョロしている
和風な建物なんかオシリペンペン街にはなかったからな
ハックは屋台や食事処からの匂いにお腹を鳴らす
ひとまずアンナたちと合流しよう
ブルーをアンナたちといさせているのでサクラさんが念話で話す
「あっちの旅館にいるから行きましょう」
ブルーから旅館の場所を聞いたサクラさんが案内してくれる
迷わずすぐにアンナたちと合流する
3日ぶりの再会に喜ぶ三人、連れて来てよかった
移動や依頼をしているときは危険があるから呼べない
でもこうして観光やくつろぐときはこれからも呼ぼうと考えている
これならベッキーたちも寂しくなったりしないだろう
それに俺たちが無事だということもわかるし不安も解消されるしな
「なんだか幻想的ですね」
ベッキーが荘厳な旅館の佇まいに感動していた
旅館の敷地への出入り口は大きな鳥居になっている
旅館の玄関口までは石畳の道が続いている
旅館自体も神社のような造りになっている
「それにしてもめっちゃ大きい旅館を選んだなアンナ」
「どうせ泊まるなら一番良い温泉宿にしませんと
料金はお兄さんが出すから出し渋りはしませんよ」
「おいこら」
たしかに俺が出すけどさ
そりゃ俺の所持金は余裕だけどさ
「いつも節約節約ってうるさいくせに」
「節約はこういう時に使うためにするものです」
「はいはい、そうざんすね」
「まずは夕食だ!」
テーブルのど真ん中に色とりどりの魚の舟盛り
各自に焼き魚、ごはん、お吸い物、一口料理が乗った小皿がたくさん並ぶ
お吸い物は白だしで椎茸と小松菜が浮かんでいて鶏もも肉が入っている
「これ高いよね、どうしよう」
「値段は気にせず食べろ」
ベッキーが豪華な食事に固まっている
メモを取ろうとしているが値段が消息不明なのでペンが動かない
つか、メモるな
「うまい、うまいよこれ!」
「ごはんおかわりしていい?」
「いいぞ」
ハックが早くもごはんをおかわりだ
ハックは食いしん坊万歳だなあ
トムも珍しく食べまくっている
見たことも食べたこともない料理ばかりだからだろう
ベッキーもメモるのを諦めて食べ始めた
一口食べ始めるとベッキーもその美味しさに魅了されたようだ
ハックほどではないがたくさん食べてくれている
連れて来てよかった、三人とも美味そうに食べている
なにより楽しそうな笑顔が見れて満足だ
俺たちもその笑顔を見ながら料理を堪能した




