172 ハジメノ街再び
「そんじゃ俺たちは退散するぜ」
「達者でな」
イノシカチョウをコレクが収納庫にしまいマンモスと去って行く
残された俺たちはただ困惑するだけだった
「どう思うアンナ」
「まったく答えようがありません」
そうだよな、デリートとガイド精霊が組んでいるなんて想像もしていなかった
それに契約者がいるからFPOプレイヤーもつるんでいることになる
ゲームシステムから解放されたからできたことなんだろうけど
それでもイレイはガイド精霊を狩っていた
同じデリートでも性格や考え方が違うのかもな
まあこれならデリートと戦うことは避けられそうだから助かるが
「考えたって仕方がないな」
「そうですね」
共生できているならそれでいいか
俺たちはひとまずこの件は保留にした
少し進んで洞穴に入る
今夜はここで野営をする
翌朝、早めに出発してブリダイコン山を下りる
麓を抜けて街道まで出る
ここからすでにトナリ街が見えている
ここでポチャと出会ったんだよな
「トナリ街に寄っていきますか?」
「いや寄らずにハジメノ街まで行こう」
トナリ街よりハジメノ街の方が大きい
それに品数も多いから補給するならハジメノ街の方がいい
トナリ街を横切りハジメノ街へ向かう
この世界に来て冒険者登録をした場所でもある
受付のジョーさん元気かな
「久しぶりだからここで軽い依頼を一つ受けてみるか」
「いいですけど、討伐ですか?」
アンナが不安そうな顔をする
言いたいことはわかるぞ、討伐なら狩り過ぎるなと言いたいのだろう
俺がウサピョンを狩り過ぎたため酷い目にあったからな
俺もあれはイヤなので気をつけるつもりだ
「安心しろアンナ、俺はもう狩り過ぎないようにするから」
「それならいいんだけど」
「ハジメノ街でなんかあったのかケンタ?」
ベンケイさんが聞いてきたのでウソピョンのことを話す
「そりゃ災難だったな、でも面白そうじゃん♪」
「お姉ちゃん、わざと狩り過ぎようとか思ってないでしょうね?」
「どうしようかな~♪」
「しばきますよ?」
今回は討伐でも他の魔物にしようと思った
ウソピョンとはもう戦いたくない!
ハジメノ街と言えばダメ出しされたのもここだったな ホロリ
ゼンとコホウはどこかで元気だろうか
ラインハルトはガイド精霊と出会えただろうか
この街では色んな思い出があるなあ
懐かしんでいるうちに街へ着いた
もう夕刻なので冒険者ギルドへは明日行くことにする
宿屋に直行してそのまま各自部屋でくつろいだ
翌日、冒険者ギルドへ向かう
ギルドに入ろうとしたら知った顔が出てきた
「よう、元気そうだなセマカ」
「ん? 誰だお前」
おいこら忘れんなよ!
「お? アンナか、久しぶりだな」
「どうも」
アンナは覚えていて俺のことは忘れとるんかい!
「なんだキレイどころのパーティーだなアンナのパーティーは」
「おいこら! 俺を無視すんなセマカ!」
「だから誰だよお前」
「ケンタだよ! ここで俺に絡んで模擬戦で俺に倒されただろお前!」
「俺がお前に倒された? 俺は誰にも倒されたことはないぜ」
こいつ、自分に都合の悪いことは忘れるタイプか
「ウソピョン討伐のメンバーは覚えているだろ」
「ああアレか、なんでお前そのことを知っているんだ?」
本当にいい性格してやがる、殴りてえ
「たしか俺がリーダーでゼンとコホウって格闘家がいたな」
いつお前がリーダーになってたんだよ
「あとはラインなんとかとアンナと・・・」
ラインハルトもうろ覚えにされている
「そういや冴えないおっさんがいたな
あ、それがお前か?」
しばきてえーーーっ!
「存在が薄すぎて忘れてたよすまん、ははは♪」
「おい、セマカと言ったか」
「ん?」
ドゴンッ! 「んごぅっ!?」
ベンケイさんの全力パンチで転がっていくセマカ
「さっきから聞いてりゃケンタのことをバカにしやがって、ぶん殴るぞ!」
「もう殴ってるじゃないかベンケイさん」
でもありがとう、スッキリしたよ
転がって気を失ったセマカを放置して俺たちはギルドに入った
各自で依頼板を確認していく
この周辺の討伐依頼の内容は変わっていないな
ゴブリン、モグラ、ウサピョン、ワッフル、スネーク
この5種類の魔物討伐しかない
ゴブリンはしょっちゅう狩っているから今回はパス
ウサピョンもウソピョンのトラウマがあるからパス
「モグラ、ワッフル、スネーク、どれがいい?」
「闘い甲斐があるのはワッフルだな」
「スネーク以外がいいでござる」
「モグラはちょっとめんどくさいわよね」
戦い甲斐があるけど厄介なんだよなワッフル
アオイくん、ヘビ系苦手だもんな
サクラさんの言うとおりモグラは弱いけど倒すのが面倒だ
「よし、今回はワッフルにしよう」
ワッフルは狩り過ぎても上位個体が現れない
これなら気兼ねなくやれるな
「じゃ受付に行こうか」
受付に行こうと振り向いたら ドンッ
「わっ、すみません!」
「いや、こっちこそよく見ていなかった」
ペコペコ頭を下げながら依頼板へ向かう若い冒険者
ちょっとボサついた焦げ茶色のミディアムヘアーの青年
青年というか少年というか高校生ぐらいの年齢かな?
俺とサクラさんより低くアオイくんよりは高い背丈
腰が低そうだし、駆け出しの冒険者かもな
「この依頼を受けます」
「はい、ギルドカードの提示をお願いします」
いつものように手続きをする
「あら? お久しぶりですね、ケンタさんとアンナちゃん」
「お久しぶりです」
「ご無沙汰してます」
ジョーさん、覚えていてくれてる
セマカとは大違いだ
「すごい、もうBランクになったんですか!?」
「ええまあ」
「登録して約半年でなんてすごいですね」
なんか照れるなあ♪
「お、ケンタとアンナじゃないか」
「ギルマス、久しぶり」
「そっちの人たちはパーティーメンバーか?」
「はい」
「ハーレムかよ、わはは♪」
「違いますよ!」
照れるなとバンバン背中を叩かれた、いてえよ




