19 CGと現実は違う。
レッツ地下探索
3DとCGは違う。リアルなCGで実写と見紛う世界観であったRCD3だったけど、匂いや質感までは再現されない。むき出しのコンクリートのざらざらした質感と湿気のこもったカビっぽい匂い。懐中電灯で足元を照らしながら壁に手をさぐりで階段で降りながら、「俺」はそんな感動を覚えていた。
「・・・家の地下にこんな場所があったんだ?」
「ずいぶんと古いけど手入れはされているみたい。おそらく、ウッディ・リドル、君のお父さんが、普段から利用していたんじゃないかな?」
「・・・うーん、わからない。応接間はパパが使うことが多いから。」
安全のためにと先頭を行くラルフさんにぽつぽつと話しかけるリーフさん。縦一列にゆっくりと一段ずつ階段を降りること一分ぐらい。目の前には格子状になった扉が見えてきた。
「バウバウ。」
そしてその向こうからこちらを呼ぶ、緑の瞳。元気そうだが、此方に戻る気配はない。
「この隙間を、ネコなのかなあれは?」
「鳴き声は犬っぽいですねー。」
「・・・わからない、でも魚は好き。」
じゃあ、ネコか?と3人でクエスチョンマークを浮かべながら扉に手をかけるとあっさりと開いた。
「エメル。おいで。」
「ばう。」
一歩前に出て手の伸ばすリーフさんだけど、エメルは一言鳴いて更に奥へと行ってしまう。
「・・・しょぼーん。」
「いやいやあれじゃない、懐中電灯の光が眩しかったからとかだと思うよ。」
暗くて姿ははっきりしないのにわかるほど落ち込むリーフさんを励ましつつ先へと進む。
「これは、電気は通ってるみたいだね。」
注意深く壁を観察していたラルフさんが見つけてくれたのは電線とスイッチだった。スイッチを入れると即座に部屋に明かりが灯り、その眩しさに思わず目を閉じた。
「妙に生活感があるねー。」
だからこの言葉の意味が最初は分からなかった。けどすぐにわかった。
なんというか、妙に生活感というか近代的な空間だった。
白のタイルで覆われた部屋にソファーとベッド、簡易キッチンとテーブル、食器や雑多なものがしまってある戸棚。冷蔵庫こそないが、それを置くためと思われるスペースが開いている。
「こっちは、キッチンとトイレかな?、水道も電気もしっかり通っている。ただ、これは個人の作業だね。」
「そうなんですか。」
「ああ、丁寧だけど素人作りだね、電気コードは市販のものだ。」
しげしげと部屋を観察する僕とラルフさんに対して、リーフさんはキョロキョロ、うろうろと部屋を動き回ってエメルを探す。
が、あの目立つ毛玉の姿はない。僕も一緒になってテーブルやベッドの下を見るけど埃一つなく掃除されている。
「ばうばう。」
「・・・そっち?」
どうしたものかと思っていたら、遠くからエメルの鳴き声が聞こえ、リーフさんがすっと立ち上がる。そして入口と反対側、タイル張りの広い壁へと近づいていく。
「エメル?」
「ばうばう。」
壁に向かって話しかけると壁の向こうから鳴き声がする。
「この先に行ったってこと?でも・・・」
ゲームではこんな部屋なかった。そんな疑問を持ちながらこんこんと壁を叩く。向こう側に空間があるとか、そういうことは分からないのでなんとなくだけど。
「ばう。」
叩く音に反応して、鳴き声がする。これは確実に向こう側にいる。
となると・・・。
僕は壁のタイルを注意深く観察する。左上から一つずつ、丁寧に一枚ずつ。慌てず騒がず丁寧に、微妙な違いを確認していく。
まるで水洗いしたあとのように真っ白なタイルだけどよくみると汚れが見える。白ってちょっとしたことで汚れるんだよね。
だからこそ、一際きれいな一枚が目立つ。
「これかな?」
影の中央より下、大人がちょっとかがめば触れる場所、そこに僕は手を置いてぐっと押してみる。
ガコン。
何かがかみ合う音がしたと思たらタイルがスライドして、待たしても格子状の扉が見え、暗闇の向こうにエメルの瞳が見えた。
「「おお。」」
リーフさんと並んで感嘆の声を上げる僕。
「ホーリー、危ないかもしれないから、勝手に触ってはだめだよ。」
慌ててこちらにきたラルフさんはそう言いながら僕たちの前に立ち懐中電灯で暗闇を照らす。
「おいおい、これは。」
そして、困惑した声を上げて止まってしまう。その背中に隠れながら僕たちも格子の向こうを覗きこむ?
「「「んんん?」」」
そして3人がそろって首をかしげる。
これはどういうことだ?
そう思いつつもエメルを迎えたいリーフさんは扉を開けて先へ行ってしまう。
「ちょっとリーフさん。」
「・・・大丈夫、スイッチも同じ場所だった。」
心配する僕らをよそに、部屋の灯りがつき、そこにはエメルを抱えるリーフさんの姿があった。暗闇に飛び込んでエメルを確保し、電気をつけてくれたらしい。
「悪趣味だな。」
その後を追いながら奥の部屋に向かった僕たちの気持ちは一致していた。
白のタイルで覆われた部屋にソファーとベッド、簡易キッチンとテーブル、食器や雑多なものがしまってある戸棚。冷蔵庫こそないが、それを置くためと思われるスペースが開いている。
「ここにもキッチンとトイレ?、水道も電気もしっかり通っている。ただ、これは個人の作業だね。」
「そうなんですか。」
「ああ、丁寧だけど素人作りだね、電気コードは市販のものだ。」
その部屋は、手前の部屋とほぼ同じ作りとインテリアが置かれていた。手作りで設置された配管まで同じに見える。
「まさかねー。」
僕とラルフさんは顔を見合わせておくの壁と近づき、タイルを観察する。
「これだな。」
ラルフさんが見つけたタイル、場所は違うが、不自然にきれいなタイルをラルフさんが押すと再びタイルがスライドして新しい扉とその先の暗闇が見える。
「「「わああ。」」」
うっすらと見える格子の向こう。懐中電灯の灯りで照らされた向こうには。
「・・・また同じ部屋?」
「ばう。」
リーフさんの疑問と同意するようなエメルの鳴き声。言葉通り、格子の向こうは同じような部屋が広がっていた。
「ループ?」
そういえば、そんなステージがRCDにはあった気がするけど。それはRCD1の時のはず・・・。
「帰るべきだ、今すぐ。」
「そうですね。」
慌てて振り返り、僕とリーフさんの手を取るラルフさん、しかしその足はそれ以上進むことはなかった。
「おいおいおい、マジかよ。」
振り返る向こう。僕らが通ってきたはずの扉はなく、白いタイルの壁がきれいな輝きを放っていた。
どうやら、僕たちは巻き込まれてしまったらしい。
地下室は、何もないで拍子抜けという展開というのが当初のプロットでしたが、もう少しホラーというかゲーム要素を加えたくなりましてこうなりました。




