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世界樹の下でまた会おう  作者: 文鳥


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第1章 7話 集落への道程

 家を出る直前、私は思い出したように告白した。


「……あの、たぶんなんですけど、馬に乗れません」

 先ほど騎士たちが馬に跨っていたため、当然のように同じ手段で移動するものだと思い込んでいたのだ。


 だが、その告白は見事に空振りした。


「徒歩だぞ」

 あっさりとそう告げられ、拍子抜けする。


 私が馬だと思っていたあの生き物は、正確には魔獣らしい。

グラニ種と呼ばれ、人に扱われる中では比較的大人しい種類だという。


「てっきり、そのグラニを飼ってて、それで行くのかと思ってた」

 歩きながら説明してくれるシャルルに、そう返す。

「この森はモンスターが多いからな。大人しいグラニなんて、すぐにエサだ」

「あー……なるほど。そんなに弱いんだ」

「弱くはない。ただ、飼いならされたグラニはな」

「ゴブリンでも、集団なら狩られる」

「へえ」

「繋がれてりゃ逃げられねえしな。行動に制限がある分、格好の的だ」


 納得しながら、少し早めのペースで歩く二人の背中を追う。

「そういえば、グラニ“種”ってことは、他にもいるの?」

「馬獣種なら、ユニコーン、バイコーン、ケルピーあたりだな」

 ほう、と感心しながら、今さらな疑問が浮かんだ。

「そもそも、魔獣って何?

「動物とは違うの?」

「おまえの言う“動物”って、どんなのを指してる?」

「うーん……動物って言葉は通じてる?」

「もちろん。ただ、厳密に分けてはいないが、人の形をしていないもの全般をそう呼んでるな」


 大枠の認識は、こちらの世界でも同じらしい。ただ、細かい違いを言葉にするのが難しい。


「じゃあ、魔獣じゃない動物っている?」

 私の意図を察したのだろう。シャルルは少し考え、説明を始めた。


「集落まで時間もあるし、最初から話すか」

 鼻の下を人差し指で擦りながら言う。


「賢者の石の話はしたよな?」

 詳しく聞いた覚えはないが、とりあえず頷く。

「まず、この世界には四つの種族がいる。人間族、エルフ族、ドワーフ族、神獣族だ」

「人間族だけは他種族とも子を成せて、それぞれ呼び名がある」

「エルフとの子はハーフエルフ、ドワーフならハーフリング、神獣なら獣人って括りだな」


 神獣との子という部分だけ想像が追いつかなかったが、黙って聞き続ける。

「これらは賢者の石の加護を受けるための“聖核”を体内に持っている」

「聖核……」

「そう。聖核を持つものをまとめて“人族”って呼ぶ」

「で、悪魔の石の加護を受ける“魔核”を持つのが魔族だ」

「魔族は、魔人族、ダークエルフ族、ダークドワーフ族、魔獣族、モンスター族に分かれてる」

「悪魔は?」

「悪魔は、悪魔の石を単独で支配してる七体の存在だ」

「種族の名前ではないが、まあ、大体は魔人族だな」

「じゃあ、人族と魔族は敵対関係?」

「明確に敵なのは悪魔と、悪魔が作ったモンスター族だけだ」

「……作った?」

「そう。モンスター族だけは、石の力で生み出された存在だ」


 話を聞きながら森の奥へ進む。

 途中、馬では到底通れないような場所を抜けるたび、シャルルが「ほらな?」と言いたげな顔でこちらを見るが、ついていくので精一杯で反応できなかった。


 数が多いのは人間族、種類が多いのは獣人族。

 説明は分かりやすかったが、とても一度で覚えきれる量ではない。


 私は【凡者の知恵】を発動し、歩きながらメモを取り始めた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【人族】

■人間族・・人数が多い。私も見た目で判断するとここに含まれるらしい

■エルフ族・・温和だが一部選民的な思想があるらしい。住んでいる場所によって種族名が異なる。

■ドワーフ族・・背が低く、力が強い。頑固な人が多いらしい

■神獣族(カッコ内は獣人の種族名)・・個体数はかなり少ない。見た目は人から離れているが聖核を持つため人族として分類されている

 フェンリル(ライカン)・・・狼、戦闘能力が高いものが多い。見た目は人寄り

 ケルベロス(コボルト)・・・犬、まじめで良く働くらしい。見た目は犬寄り

 カーバンクル(ケットシー)・・・猫、精霊と親和性が高いらしい。見た目は猫寄り

 スレイプニル(ケンタウロス)・・・馬、上は人間で下は馬の見た目。乗るのはNG

 リバイアサン(マーメイド)・・・魚、正確には海獣らしい。上は人間で下は魚

 ガルーダ(ハーピー)・・・鳥、見た目は人寄り

 グリフォン(ホークマン)・・・鳥、見た目は鳥寄り

 グリンブル(オーク)・・・猪、戦闘能力が高い、見た目は猪寄り

 ニーズヘッグ(リザードマン)・・・トカゲ、戦闘能力が高い、見た目はトカゲ寄り

 ヨルムンガンド(ナーガ)・・・ヘビ、上は人間で下は大蛇

 バハムート(ドラゴニュート)・・・竜、戦闘能力が高い。見た目は人寄り

■ハーフエルフ・・人間とエルフのハーフ。見た目は耳の短いエルフだそうで、ほぼ人間族として生活しているらしい。シャルルの母親がハーフエルフらしい。

■ハーフリング・・人間とドワーフのハーフ。子供のような見た目。結束力が高い

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 そうこうしているうちに、少し開けた場所に出た。

 少し先には元の世界で見た、田舎の田園風景が広がっている。

 作物の用なものが実っているのがちらほらと見られる。

 

 もう少し歩くと、木で造られた砦のようなものが見えてきた。

 畑のようなものが砦の外にあるのは単純に、砦が大きくなりすぎるからであろう。


「あそこが目的地じゃ」

 その言葉を聞いたあとも少し歩き、砦の前に着く。

 ジキルは砦の門の前に垂れ下がった、太いロープを大きく横に揺らす。

「カーン、カラーン」という音が上の方から聞こえる。

 砦の上にある矢倉のようなところに鐘のようなものが少しだけ見えた。


 しばらくすると、その矢倉に人影が現れた。

「おお、ジキル殿か」

 矢倉にいる人物は、下を見てすぐに、そう言葉を発した。

 矢倉の人物は、今度は砦内の下に向かって別の言葉を発し、姿を消した。

 

 少し待つと、砦の門が少しだけ開き、門の奥にいる先ほど矢倉にいた人物に招き入れられた。

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