AFTER1:クリスマス
「………なんでお前達がここにいるんだ……」
「「「お邪魔してま〜す」」」
ため息がつきたくなった。
俺は冬休みに入ってから毎日コンビニのバイトに入っていた。
そして今日はクリスマス。
いつも通りバイトから帰って来るとなぜかこいつ達がいる。
「はぁ………どうやって入ったんだ?…」
「大家さんに言ったら簡単に開けてくれたよ♪」
訴えたら勝てるんじゃないか?うちのアパートの大家はどこか抜けてるところがあるのは知っている。
だがほんと泥棒だったらどうするつもりだったんだ……
「それに机に乗ってる料理はなんだ?」
「すごいだろ!!静と北川が作ったんだぜ!」
「『作ったんだぜ!』じゃない。俺は今からシャワー浴びて寝るんだ。布団敷くのに邪魔だからどけてくれ」
「おいおい待てよ。太陽」
「…?」
「今日は何の日だか知ってるか?」
「クリスマスだろ」
「そうだ……そしてクリスマスと言えば……」
「パーティーとでも言いたいのか?あいにく俺はそういうのに興味ないからな。明日も朝早くからバイトなんだ。パーティーなら別のとこでやってくれ」
「なんだよ!!ちょっとは『クリスマスパーティーの用意してくれたんだ!ありがとう』とか言えねぇのかよ」
「言えない」
「きゃー!誰か助けてー!」
いつも思うがこいつ(亮)はなんでいつもこんなにうるさいんだ……
「迷惑だったかな?」
雪乃が潤んだ目で訴えかけてきた。
……うっ……そんな目するなよ……
「……ごめんね。太陽くん」
「そんなことはない。うれしいよ雪乃」
「太陽てめぇ俺にはあんだけ悪口言っといて北川には甘くないか?」
「雪乃と亮だったら雪乃の方がかわいいからね」
「そういうことだ」
雨宮の言葉に同意。
「差別はんたーい!!」
「差別じゃない」
「…?」
「分別だ」
「俺はゴミかよ…」
………
……
…
結局は俺の家でクリスマスパーティーをすることになったのだが……
「トランプやろうぜ!」
何の変哲もない普通のセリフ。
このセリフに承諾してしまった過去の俺を絞め殺してやりたい……
「トランプやろうぜ!」
「いいね。何するの?」
「ここはやっぱババ抜きだろ」
「「賛成!」」
雪乃と雨宮が賛成意見のようだ。
「太陽どうする?」
「別に……」
「OK。参加な」
「………」
まぁどっちでもいいんだけど……
「まぁただやるのはおもしろくない……」
「……」
「そこでだ。一位の人がビリの奴に一つ命令できるってのはどうだ?」
「「賛成〜」」
「別に……」
「じゃあ決定な」
このとき最初はどうせショボい命令なんだと思っていた……
亮が手慣れた手つきでトランプを配っていった。
俺には最初13枚ほど持ち札があったが4つペアがあって現在五枚。ちなみにババはなかった。
「じゃあ俺から時計回りな」
亮がそういって左隣の雨宮のトランプを取る。
「おっ!?」
そういったものの揃わなかったようだ。
「南くん」
次は雨宮が俺のトランプを取る番だった。
「これかな?」
そう言って取ったのはハートのキングだった。
どうやらペアが揃ったみたいだ。
次は俺か……
そう思いながら雪乃の方を向く。
まぁ最初だし何取っても同じか…
そう思いながら取ったのが一番右のカードだ。
………!!
JOKER……
いきなりかよ……
「〜♪」
雪乃が余裕そうな顔でこっちを見る。
クソッ……もっと真面目にカードを選べばよかった…
………
……
…
二週くらいやってついにゲームが動きだした。
「やった〜!!一番♪」
1抜けは雪乃のようだ。
「雪乃強いな」
「まぁね〜♪じゃあ今からゆったりと最下位の人への罰ゲームでも考えますか」
そう言った雪乃は笑うようにこっちを見る。
まだババは俺が持っている。このままでは負けてしまう……
「じゃあ俺が静のトランプ取るんだな」
亮が雨宮のトランプを取る。ペアは揃わなかったみたいだが亮はあと少しであがれる。
「次で終わらせるわ」
雨宮には今までにない気を感じた。
俺のカードはあと四枚…
雨宮のカードはラスト一枚……
雨宮は俺のカードを選びながら俺の顔色を伺っている。
俺はポーカーフェイスを装う。
「これね」
そう言い、選んだカードはJOKERでは……
なかった……
「あがり♪」
雨宮が2抜けしたことで俺と亮の一騎打ちなった。
亮が後二枚……
俺があと三枚………
勝てるか…
俺はとりあえず亮のカードを取る。
亮の持っているカードは俺からすれば絶対ペアが揃う。
そして亮の番が来た。
「太陽。この勝負勝たしてもらうぜ」
「…黙れ。早くカードを引け」
亮はカードを選びながら俺の顔色を伺う。
悪いがそんな揺さ振りは効かない……
「……」
「……」
沈黙が流れる……
「太陽……」
亮が口を開いた。
「…?」
「俺の勝ちだ」
そう言って亮が選んだカードは……
JOKER……
ではなかった……
「よっしゃー!!勝った!」
「ちょっと待て。なんであんなに自信を持ってと勝利宣言できたんだ」
亮があのセリフを言った時の顔は自信満々だった。
「あぁ気付いてなかったのか?」
「…?」
「太陽お前JOKERじゃないカードを選ぶと、眉が一瞬『ピクッ』ってしてたぜ」
「……」
嘘だろ?ポーカーフェイスをしてたはずなのに……
「確かに南くん眉がピクッってなってた」
マジかよ……
「ってことで罰ゲームは太陽くんに決定だね♪」
「……」
「罰ゲーム考えたんだけどこれ着てもらおうかな♪」
そう言って持っているのはなにやら着ぐるみのようだった。
「その名もゴロネコスーツ♪」
「断る!!」
そんなもの着るのは俺のプライドが許さない…
「おいおい最初に言ったよな?」
「…亮?」
「一位の人がビリの奴に命令できるって…」
「こんなもの着るのは俺のプライドが……」
三人からドス黒いオーラが一瞬見えた気がした。
「「「一位の人がビリの奴に………」」」
「……」
断ることはできなさそうだ……
………
……
…
「ぷっ……」
「おもしろいわね」
「太陽くん似合ってるよ♪」
「穴があったら入りたい…」
このゴロネコスーツ…
ネコミミまでついてやがった…
着けずに雪乃達に見せると…
「あれっ?ネコミミは?」
「あんなのこっぱずかしくて着けてられるか」
「「「一位の人がビリの奴に……」」」
そしてしぶしぶネコミミまで着けることになった。
恥ずかしすぎる……
………
……
…
あれから一時間ぐらいたってお開きかなと言う時に…
「ところで太陽」
「…なんだ?」
「正月実家に帰るのかよ?」
「さぁな」
「太陽くん…」
「どうした?」
「帰ってみたら?絶対喜ぶと思うよ」
「バイトのシフト次第だな」
そう言いつつも帰る気はあまりなかった。
「………」
「窓見て…」
「…?」
「雪…」
「……ほんとだ」
「今年はホワイトクリスマスね」
「そうだな…」
そして今年のクリスマスは終わった。




