第15話:修学旅行3日目・後編
一部不快な場面があります。予めご了承下さい。by.Aki.
「……遅いな」
「あぁ」
…あれから30分
俺達の部屋から、雪乃達の部屋までそんなにかかると思えない…
何かあったのか?
「静達の部屋行ってみるか?」
「…あぁ、そうしてみよう」
俺達は部屋を出て、エレベーターに向かった。
「何階だっけ?」
「確か7階だったんじゃないか?」
「まぁ、行ったらわかるか」
そして、亮はエレベーターのボタンを押した。
………
……
…
チーン
…ガラッ
「…静かだな」
「あとちょっとで消灯時間だからじゃないか?」
そうは言ってみたが不気味なほど、静かだった…
「おっ!! 確かに俺らのクラスの部屋の階だな」
目についた部屋の扉にクラスの女子の名前が書いてあった。
「北川雪乃……雨宮静……あった。この部屋だな」
扉に付いた名前を見ていくと、すぐに雪乃達の部屋が見つかった。
「とりあえずノックでもしてみっか?」
コンコン
ノックをしてみたが返事はなかった。
「静達いねぇのかな?」
「寝たんじゃないか?」
もう一度ノックをしてみる。
コンコン
「寝たのかもな…」
―――なぜか胸騒ぎがした……
2年前の記憶が蘇る―――
『じゃあね…たっくん』
「………」
「どうした? 太陽?」
「…いや、なんでもない。戻ろう…」
「誰か助けて!!」
雪乃!?
「亮!!」
「悪いけど勝手に入らせてもらうぜ!!」
ガチャガチャ
「クソッ!! 鍵が掛かってる!!」
「亮! 扉を壊すぞ!!」
俺は思い切り扉を蹴った!
「俺も一発!!」
亮も扉を蹴る!
「開けぇーー!!」
ダンッ!!
俺達は扉を壊した…
その先には男の集団と服をボロボロにされた二人がいた……
「お前ら…なにやってんだよ!?」
俺は久しぶりに声を荒げ、叫んだ。
「太陽…こいつらぶっ殺すぞ」
「…あぁ」
男たちは5人いた。分が悪いが今の俺たちには関係ない。
「あ゛あぁーー!!」
俺達はただ怒りに任せて、男達を殴った…
………
……
…
「はぁはぁ…大丈夫か?
雪乃、雨宮」
「………」
俺達はなんとかこいつらを叩きのめした…
パチパチパチ…
拍手が聞こえる…
「誰だ!?」
「よくがんばったね」
「裕……どういうことだ!!」
天草裕は嫌な笑みを浮かべながら、俺達に近づいてきた。
「どういうことだって? 君には関係ないよ」
プチッ
「てめぇ!!」
バシッ!!
亮は思い切り天草裕を殴った。
「人を殴るとは野蛮だね…」
「裕さん……」
男集団の一人が天草裕に声をかけた。
「話しかけるなよ。カス」
「…黒幕はお前か」
「あぁ、そうさ」
「…どういうつもりだ?」
「そこの女が俺様の交際を断ったからだよ…」
「その腹いせか!?」
「最低だな…天草裕」
「最低だと!? ふざけるな!! 最低なのはそこの女さ!! なんたって俺様の交際を断ったんだからな!!」
バンッ!!
天草裕を殴った。
殴らないと気が済まなかった。気が済む訳なんかないけどな…
「雪乃に悪いとこなんてないだろ? 誘魔」
「どうしたお前ら!?」
「先生…」
………
……
…
俺達は先生にすべての出来事を言った…天草裕が雪乃達を襲わせたこと、俺達がそれを助けに行ったこと…
「そうか…天草とその5人にはそれなりの処分が下るだろう。それよりお前らもう遅いから戻れ」
「「はい」」
………
「静達のとこ行くか」
「そうだな……」
医務室
「大丈夫ですか? 北川達は……」
「ずいぶん落ち着いてきてるわ。今は奥のベッドで寝てるわよ」
「ありがとうございます」
「大丈夫か?」
「怖かった……でも大丈夫だよ。太陽くん達が助けに来てくれたし…ありがとう」
「私も感謝するわ……ありがとう」
「……よかった」
今回は助けることができたな……
「南こんなとこにいたか!!」
「どうしたんですか?先生」
「お前のお母さんが倒れたぞ!! 今から車出してやるから病院いくぞ」
「………あの親はどうでもいいですよ」
「「「「!?」」」」
「太陽いくらなんでもそれはないだろ?」
「南くん…」
「今は雪乃達の方が心配だ」
「太陽くん…」
「雪乃…」
「お母さんの所に行ってあげなよ?」
「……俺は」
「私は大丈夫。太陽くんと亮くんのおかげで」
「………」
「どうする? …南」
「太陽くん!!」
「南くん」
「太陽!!!」
「……俺、帰ります先生」
「ほら荷物持ってこい」
まさか母さんとまた会うことになるとはな……