第13話:二日目の夜
「本当なのか? 亮」
俺たちは食事を終え、部屋に戻った。
「あぁ、あいつは男子の間で『誘魔』と呼ばれていて、かなりの数の女の子を誘惑しては捨ててるんだよ」
「でも、たまたま北川と講習の時に同じだったってことだってある…北川を誘惑しようだなんて考えはないかもしれないだろ?」
「…まぁ…な」
コンコン
「太陽、お前が出ろよ」
「はぁ…わかったよ」
扉を開けると北川と雨宮がいた。
「遊びに来ちゃった♪」
「亮どうする?」
「ちょっと待て! 部屋汚ねぇから掃除する!」
「…だとさ。ちょっと待ってくれ」
数分後
「汚いわね。ちゃんと掃除した?」
雨宮のするどい指摘。
「ちゃんとしたつもりだぜ?」
「まぁいいわ。ところで亮今日はどうしたの?」
「そうだよ。いつもの亮くんらしくないよ…」
「なんでもねぇよ。スキーのやり過ぎで疲れてたんだよ」
今、言える内容ではないな…
「…そう」
「そうだ! 今日で初心者コースのスキー講習終わりだから明日は一緒に回ろうね♪」
「あぁ」
コンコン
「…っち…誰だよ!! 太陽出てくれ」
「…はいはい」
ガチャ
「やぁ」
「…お前は」
そこには天草裕がいた…
「あっ、裕くんどうしたの?」
「遊びに来た♪」
「そうか……じゃあ、とりあえず入れよ」
「邪魔しちゃったかな?」
そう言って、天草裕は笑顔を見せた。
「別に!!」
「亮!!」
亮が大きな声を出したことで、その場の空気が固まってしまった…
「わ…私、ジュース買ってくるね!!」
その場の空気に耐えられなかった北川が明るい声を出した。
「僕も行くよ」
北川と天草裕がその場から離れた。
………
「亮どうしたのよ?」
「…別に」
「…亮」
「………」
「南くん教えて…」
「天草裕…あいつは『誘魔』と呼ばれてるらしい」
「ゆうま? 何それ?」
「女を魅了しては捨てていく…そんなやつらしい」
「だからと言ってなんで亮は……」
俺は亮の方を見る…
「…俺が言う。北川が心配なんだよ…好きだから…」
雨宮は驚きを隠せない顔をしていた。
「そう…でも大丈夫でしょ雪乃なら…」
………
北川が帰ってきた…
「天草裕は?」
「途中で帰っちゃった…ジュース買ってきたからみんなで飲も?」
それから俺達は消灯時間まで明日の話をした…