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師父慕う少女、果てに至る物語  作者: 犬山
肉食獣の遠吠え
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46後始末(下)

 ナタリアたちはまず人目につかない場所で作戦会議を行うことにした。

 使われていない一室を見つけ、円卓の上に資料を並べる。クラックスの尋問記録の抜粋である。ナタリアとレヴィは既に目を通してあるから、今回のこれはミックの為の情報共有である。


「一年以上前に、クラックスはマリーと婚姻しておるらしい。その頃から彼女は屋敷に軟禁されておったとのことだ。もちろん、その屋敷は既に当局が捜査済み。じゃが、屋敷内にそれらしい女の姿はなかったという」


 妹の婚姻のことさえ今まで知らなかったミックは、息を飲んでいた。


「……あのオヤジが、里の外の……余所者に娘をやるなんて、随分開明的なことッス」


「その点については、聞き取りは済んでおる。どうやらクラックスがあの手この手でマリーを籠絡したらしい。ゼン・ジャガー・タスケが気付いた時には、娘とクラックスは懇ろな仲じゃったそうじゃ」


「そん、な……」


 唇を噛みしめるミックの身体は僅かに震えていた。それが恐れからくるものではないことは、一目瞭然だ。慰めるようにナタリアが彼の肩を叩いた。


「まあ仲良しの夫婦だというのなら、クラックスが身の安全はなんとかしておるじゃろう。クラックスは脅迫の材料にマリーを使ったようじゃが、まさか円満な妻を殺しはしまい」


「ナタリア、懇ろというのは、そういう意味ではなく……いえ、なんでもありません」


 レヴィが口を挟みかけて、やはり結局黙ってしまった。

 ナタリアはレヴィの言葉の続きを待ったが、いくら待っても出てこないので、話を進めた。


「屋敷内でマリーが見つからなかった理由は幾つか考えられる。……彼女自身の考えで身を潜めているのか、それとも第三者の思惑で連れ去られているのか」


「……クラックスの野郎は、何も話してないんスか?」


「クラックスの屋敷の管理をする家宰が一人いたらしい。その男も行方不明なのじゃ。本件に関連した失踪かまでは分かっておらぬが……」


「軍部ではその男の足取りを追っている最中です」


「なるほど、だいたい理解したッス」


 ミックは深く深呼吸してから、パラパラと資料をめくった。達筆のナタリアが書き写した資料は、誤字もなく、綺麗な文字が整然と並んで読みやすい。薄い紙は羊皮紙と違い、何枚重ねても嵩張らない。


「――王国産の紙は役立ってるみたいッスね」


「ん?ああ、そうじゃな。手持ちが心もとなくなってきたので、追加が欲しいのじゃが、まだあるか?」


「拘束されてる時に、全部没収されたッスよ。……ここが怪しいッスね」


 ミックはリストから一つの場所を指差した。クラックスを締め上げて聞き出した、家宰の男が向かいそうな場所がリストにはずらりと並んでいる。彼の生家や前の勤め先などが、候補地として記載されている。

 ミックが指差したのは、その中でも異彩を放つ場所だ。


「――御園じゃと?皇帝陛下の直轄地に、逃げ込んだというのか?」


「拙者はそう思うッス。なにぶん情報が不足しているので、確実なことは言えないッスけどね。容疑者の心理をトレースするなら、人目につかず、なおかつ地の利があり、いざとなれば森の中に逃げられる好立地を見逃すはずはないッス」


「御園ですか。軍として捜査に赴くならば、面倒な手続きが必要ですね。治安維持はあくまで補助的な任ですから」


「だからこそ、容疑者にとっては安全地帯で狙い目なんスよ。仮にも軍人の将軍補佐の使用人ッスよね。多分そこらへんの上層部の縄張りに関する面倒事については、承知のはずッス」


「ふぅーむ」


 レヴィが唸った。ミックの言の妥当性について考えているのだろう。

 帝都についてあまり詳しくない新参者の都市生活者であるナタリアは、ミックの言葉をそのまま受け入れていた。

 小声で、


「どう思う?」


『俺に聞いてもわからねーよ。だが、記者さんは自信ありげだぜ?結局、奴の記者の勘を信じるかどうか、って所だろうな』


 確かにミックは他の候補地には見向きもせず、御園だけを選んだ。つまり、それだけ彼の中で自信のある選択だったのだ。その自信の根拠が彼個人の勘だけだったとしても、賭けてみる価値はあるのではなかろうか。


「ミック、お主は情報屋。情報を扱うプロフェッショナルと認識しておる」


「うス。本職はしがない暗殺者って、ばれちゃったッスけどね」


 ミックが戯けたが、目は笑っていない。真剣な眼差しを受けて、ナタリアも決意を固めた。


「これはお主の初陣じゃ。活躍を期待する」


「確かに着眼点は悪くないと思います。しかし、御園には簡単に入ることはできませんよ。帝都の混乱に紛れ込めば、あるいは手続きを省略できるかもしれませんが、逆に行政手続きが滞って、後回しにされる危険もあります」


 レヴィは、ナタリアがミックに賛成するのを見て劣勢を悟り、ミックの案に乗ることにしたようだ。現実的な障害を挙げて懸念を示した。


「まあ入るのと、出るだけなら、簡単ッスよ」


「……まさか、貴方っ……!!」


「いや!大丈夫ッスよ!?拙者、隠身は得意ッスから」


「誰も貴方が見つかることの心配などしていませんっ!そもそも忍び込むこと自体がおかしいのです。貴方は軍属になったのですよ?ナタリアの部下という形になったということは、貴方の咎の責任は上司にも降りかかるということなのです。軽挙妄動の癖は直しなさい」


「うっ、済まないッス……」


 そう。レヴィの従士であるナタリア。ナタリアの部下がミックなのだ。言うまでもないことだが、通常の軍令ではあり得ぬ特例措置である。特別が許されたのは、ナタリアが認められた訳ではない。全ては、第二魔術師団が絡んだのが理由だった。


 ナタリアも不思議なのだが、事件の後、彼らからの謝罪があった。

 アンシャリーアの暴走を許し、強引に誘引、暗殺事件に巻き込んだことに対する謝罪である。

 詫び状の言葉だけではなんだから、と多額の金銭が添えられていたのには驚いた。記された額を見て、仰天した。魔術ギルドに<黒霞>を売却した金額の十倍以上だったのだ。その額が膨大すぎて使い切れない、というよりも貰うのが怖い。必死に固辞し続けることで、なんとか先方に送り返すことができた。が、何か代わりの望みがないか聞かれた。

 過度な物欲、強欲といったものはナタリアとは無縁のものである。

 望みのものを、と言われてもそう簡単には思いつかない。

 

 しかし丁度その時、ナタリアにはやりたいことがあった。

 ミックを救うことである。

 暗殺事件の解決に多大な貢献をしたミックだったが、帝国内に立場を持たない根無し草だったことと、彼の素性があまりにも怪しかったことで、功績を帳消しにしてしまっていた。加えて、彼は帝都の脱出の際に脱獄紛いまでやらかしていた。彼の身柄が衛兵たちに取り押さえられたのは、当然の成り行きだった。

 レヴィが彼の貢献を包み隠さず説明したことで、同日執行された<吸魔>の一族の処刑に巻き込まれることこそなかったものの、彼の立場は依然として悪い。

 ナタリアやレヴィ、道化師は上手いタイミングでミックが乱入してくれなければ、あの場で暗殺者たちにやられていたかもしれない。命の恩人というわけだ。恩人の危機と聞いて、ナタリア以外の二人も協力してくれた。


 第二魔術師団からの謝罪が、道化師経由で届いたのは、そんな時だった。

 望みのものはないか。そういたずらっぽく言った道化師に引っ張られるように、ミックの助命嘆願を口にしていた。

 我が意を得たりと、頷く道化師は、すぐさま軍部に圧力をかけて、ミックの身柄を第二魔術師団の管理下に置いてしまった。

 あとはもう、トントン拍子に話が進んだ。ミックを迎えに行き、ナタリアの部下という扱いで、第二魔術師団からの出向とする。レヴィの部下という収まりの良い形にならなかったのは、あくまでナタリア個人に謝罪をしたいという第二魔術師団の思惑が絡んでいた。

 彼らはナタリア個人には好意的でも、レヴィや紅雀隊にはそれほどでもない。肩を並べて戦った戦友である道化師とは僅かに打ち解けたようだが、それにしても些細な変化である。根本的に、正規軍と東方朔の軍閥との相性は悪いのだ。






 多くの血が流れた。しかしナタリアの周りで誰かが死ぬことはなかった。そのことが本当に喜ばしい。叶うならば、最後の犠牲者も無事に救い出したいものだ。

 ナタリアは年上の部下を見つめる。彼は失言を弁解しようと、身振り手振りでレヴィに話しかけている。

 生きる意思さえ感じられなかったミックが、表面上だけでも活発になってくれたことは嬉しい。しかし、彼は遵法精神に些か問題がある。彼の手綱をまだまだ未熟な自分が握っていられるだろうか。


「いや、前に一度御園には忍び込んだことがあるんスよ!なんの根拠もなく言ってるわけじゃなく、実績があるんス!」


「ほぅ……。御園の警護を任される禁軍上十二衛の前で堂々と犯罪の自白ですか。余程心根が殊勝になったようですね……!」


「あ!?いや、それはその。言い間違えたッス!拙者は記者ですから、後ろ暗い稼業の人ともコネがあるんスよ!だから、御園に侵入したのは拙者ではなく、取材対象の一人ッス!!」


「はぁ……まぁ、今日の所は貴方を虐めるのはこれくらいにしておきましょうか。ですが、努努誤解せぬことです。軍人の誰もが私のように物分りの良い者ばかりではない。むしろ逆。口を滑らせれば、冗談で済まぬ時もあるのですから」


 三人集まってあれやこれやと話してみたが、ミックの案を越えるものはない。御園に無断で侵入する以外に方法はないように思える。


「中に容疑者が本当に逃げ込んでいるのならば、事後承諾で入園を許可されるかもしれませんが……」


「だったら!それで行くしかないッスよ!マリーが捕まってるんス。あんまり悠長にはしてられないッスからね」


 人質の状況はまったくの不明だ。レヴィも叱責される覚悟を決めたらしい。机の上の資料をナタリアに預け、勢い良く立ち上がる。


「行きましょう。今日のうちに、事件は終わらせます」


 少々の法手続きの省略は看過することに決めたレヴィの動きは速い。部下は既に解散させているため、余計な重荷もない。

 ナタリアたち三人は帝城外れにある御園に到着した。

 皇帝が管理する私有地とはいえ、何か貴重品が収められているわけでもない。まして、警備を担当するであろう上十二衛や衛兵は混乱の最中。御園には人っ子一人見当たらなかった。


「レヴィはここの警備をしたことはないのかのぅ?」


「紅雀隊は上十二衛の中では下っ端の新参扱いですからね。普段は別の小隊が警護しています。何度か代役を務めたことはありますがね。内部構造も分かっています」


広々とした庭園には、背の低い柵がぐるりと張り巡らされている。柵の内側には棘の鋭い茨が生い茂っていて、柵を乗り越える不届き者は容赦のない歓迎を受けることだろう。


「ミックよ、お主どうやって入るつもりじゃ?まさか門から堂々と、とはいかぬじゃろうに」


 男と女と子供の三人組は物陰でこそこそ言葉を交わす。


「まあ門には見張りがいるでしょうね、さすがに。簡単な見取り図を持ってきました。侵入できそうなルートはこれと、これ、でしょうか……?」


 まさかレヴィがここまで協力的になるなんて。

 上十二衛の小隊長という身分を利用して、御園の地図を用意したレヴィはあれやこれやと手筈を考えている。


「そこはやめといた方が無難ッス。この生垣を真っ直ぐ乗り越える方がいいッス」


 しかし無断侵入の専門家の意見は違った。侵入が容易そうな場所を避け、敢えて困難を探すかのようなルート取りを選んだミックは、その根拠を勘としか言わなかった。


『ここまで来たら皿まで食うしかないな。奴だって妹を助けるためだ。下手は打たないだろう』


 ”声”の言葉を裏付けするように、ミックは真剣だった。彼の性分なのか、真剣になればなるほどお巫山戯が混じってしまうようだが、彼は目的を取り違えるようなことはしない。

 妹を救い、事件を終わらせるという目的のために、着実に前進を続けているのだ。


『……まあ、目的のためなら、肉親さえ斬ってしまうような奴だがな』


 ミックがゼンを斬ったのは、仕方のないことだったかもしれない。ゼンは死にかけていた。見方によっては介錯を務めたと言えなくもない。

 忙しく働いている筈のレヴィがここまで同行しているのは、それが理由である。ミックは完全には信用できない。そう考えているのは、”声”だけでなく、レヴィもそうなのだ。


「血のつながりよりも、心の通い合いが勝ったということじゃろう。師父様ならばあり得ること」


『ま、そうだといいがな』


 ナタリアだけは彼を信頼している。理由の大半を占めるのが、大賢者への敬愛の念なのが、ひょっとするとずれているのかもしれないが。ナタリアはミックが容易く人を裏切る人ではないと信じたい。裏切られ続けて来たナタリアだからこそ、最後の一線である大賢者への信頼は失わない。損なわせない。


 ミックの意見は採用された。柵の上にはしごを立て掛けたミックは、その不安定な足場の上をひょいひょいと渡っていった。

 侵入完了。誰の妨害もなく、なんの罠もない。

 ミックが安全と周囲の目を確認してから、ナタリアたちに手招きした。

 罪悪感を押し殺し、ナタリアは夜の魔術を発動。感覚を鋭敏にしてから、園へのきざはしに足をかける。慎重に物音を立てぬよう、夜の魔術を使いながら。

 ナタリアが無事に渡りきった後、レヴィがしんがりを務めた。日中であり、見通しのいい緑豊かな御園に、不審者三人分の影が落ちた。


「さあ、行くッスよ」


 ミックが道を示し、ナタリアたちはそれに続く。ナタリアの心臓が早鐘を打っていた。

 疎らな木々をすり抜けるようにして、ミックはぐんぐん進んでいく。山歩きの時もそうだったが、彼はこのような自然の中を歩くことに慣れているらしい。足音すらなく、前へ前へと進んでいた。


「あの小屋、怪しいッス。人の気配が」


 御園を管理する者が使用している小屋だろうか。粗末な掘っ立て小屋は、美しい御園にはそぐわぬ景観だった。木々の隙間に隠れるようにして建てられていた小屋を見つけたミックは、気配を消して窓から中を覗き見た。


「……っ!!」


 彼は何を見たのか。次の瞬間、ミックの全身から放出された魔力によって、小屋や周囲の木々がざわめき、傾いた。


「マリー!!」


 叫びと同時に、ミックが窓から室内に飛び込んでいった。彼の先行を、ただの偵察だと認識していたナタリアたちは、出遅れながら慌てて彼の後ろ姿を追いかけた。

 彼の姿を見失っていたのは、本当に一瞬のはずだ。なのに、なぜだろう。


「……そやつが、例の」


「殺してないッスよ」


 背の高いレヴィは、ナタリアと違って室内の乱闘模様を一部始終目撃していたのだろう。うつ伏せに倒れる男と、のしかかるミックの姿を見て、彼女に驚きはなかった。

 室内は埃っぽい。

 剪定のハサミなど、庭園の手入れ道具の保管されている倉庫なのだろう。壁や戸棚には土臭い器具が無秩序に置かれている。

 その中でもひときわ大きな戸棚。人の背丈よりも大きな戸棚の足に結び付けられている裸身があった。

 引き締まった身体とハリのある素肌が、恥ずかしげもなく晒されているのは、彼女に意識がないからだった。

 レヴィが窓枠を乗り越えて、駆け寄り、脈を見る。


「……どうやら、大丈夫です。貴方の妹ですか?」


「そうッス、マリーって名前ッス」


 マリーの眩しい身体から目を逸らしながら、ミックは己の手の下にある男の首を、ぐいと締め上げた。死んではいない。初老の男の苦鳴が漏れる。


「資料に書いてあった特徴と一致するッス。刈り込んだ茶髪と、厚い唇。クラックスの家の家宰で間違いないッス」


 扉を開けて中に入ったナタリアは部屋を見渡し、衛生的にましな毛布を選んで、寒そうなマリーにかけてやった。ぐったりとしているが、命に関わるような怪我はない。

 ただ、拘束された鎖の跡が素肌の上に残り、醜い傷になっていた。傷の上に魔法水を振り掛け、せめて痛みを和らげてやる。


「犯人は捕まえることが出来たのです。御園の管理者に連絡を取ります」


 ここら辺の手続きについては、予め話し合っていた為、なんの混乱もなかった。室内の検分もそこそこに、家宰とマリーを連れてナタリアたちは外に出る。

 家宰が何故このような凶行に及んだのか。クラックスの指図は本当になかったのか。

 厳しい取り調べが行われることだろう。しかしその全てにナタリアたちが関与することはない。

 間も無く、御園の管理側の人間と、行方不明のマリーを捜索していた兵士たちが現場にやって来た。


 普段は静寂に包まれ、音といえば鳥のさえずりぐらいの御園。にわかに喧騒が辺りには溢れ、騒がしさに苛立った小鳥たちが、バタバタと飛び去って行った。


「妹御が助かってよかったのぅ」


「そう……ッスね。うん、何もしないよりは余程いい結果ッス」


 疲れた表情のミックは、天仰いで嘆息した。


「あの馬鹿オヤジは……家族のことなんて、考えてないと思っていたのに。どうしてこんな時になって」


 マリーの意識が覚醒次第、取り調べが始まるのだろう。彼女はクラックスの夫人である。暗殺計画の発起人と、実行犯を繋ぐ大事な線である。無罪放免という訳にはいかないだろう。

 

 レヴィはその取り調べに割り込めるように、今の内に工作を行っている。

 <吸魔>の一族の生き残りは、ミックとマリーの兄妹だけになってしまった。マリーの処遇がどうなるにせよ、これだけ貢献したミックと面会する時間くらいあって良い筈だ。

 レヴィはそう言って、積極的に権力者たちとの顔繋ぎに向かったのだ。一昔前こそ、新設新参の紅雀隊は上十二衛の鼻つまみ者だった。しかし頻発する帝都の事件を立て続けに解決していくレヴィに、出世の可能性を感じている者は存外多かったらしい。

 出世のおこぼれに預かろうと、レヴィの周りには大勢の人が集まっていた。

 大人気である。


『……時化の海を乗り切るには、しっかりとした船が必要だ。寄る辺のない者は、藁にもすがる思いだろうよ。あの騎士は強い。それだけでも、人が集う理由にしては十分なのかもな』


 帝都の混乱。人の社会の混沌など、”声”にとっては他人事でしかない。ナタリアはその独言を聞くともなく聞きながら、複雑な表情でレヴィを見ていた。

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