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エピローグ ヴィシュアプリーヤの庭
緑あふれる森で、美しい女が泣きはらしていた。
……井戸に落ちてしまうなんて。まえは、小川で溺れたわ。そのまえは、泉。そのまえは……、幾たび繰り返しても、わたくしのところからいなくなってしまう。
優しい人だった。もう顔も覚えていないけれど、黒と金に恋をした。とても幸せだった。朝が来るのが待ちきれないほどに……。
幾万の季節を泣き暮らすうちに、人に留まれず、女神に還ってしまった。流した涙は、大きな川となり、大陸を潤した。
伏した身の上に、ふいに影がおりた。乱れた銀髪のすき間から、立ちすくむ若者の姿が見えた。
…………絶望が、またはじまる。
ペールブルーの瞳に、女神の泣き笑いが映った。
月だけが見守っていた。
〈了〉




