表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/106

第93話 迷宮の底の絶望と、錬金術師の狂気 ~一万の無機大軍団~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


 巨大な塩の塊(魔塩結晶)が溶け落ち、大量の塩水が流れる氷室の奥。

 俺がドロップアイテムである巨大な魔塩結晶をアイテムボックスへ収納した、まさにその直後だった。


『――第三層・中核冷却ユニットのパージ(分離)を確認。……下層へのバイパス・ゲートの凍結を解除します』


 無機質な機械音声が氷室に響き渡ると同時、氷室の最奥を塞いでいた分厚い「万年氷の壁」が、凄まじい熱量を発して一気に融解し始めたのだ。


「なるほど。あの塩の塊がこの階層のボスであり、同時に下へ続く道の『封印』にもなっていたってわけか」

「パズルと力技、両方をクリアしないと進めない……本当に性格の悪いダンジョンですわね」


 アミィが呆れたようにため息をつく。


 氷が溶け落ちた先には、地底のさらに奥深くへと続く、黒曜石と鋼鉄で舗装された巨大なスロープが口を開けていた。


「よし。これでさらに下へ進めるな。……サフィ、この先の様子はわかるか?」

「……現在、スキャン中ですが……マスター、少し異常です。スロープの先から、これまでとは比較にならないほどの『凄まじい数の魔力反応』と『重低音』が上がってきています」


 サフィの眼鏡が、危険を知らせるように明滅を繰り返している。

 俺も、スロープの奥から吹き上がってくる風に、冷気とは全く違う、鉄と油の匂い、そして地鳴りのような微かな振動が混じっているのを感じ取っていた。


「……油断するなよ。これだけの重圧、ただ事じゃない」


 俺たちは気を引き締め直し、警戒しながら長いスロープを下っていった。

 足音だけが反響する薄暗い通路。下へ進むにつれて、肌を刺すような冷気は徐々に薄れ、代わりに何千もの巨大な歯車が噛み合うような、暴力的なまでの機械の駆動音が鼓膜を震わせ始める。


 やがて、スロープの出口が見え、俺たちがその先の空間へと足を踏み入れた瞬間。

 全員が、言葉を失ってその場に立ち尽くした。


「……冗談だろ」


 そこは、第一層の回廊や、第二層のジャングル、第三層の氷室のような「局地的な環境エリア」ではなかった。


 地底空間すべてをぶち抜いたような、果てしなく広大な大空洞。暗雲のように立ち込める魔力の排気ガスの中、はるか彼方まで続く鋼鉄の平野が広がっていた。


 そして、その空間を埋め尽くすように整然と並んでいたのは、これまで俺たちが戦ってきた『機械獣』や『自動人形オートマタ』の群れだけではない。

 三つの首を持つ鋼鉄の竜、戦艦のような巨体を持つ『魔導戦車』、空を埋め尽くすほどの『浮遊砲台ビット』、そして城壁のようにそびえ立つ超巨大な『ミスリル・ゴーレム』。

 文字通り、神代の「軍団」だった。


「分析……。対象空間の構造、要塞の『兵器製造プラント』および『最終防衛ライン』と推測されます。……前方の稼働可能な無人兵器の数、推定……一万とんで八百四十二機」


 サフィの音声が、わずかに震えていた。

 これまでの階層は、いわばこの大軍団を維持・冷却するための「補助施設」に過ぎなかったのだ。


「お、お兄ちゃん……。あんなの、ハンマーで全部叩いてたら、日が暮れちゃうよ……」

「ひぃっ……! 足が、震えて……っ」


 ルビィがハンマーを取り落としそうになり、ダイヤが日傘の柄を両手で強く握りしめる。

 正面突破など、絶対に不可能。圧倒的な絶望の壁だ。


「……マスター。あの軍隊の一番奥……すごく大きな扉の向こうから、今までで一番強い『力』の匂いがしますぅ……」

「……心臓の音みたいに、ドクン、ドクンって鳴ってますぅ……」


 双子のパールとコーラルが、大軍団の遥か後方――霞んで見えないほどの最奥を指差して言った。


「……なるほどな。これだけの戦力を一箇所に集中させてるってことは、疑いようがない。この軍隊の背後にこそ、要塞の心臓部マスター・コア……俺たちが開けるべき『最奥の扉』があるんだ」


 俺はスロープの出口に身を隠しながら、冷や汗を拭った。


 一万の軍勢。神代の錬金術師が、要塞の核を護るためだけに作り上げた純度100%の暴力。


 ガシャン、ガシャン、ガシャン……!

 俺たちの侵入を感知したのか、無機質な大軍団が、地鳴りを立てて一斉に稼働状態へと移行した。

 一万を超える赤いカメラアイが一斉にこちらを向き、無数の砲塔や魔力兵器が、一切の感情を交えずにスロープの出口へと照準を合わせてくる。ただそれだけで、空気がひしゃげるような凄まじい殺気と魔力圧だ。


「ご主人様……っ。退きますか!? 今ならまだ、上の階層へ……!」


 アミィが悲痛な声で叫ぶ。普通の冒険者なら、一目散に逃げ出して砂漠の酒場で武勇伝にして終わりだろう。


 だが、俺は逃げなかった。

 錬金術師の脳内は、すでにこの盤面をどうひっくり返すか、最高速で計算を始めていたのだ。


「逃げる必要はない。……真正面から叩き潰す」

「えっ……? 一万の軍勢を、ですの!?」

「ああ。ハンマーや魔法でチマチマ叩くのが無理なら、向こうの軍隊ごと一気に押し潰せるような『デカい兵器』をこっちで作ればいいだけの話だ」


 俺が不敵な笑みを浮かべ、幻影蜘蛛の外套を翻すと、仲間たちが呆気にとられた顔でこちらを見た。


「俺の手持ちを思い出せ。第一層の隠し部屋で手に入れた『純度100%のオリハルコン』。一滴で家が建つという『神代の魔力触媒エーテル・フルード』。第三層のボスだった『巨大な魔塩結晶』。……そして、これまでの旅で溜め込んだ極上の砂漠の素材が山ほどある」

「……まさか、マスター。この戦場で、それらをすべて合成すると?」

「そのまさかだ。神代の錬金術師が残した最高のお宝を使って、そいつが作った最高傑作の軍隊を蹂躙してやる。これ以上の皮肉で痛快な錬金術はないだろ?」


 俺はアイテムボックスから巨大な『錬金釜』をドゴォン! とスロープの平坦な場所に引きずり出し、両袖を荒々しく捲り上げた。


「いいか、お前ら! 兵器の錬成には『三分』かかる。その間、俺は一切動けない! お前たちの全力で、あの大軍団の足止めをして、俺を護り抜け!」


 俺の狂気とも言える宣言に、一瞬の沈黙が落ちた。

 だが、次の瞬間。彼女たちの顔から絶望の色が消え去り、最高に不敵で、誇り高い笑みが浮かんだ。


「……ふふっ。一万の軍勢を相手に三分間の防衛戦。ご主人様は、本当にわたくしたちをこき使うのがお上手ですわね」


 アミィがパチンと両手の鉄扇を開き、凛とした顔で前に出る。


「お安い御用ですわ! あのポンコツどもに、乙女の意地を見せてやります!」

「お兄ちゃん、三分だね! ハンマー、フルパワーでぶっ飛ばすよ!」

「分析完了。最適の防衛陣形を構築します。マスター、錬成に集中を」

「「……悪い機械、ぜんぶ壊しますぅ!」」


 ルビィのロケットハンマーが火を噴き、ダイヤの周囲に超高温の陽炎が立ち上る。サフィが魔力障壁を展開し、双子がソナーで敵の射線を完全に掌握する。


「頼んだぞ、俺の最高の仲間たち!!」


 背後から迫り来る一万の軍勢の凄まじい砲撃音を背に、俺は錬金釜の中へ、オリハルコンのインゴット、エーテル・フルードの小瓶、そして巨大な魔塩結晶を躊躇うことなく放り込んだ。


『――目標、侵入者。全機、殲滅を開始せよ』


 無機質な軍団の突撃が始まる。

 絶望の軍勢を相手取った、錬金術師と仲間たちの「究極の三分間」が、今ここに幕を開けた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白かった!」「スカッとした!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、

ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、毎日の執筆の爆発的なエネルギーになります!


ブックマークへのご登録も、ぜひよろしくお願いいたします!


それでは、次回もどうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ