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『よいか? 愚民ども、聞くがいい。
男などという動物に見向きなどしてはいけはい。幼きころ我々は、大地の声を聞き己の宝を創造していた。あるいは、世界一と謳われる技術の粋に心奪われていた。そんな時すでに、男というものは女を評価していたのだ』
訳:みなさん、聞いてください。男の子ってさ、ひどいよね。小さいころの女の子なんて、泥団子作ったりさ、ゲームしたりしてわーいって感じで。でもね、男の子ってその時にもう、「Aちゃんってかわいいよな」なんて言ってたんだよ。
本日、2月14日。女子はそわそわし、友達はときどき呼び止められていた。
最近の逆チョコブームで、女の子は男の子に告白されるってことがあるから。
だよね。男女平等のこのご時世、こんな楽しいイベントを女の子達だけのものしておけるはずないよね。
朝来るときは、たっくさんの手作り友チョコを持ってきたの。キッチンを占領して作り続けたかいがあって、友達に喜んでもらえたよ。友達からも、たっくさんの手作り友チョコを貰ったよ。
でもね、やっぱ期待してる。逆チョコ
小学生でカレシが欲しいなんて高望みはしてないの。ただ純粋にチョコレートが欲しいだけ。男の子からの。
バリバリに本命チョコじゃなくていいの。
「ちょっといいって思ってるんだ」くらいの本命未満チョコ。募集中。
友チョコ以外は、一応、朝から、ううん、先週末からもらってる。葉山の祖母からのベルギー産高級チョコレートと横浜の祖母からのオレンジピールのチョコレート、母からの手作りトリュフ、妹からの歯が折れそうに堅い失敗手作りチョコ。
男の人からだったら、兄から小さなクマさん型のチョコ。
ここまではノーカウント。それくらい分かってる。
学校では、クラスの男子からきのこの山の小袋や、キスなんて100年たっても無理っぽい男友達からのキスチョコ、他には「仁科」と書かれたポストイット付のキットカットを貰った。
せめて「へ」つけてよ。「さんへ」とまで贅沢言わないから。
問題はここから。
そんなこと望んでないのに、休み時間を無事に通り過ぎ、放課後の放送委員会も順調に終わった。放送委員長の男の子から、いかにも義理って分かるセロハン入りの小さなチョコが委員全員に配給された。
はー。ありがたいよ。今日もらった分全部、ありがたいよ。だけど。
潰えた望みにがっくりと肩を落とし、私は友達と集団で帰路につく。
茜色に染まった夕暮れが、木の葉をまとわない街路樹を見守る。寒そう。
てか、寒い。
こちらは、10年以上前に「魔法のiらんど」に投稿したものです。
当時はまだ、東京証券取引所は東証一部、二部、マザーズに分かれていました。日本全体が貧しくなるといった空気は微塵もなく、まだまだ元気でした。日経平均は2万くらいだった気がします。




