オタサーの姫vsオタサーの王子 11
馬車に揺られること数時間。
やっと目的地についたようだ。
私のお城と似たような建物、ここが私の元婚約者の家。ただ、今は城の感想よりも別のことで悩まされていた。
「お尻いったいなぁ……」
馬車の乗り心地はとても悪かった。
揺れるし、狭いし、椅子は堅いし、もう最悪だ。
「言伝もなく来ているから留守かもしれないけど……」
「それぐらい、承知の上」
私が会いに来たのは元婚約者の男ではない。だから、居たら都合がいい程度にしか思っていなかった。その程度の思いだったのだが、城の扉は開いてくれた。
「クラヴィス君はいるかね?」
扉の先にいた人間が元婚約者ではないことぐらい私にも分かる。
目の前にいるのはメイド姿の女性。どうみても、この屋敷の使用人だし、男でもない。彼女が元婚約者ではないことは、私でなくても誰だって分かる。
「クラヴィス様は……今、別のお客様との相手をされていまして……」
この反応、身に覚えがある。
「そうか……それなら仕方ない。日を改めて、またくるよ」
「申し訳ございません」
「いえ、こちらこそ、急にお尋ねして申し訳ありません」
この対応をされては、常人ならば引くしかない。ただ、私のように嘘を知っている人間に嘘は通用しない。
「ねぇ。突然、婚約破棄を叩きつけた相手よりも優先される事って何?」
「そ、それは……」
やはり、隠し事がある様子。それも元婚約者に知られたくないこと。となると、とてもいいタイミングで来たのかもしれない。
「邪魔するわよ」
「あ……ちょっと、ダメですって」
メイドのが止めるのも聞かず、城の中へと入っていった。




