根子って何?
文武天皇の諡が倭根子豊祖父天皇であることh、前回、紹介させていただいたとおりです。今回は、このうちの根子に注目したいと思います。
自分が調べた限り、名前に根子がつくのは、その次代の元明天皇が日本『根子』天津御代豊国成姫天皇、その次の元正天皇が日本根子高瑞浄足姫天皇と諡されました。続日本紀の大宝3年12月17日の条には、持統天皇を火葬する前に大倭根子天之廣野日女尊と諡したとあります。
このように、この辺りの時代の天皇には根子が付される傾向があります。このことから、この時代の人々は根子に特別な意味合いを持たせていたことが分かります。
さて、西暦720年に成立したとされる日本最初の公式歴史書の日本書紀では、歴代の天皇にどのような名前を与えていたでしょうか。驚くことに、その数はあまり多くありません。
まず、持統天皇については根子の字を外して「高天原廣野姫天皇」としています。そこで根子が出て来るまで遡っていくと、まず第22代の清寧天皇まで遡ります。白髪武広国押稚日本根子天皇と呼ばれています。そしてしばらく根子は無視されて、第9代の開化天皇まで遡って、やっと出てきます。稚日本根子彦大日日天皇と呼ばれています。その先代の孝元天皇は大日本根子彦国牽天皇、さらに先代の孝霊天皇が大日本根子彦太瓊天皇と呼ばれましたが、根子がつく天皇はこれだけです。第9代以前の天皇は欠史8代ともいわれ、実在性に疑義を投げかけられることが多い天皇です。
天平のファンタジアプレリュード編では、大田田根子の御魂を登場させました。大田田根子というのは第10代の崇神天皇時代の人物で、相当古い時代のものです。
果たしてこの「根子」というのは、いったいどういうことでしょうか? 日本書紀が成立した前後とみると、天皇史の最初と最後に出て来る文字列であり、興味がひかれます。




