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小説と要件事実

 自分は普段、専門的な文章を書く仕事をしています。また、人の書いた文章を読む仕事とも言います。自分は資格持ちで、そのような文章を書くノウハウを心得ているので、その道の人が読んだ時に読みにくいということはない筈です。そのように自負してます。ところが、同じ事を書いているのに、資格を持っていない人の書く文章は、非常に詠みにくいのです。これはいったい、どういうわけでしょうか。

 自分の業界では、専門用語で「要件事実」をふまえた文章を書かなければいけないと言われています。この業界の文書は、そこにどのような「要件事実」があるか、これが読まれているのです。ですから、この「要件事実」をふまえない文章というのは、極めて読みにくい、理解しにくいものとなってしまいます。資格を持っていない人は、数ある事実のうちで何が「要件事実」になるのか分かっておりません。だから読者に興味がないことまで文章に書いてしまい、どこに「要件事実」が潜んでいるか分かりにくくなり、極めて読みにくい文章になってしまうのです。

 以上は、私の普段の仕事の業界内の話です。こうした仕事をしながらふと思ったのが、ひょっとしたら小説にも、こうした「要件事実」のようなものがあるのではないか、ということです。

 小説を読み進めた読者は、「ここでこれが何であるかを知りたい」という欲求にかられることはないでしょうか。この「知りたい」の答えにあたるのが「要件事実」であり、この「知りたい」にうまく答えているのが良い小説ということになるのではないかと思ったのです。

 とはいえ、小説は、私の業界ほど「要件事実」が明確になっているものではありません。おそらく、小説の「要件事実」の体系を明らかにすることなど、不可能ではないかとも思えます。このあたりが小説の難しさなのでしょうね。

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