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【創作論?】ファンタジーは自由だ
天平のファンタジアは歴史創作です。
天平時代の人間関係や地理をそのままファンタジーの世界観に投影してドラマを展開しています。一種の並行世界です。
歴史創作では言葉遣いに注意しなければならない、当時の人物が発しない言葉を使ってはならないなどと言われることがありますが、自分は気にしていません。歴史そのものを扱っているわけではないので、このあたりは自由に表現しています。
翻って考えてみれば、史実に厳格に忠実な物語を創作するというのは、およそ不可能ではないでしょうか。なぜならば、限られた資料から分かることは本当に限られていて、その分かっている部分だけで創作しようとすれば、本当にうすっぺらい物語になってしまうでしょう。
自分は、歴史創作の面白さは、この資料のない部分でいかに空想を躍らせるか、という点にあるのではないかと思っています。そして、空想を躍らせたいのなら、それにふさわしい形式というものもあるでしょう。
天平のファンタジアが、歴史創作でありながら、思い切ってファンタジー形式を採用したのは、こういうことでもありました。




