表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/34

見学へ行こう

「失敗も時には必要ではあるが、基本的には成功体験を積み重ねることで人は成長する。だから私は何時まで経ってもダメ人間なのだ。」

                                       星宮星雅

 黄金族の台頭のあおりが直撃した部署の1つということで、先ずはレコメンドの案内で防衛隊の見学をすることにしたサンビタリアとガーネット。・・・・・・・・・の数歩後ろを「うふふ・・・」と不気味な笑みを浮かべながら、幽鬼のようなふらついた足取りで歩くシェヘラ。

「先輩、なんで私たちまで一緒になってストーカーしなきゃいけないんですか?」

「バカ、お前・・・室長放っておいたら何しでかすか分からんだろうが」

と、シェヘラの監視に着いてきた情報編纂室の社員2人。

合計6人はそれぞれの思惑を胸に、防衛隊用の設備が集まる区画へと足を運んだ。


 本社内の地下3階の内半分を丸ごと使用した防衛隊用フロアは広大で、仕事でよく足を運ぶ防衛隊隊員のレコメンドの案内が無ければサンビタリアとガーネットは間違いなく迷子になっていたことだろう。

「第二は・・・私以外帰還前で居ないし、第三も商品護送で居ない。第五は私たち第二の尻拭いで出撃したばかり・・・・・・となると、残るは第一防衛小隊と第四防衛小隊ですね。」

「部隊によって特色などはあるのですか?」

「いえ、基本的にバランス重視で編成されているので何処も同じですよ。強いて言うなら、部隊長の方針の違いでしょうか?第一防衛小隊隊長のロザリンドさんは騎士物語マニアで部隊員にも騎士道精神のようなものを求めています。第四防衛小隊隊長のリチャードさんは強いヤツが偉いと本気で思っている弱肉強食主義者です。噂によると赤目製薬の防衛隊に居るのも社長に何らかの勝負で敗れたからだとか・・・・・・」

「まぁ!ぴぃつぅ様はとってもお強いのですね。」

レコメンドの説明を聞いていたのか聞いていなかったのか?噂だと前置きされたにも関わらずサンビタリアはP2がリチャードに勝ったと信じて疑わない。或いは、コレも一種の「恋は盲目」なのかも知れないと思い、レコメンドとガーネットは苦笑した。

「ん゛ん゛っ!」と、レコメンドが咳払いをすると、サンビタリアとガーネットは口を閉じてレコメンドの方へと意識を傾ける。「そろそろ、話を戻しますよ」の合図だ。

「とまぁ、今本社内に部隊員全員が残っているのは第一防衛小隊と第四防衛小隊ですが・・・・・・今回はそのどちらにも行かないので、そういう部隊があるぐらいに考えておいて下されば構いません。」

「えっ?どっちも行かないの?」

「はい。お2人とも本社に来たばかりですので、1度にたくさんの顔を見せて全員覚えて下さい。は、流石に酷かと・・・・・・なので今回は私が訓練所や第二防衛小隊用の詰め所を利用し、お二人に解説する形でいこうかと思います。」


 「ここが我が防衛第2小隊の詰め所です。」

そう言ってレコメンドが2人を連れてきた場所は一見するとリビングルームのように見えた。

大きな赤い目のシンボルマークが描かれたカーペットの上には、黄色い四角テーブルとテーブルを囲むふわふわのソファ、ソファに座って見えるように壁に埋め込まれた大きなモニター、ソファの周囲を囲むように壁に寄り添って並んだ戸棚たちには本やDVDやCDが並び、戸棚たちに混じって1つだけ真っ白い冷蔵庫が立っている。更には空調機器も完備されていて・・・凄く快適そうな場所だった。

「ここでは主にミーティング・書類作成・装備類の整備等の業務が行われている他、任務外では部隊員同士の交流の場としても活用されています。また、モニターと空調機器は制御中心区の115と繋がっており、不調が生じた場合には即座に115が作業用車を通じて修理に駆けつけてくれる手配になっています。」

「何というか・・・驚きました。部隊の詰め所というのはもっと不便な場所というイメージがあったので・・・」

「?何故、そんな必要性があるのですか?部隊員のパフォーマンスを無意味に低下させるだけのように思いますが・・・?ああ、もしや予算の心配ですか?それなら心配要りませんよ。私たち社員が最高のパフォーマンスを維持するためには、こういった設備投資は必須です。寧ろ、お金を掛けないといけません。」

「全て社長の受け売りで恐縮ですが・・・」と付け加えるレコメンドに、主であるサンビタリアが目をキラキラ輝かせて拍手を送っている姿を眺めながら、ガーネットは1人戦慄していた。

(成程、口にするだけならば容易いだろう。だが、現実にそれを実行出来る組織が一体どれほど在る?貴族家であるカウ家ですら、レコメンドの口にする理論を実行出来ず、机上の空論として資料室に仕舞いこんだというのに・・・。ただの一企業、それも亡骸島に拠点を構える赤目製薬は出来ている。社長のP2様は一体どれほどの傑物だというのだ・・・!!)

「つくづく、敵で無くてよかった」と、小さな声で1人呟くガーネットだった。


 一行は実際にミーティングを行っている際の映像記録を見てから、「今度は生で訓練を見せましょう」というレコメンドの誘いに乗り、訓練所へとやって来た。

訓練場かなり広大で、演習用のフィールとが森・市街地・荒野の三種類もあるほか、射撃場や試し切り場といった武器を試す場所もあった。

「折角ですしお2人も武器を振るってみますか?」

「そうですね。実は私、実家の方で護身術にバルハードを習っていたんですよ。」

レコメンドの言葉にノリノリのサンビタリアは武器置き場を漁り、長柄に鋭い穂先と大きな斧がついた武器バルハードを軽々と持ち上げた。習っていたというのは本当らしい。

「実家の物より少し重いですが充分振るえる範囲ですね。それに見れば分かります、これは良いバルハードですよ。実家に置いてきた物も素晴らしい業物でしたが勝るとも劣りません。」

ブンブンとバルハードを振るいながら、質のよいバルハードに若干興奮気味のサンビタリアは早口で語る。

その胴に入った姿は中々のもので、レコメンドには彼女が本当に玄人であると一目で分かった。

(これは・・・もしかすると、良い訓練が出来るかも知れません。)

そう思いつくやいなや、レコメンドは早速企みを実行に移すことにした。

「習うよりも慣れる方が話が早いです。どうですか?1度2人で演習をしてみるというのは?」

レコメンドの提案にサンビタリアはニッコニコの良い笑顔で頷いた。

防衛隊詰め所

 別名、防衛隊員の溜まり場。勿論、仕事のためにも利用されているのだが、非番の防衛隊員が集まって一緒に遊ぶ姿がよく見られるためにこの渾名がついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ