西地区教会 一触即発
この物語はフィクションです。
央海歴900年8月23日
11時00分 央海国・西教会
ガルベスは今、シチューを作っている。
心の中は乱れ、何で僕がこんな物を作らなければいけないのか、黒い感情が沸々と湧き上がってくる。
味見をする前から分かっている。シチューは恐ろしく不味い。
評価は外3級に届かない。こいつは評価無しのシチューだ。
料理を作る者の端くれとして、まったく納得出来ないのだが、シアプからの指示なのでしょうがなく作っている。
シチューを作る目の前には、ガリガリにやせ細った央海国民が並んでいる。
飢餓状態が長期間続いたせいだろう、表情が死んでいる。
評価無しのシチューを人様にお出しするのは真に遺憾ながら、そんな事を言える状況では無い。
ガリガリさん達には早急に食べてもらわないと、命の危険を感じる。
「ロストぉーー。お前ぇ、尻女神教徒の手先になるなんて。
央海国民の誇りは捨てたんかぁぁ。」
「嫌ならシチューとパンを食べなければ良いでしょう。
ですが、あなたは良いとして、あなたの家族はどうなんですか。
今はこれを食べましょう。」
「儂らにこんなもん食えというんか。ゴミみたいな食い物を。」
「生きる為です。言いたい事は食べてから言って下さい。」
いかななんでも、ゴミみたいは食い物は酷くない。
僕も作りたくて、このシチュー作っている訳じゃないでぇ。
ぐっ、我慢や。これもお仕事・これもお仕事。
そうこうしている内に、1つ目の寸胴のシチューは完成した。
協力者のロストさんに渡して、皆さんに食べてもらう。
だがその前に自分も食べたくはないが、シアプから先にお兄ちゃんが食べる様にと言われている。
ええい、さっさと食べて次のシチューを作らな。
スプーンでシチューを掬って口に運ぶ。不味い。不味い。
自分の作った料理とは到底思えない。
料理した事ない子供が、レシピも分からず見様見真似でなんとか作って、完成しましたってレベルや。不味い。
心を鬼にしてシチューを1杯食べきった。歯を食いしばって食べた。
ロストさんがシチューをどんどん配っていく。
早く次の寸胴のシチューを仕上げないといけない。




