パス
「な、なんでそんなものが見えるように...?」
非現実的なことを最近受け身として見ることはいくらでもあったが、
遂に自身が体験することはこれで初めてだ。
オカルト同好会に入っていながら心霊なんてものは馬鹿にしていた立場だ。
その男が紛れもない真実に立ち会っている
「今、僕と浬さんの精神のパスを繋いでるんだよ」
「精神のパス...?」
「要はこれで僕から繋いだものなので浬さんの精神の支配権が僕にあるのです!」
嬉しそうに言っているが、
冷静に考えれば恐ろしいことだ...
「でしょう? だから多くの生徒を操れたりしちゃえるんだよねぇ...」
心も読めているようだ
「ああ、やっぱり細工されてるよ。浬さんの魂に」
「え?」
どうやら俺のことを探れるようだ
「バックを忘れて怖い姉ちゃんに絡まれたでしょ?」
過去もお見通しのようだ。
なんだが恥ずかしいというか
おっかないというか...
「もう随分前から姉ちゃんは纏ってるってより、憑かれてるみたいだねぇ」
「纏ってる?」
「敢えて僕たちのように憑依させてる人は纏っているっていう認識なんだよ」
では悪霊に憑依される人は...
「そう、他にも自ら憑依させておいて
支配権をぶんどられちゃった人も憑かれる、に該当するね」
それが今の黒田さんか...
「なるほど...ふむふむ、よく分かったよ
ご協力ありがとーございました~」
そう言って彼が立つとオーラが見えなくなった
「ね? 急に動くとすぐパスが切れちゃうんだ
姉ちゃんは違うかもしれないけど...」
「俺に細工がされてたっていうのは...」
「う~ん、それはパスが繋がってたいうよりは過去に繋げられて
その時に憑けられたものが残ってた感じかなぁ...跡が残ったり
敢えて影響力を残しておけるんだよね、神霊クラスだと...多分」
そんなことまで出来てしまうのか...
そうなればずっとそのパスとやらを多くの人間と繋がなくても
他人の魂や精神を手中に収めておけるのかもしれない
だから学校支配が完成しつつあるんだ...
「なんのために彼女は多くの人間を操るんだ...」
つい疑問が口に出た
「う~ん...きっと思惑があるはずだよね...なんだろう...」
実際に魂のぶつかり合い、対話で知る他はないか...
しかし今のままでは知ったところでその先、
つまり勝負に勝つことが出来なければ意味がない
それをどうにかするために
ここに連れられてきたが今の必要な処置だったのか
「う~ん...まあ、分かんないし! 本題に進もう!」
そんな軽い事情ではないが...
今はこの嘉男くんの天井知らずな明るさに元気付けられている。
野暮なことを言うのは止そう
「さあ、今度は浬さんの番!!」
「え?」
「次は浬さんから僕にパスを繋ぐんだ!
成功すれば姉ちゃんの暴走する魂を助けられるかもしれない!」




