ドッキリ
「おいおい、嘘だろ!」
ベンチを見てもやはりいない
周りを見ても人影さえない
「そ、そんなぁ...」
音がするのは風に揺れる草木だけ
あの時と同じだ...
辛抱強くさがせば良いのだが今日は疲れている
ドリンクを取りにトボトボと自動販売機まで歩く
やはりあの正気に近い彼女と共にいれる時間は少ないんだ
さっきまでケラケラ笑っている彼女を思い出すとふざけているようだが、
あの状態から性格に変化があったら俺に迷惑を掛けるから自分から消えたのかもしれない
迷惑...
確か彼女が俺に告白...と勝手に受け取っている言葉にも含まれていた。
とは言えこんなにも重要なことを指していたなんてことは予想だにしない
彼女から掛けられる迷惑なら俺は何でもない、
そう思ったが
人格を変えて色んな角度から降りかかってくるとは考えもしなかった
選んでいた飲み物はどちらも冷たい水とお茶だった
せめて、この急に楽しい心が冷えてしまった気持ちを
温めてくれる飲み物にすれば良かった...
一人ベンチに座る。
さっきまで座っていたのに冷たい...
下手したら彼女は幻想だったのかもしれない
そんなことを考えながら横に置いた2本の内1本を手に取る
水を取ってしまった
違う、違う...
俺の気分を表すようなそんな
ほろ苦い茶を今、欲しているんだ
そうやって手探りでもう一本を掴もうとしたら何か柔らかいものが手に触れた
ん?
なんだこれは...?
「そんなに冷たい手で太もも触らないで欲しいんだけどなぁ~」
「ひゃあ!?」
そこにまた彼女がいた
「な、なに!? マジック!?」
「いやいや、ベンチの裏に隠れただけなのに観察力なさすぎでしょ...フフッ」
全然気付かなかった...
というかまだ笑ってるし
「はあ...ビックリさせるなよ...」
「またアタシがいなくなったと思ってビックリしたぁ?」
...というよりは
「また会えて良かったよ...」
素直の感想が口に出た
それを聞いてやっと彼女の笑いも収まった
「へえ~、結構嬉しいこと言ってくれるじゃん」
「まあ...」
それで終わるほど俺も性格の良い男じゃない
「逃げないように首でも捕まえとくかな!」
冷えたで彼女の首を触った
「冷たっ! やったなぁ~?」
そうして楽しい取っ組み合いが始まるかと思われた時
「ああっ!!いつまでイチャイチャしてんだコラぁ!!」
いきなり後ろから大声がして草むらから誰か現れた!
俺達は固まり、そいつもつい出てきてしまったことに固まった
それも束の間
「や、やべっ!」
そいつは逃げ出した
「だ、誰なんだ?」
「ああ、アタシのストーカーじゃない?」
「え!?」
何でそうやって大事な話を軽々しく言うんだ!
「お、追わなくていいの!?」
「ん~? そんな男らしいとこ見せてくれるの?」
な、なんだそりゃ...
まあ、そんなこと言われたら...
「ああ...見せて、やるさ!」
急に気分が良くなって走り出した
「そうこなくっちゃ!」
そう言って後を彼女が付いてくる。
こうして
これ以上ないほどの安心を得て、
全速力でそのストーカーとやらの追跡劇が始まった
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