帰り道
この冬の時期、帰り道はいつも真っ暗だ。
夏にはこの時間帯が明るいことが嘘のように
そんな暗い中、
今日はバックも背負わずの帰宅となって
身体は軽いが気が重くなる。
中には勉学に必要なもの程度しか無い...はずだ
...やはり不安だ
そもそも自分の持ち物がなくなると不安で仕方なくなる
それもよりによって...
「黒田 奈々に取られちゃったからねぇ...」
「そうなんだよ...」
ん...?
そろりと横を見る
「今日こそはこんばんわ、だね」
「アアああッッ!!」
帰ったはずの彼女がいた
「ひ、ひィ...ごめんなさいィ...」
「ど、どうしたの急に?」
ど、どうしたもなにも...あなたのせいなんですけどォ!?
「あ~...別のアタシか私に何かされたんだね」
...おや?
まさか...
彼女は近付いて来てうずくまる俺の頭を撫でた
「アタシだよ、アタシ...って言っても分からないか~...う~んと、そうだ!
公園の時の―――」
「公園の時の黒田さんですか!?」
急に芸能人に会ったファンのように立ち上がって聞いた
「う、うん!そう、アタシだよ!!」
「あ、ああ、あああ...」
膝から崩れ落ちてしまった
「だ、大丈夫?」
「き、緊張が解けてつい...」
「大変だったんだね...お~、よしよし」
俺達は道端で傍から見たらナニかしているカップルだと思われたら
大変なので近くの公園で話すことにした。
「...公園の近くに行ったら今のあなたに毎回会えるんですかね?」
初めてではないのにやっと幸せな気分で彼女の手を握ったままベンチに座った
「あははっ、そういう訳じゃないと思うけどね」
つられて俺も笑った、
もう長いこと笑ってなかった気がする
「今までのことって...覚えてます?」
フランクに何かを聞けるのは今の彼女だけだ
「うーん、うっすらなんだよねぇ...そうだ、だからさあ!
何があったか教えてよ~」
彼女は自分のことなのに自分のことでないように聞いてくる。
そうして俺は今までのことを語って聞かせながら自分の中の質問を整理した
「へえ...そんなことがあったんだ...っていうかさぁ!
さっきまで君をアタシが襲ってたっていうのが...プっ...
う、ウケるんだけど...アハハ!」
「ちょ、笑ってる場合じゃないよ! マジで危なかったんだから!」
本当に彼女は覚えがないようだ
「ああ~ ごめん、ごめん...」
言ってみれば見た目は同じでも、目の前で笑い泣きしているのとさっきじゃ別人が過ぎる
「その...本当に憑依されてるの?」
「え、ああ、アタシ? そ、そうなんじゃないかなぁ...」
真面目な質問にまだ笑いが止まらないようだ
「それでお母さんから聞いた――」
「ブフッ!」
「あのさぁ...」
「ご、ごめんって...」
食べてはいけないキノコでも食べたように笑っている
「...ちょっと飲み物買ってくる、落ち着いて聞いて欲しいし」
考えれば財布を常備していた良かった
学生バックの方に入れていてたらアウトだった。
「いやいやそんなの良いって~...フフッ」
「ほら、全然ダメじゃないか...」
立ち上がって公園の自動販売機に向かう
「行ってる間に消えちゃうかもよ~?」
「じゃあ、君の方を向きながら行くよ」
そういって後ろ向きに歩いていく
距離が離れてもニヤニヤしている彼女を
見つめ続けて自動販売機の前についた
まあ、一瞬なら大丈夫だろう
すぐ適当に飲み物を選んでボタンを早押しのように押して振り返った
案の定、彼女は消えていた
閲覧ありがとうございました。




