11、王宮での二人
王宮にフルサル伯爵家が到着すると、ざわめきが広がった。
まずは、目ざとい女性陣だ。
「あら?フルサル伯爵家の奥様達のドレス・・・素敵!」
「いつもと違ってらっしゃるわね!」
「あのふわふわ何で出来ているのかしら?知らないお嬢さんもいるわ。」
「セイジュルス様・・・。ご結婚されたって本当だったのね・・・。」
「クローディアス様が少女をエスコートしてらっしゃるわ!」
「夜会にいるだけでも珍しいわ。今日は仲の良い王子の誕生日ですものね。」
「奥様たちのドレスが揃えられているわね!親しいお嬢さんなのかしら。」
「知りたいけど、近づけないわ~!!」
男性陣はフルサル伯爵家を見ると、逃げるように遠巻きに移動する。
「おお、フルサル伯爵家が来たぞ。・・・あちらのほうへ移動しようかね。」
「何か隠していることでもあるのですかな?ふふふ。」
「そ、そんなことはありませんとも! ははは・・・。」
「長官、今日も早退されちゃった・・・!書類がたまっているのに~!」(伯爵の部下)
「セイジュルスの奥方は、女官の時よりきれいになったな。」
「おい!クローディアスもいるぞ!少女をエスコートしている!誰だろう?」
「見たことがないが・・・。かわいらしい子だな!」
「え!伯爵家次男にそんな趣味があったのか!?うぉ!なんか氷のつぶが飛んできたぞ!」
(今日こそ、クローディアスさまに・・・!)
伯爵家に、肉食系お嬢様が接近してくる。
「あの、クローディアス様、わたくし・・・。」
「おお、これはコスエス男爵のお嬢さん。」
さっと前に出た、フルサル伯爵様が会話を遮る。
「今日は、○○さんとお庭に行かないのですかな?先程、彼が探していましたよ!」
「(ぎく!なんで、誰にも言ってないのに・・!) し、失礼します!」
「また犠牲者が出たぞ。フルサル伯爵の怖さをしらないのか。」
「先週の夜会で○○と庭でいちゃこらしていた娘だろ。ばかだなー。」
「うちの国の諜報部長官様を舐めてもらっちゃあ困るぜ。」
「クローディアス様、聞いちゃいないぜ。少女にお菓子をあげているようだ。」
そして、ダンスを踊りだす、クローディアスにみんなびっくり!
「おい!第二隊長踊ってるぜ!初めて見た!」
「え、少女趣味だったのか・・・?ぎゃ!氷のつぶが飛んできたぞ!」(アゲイン)
ダンスが済むと、二人に第三王子ユーアティリオが寄ってきた。
「よく来てくれたな。どうだ、夜会は。」
「お誕生日おめでとうございます。夜会はとても素敵です!ありがとうございます。」
ニコニコ笑うチェリーと話をする第三王子にムッとする、クローディアス。
「きゃあ、突然抱き上げないで!猫じゃないのよ!」
びっくりする彼女の後ろで、ユーアティリオがクローディアスとこそこそ内緒話をしている。
(おい!ヤキモチは嫌われるぞ!)
(! 嫌われたくない・・・。)
(どうだ、ダンスで仲良くなれたか?)
(コクリ)
(よし、庭でも散歩してこい。いいムードでな!キスぐらいはしてみろ。いいな!)
(・・・コクリ)
クローディアスがしぶしぶ彼女を下ろすとユーアティリオがチェリーに話しかけた。
「王宮の夜の庭はきれいだぞ!二人で散歩したらどうだ?」
「ありがとう!ちょっと人に疲れてきたので嬉しいです。」
いつものように手をつないで、庭へと出ていく、チェリーとクローディアス。
伯爵家4人とユーアティリオが微笑ましそうに見送っている・・・。
「わあ、本当に素敵だわ。夜のお庭。
ふう・・・、ちょっと疲れたみたい。」
「・・・大丈夫か?」
「ええ・・・、でも、もうちょっとここにいてもいいかしら。」
庭園の噴水のそばのベンチで休む二人。
クローディアスがそっとチェリーの手をつなぐ。
「いつも手をつないでくれるのね。穴に落ちたりしないわよ?」
「・・・。」
「心配なの?ふふ、ありがとう。
・・・ここにいてもいいのだという気がして嬉しいわ。
もうちょっと幸せになれるかしら、わたし・・・。」
クローディアスが、そっとチェリーに指輪をはめる。
「え、くれるの?でも・・・。」
クローディアスは、チェリーにそっと近づいて頬にキスをする。
顔が真っ赤になるチェリー。
「あなたって無口なのに 心(しっぽ?)には表情があふれているのね。
もうちょっと一緒にいてもいい?・・・ううん、ずっと・・・ずっと一緒にいたいな・・・。」
見つめ合う二人。
「君を愛している。結婚してください。」
「嬉しい。クロー様・・・。こんな、もうちょっとのわたしでいいのなら・・・。」
二人の距離がそっと近づいていく・・・。
いつもありがとうございます〜〜。




