仮面をかぶった者同士。
人はいつか必ず死ぬ。
それは、誰もが知っていること。
人間も。
動物も。
植物も。
魔物も。
どれほど強力な力を持っていたとしても、いつかは老い、死んでいく。
だからこそ、人は限られた時間を大切にする。
誰かを愛し、
誰かに愛され、
誰かと共に笑い。
そして、別れを惜しむ。
だけど、私はいつからか、その輪の中にはいない。
* * *
「我が国が誇る、天星の12使徒。——第二位。ルシア・エル・ゲッカ様が到着いたしました。」
名を呼ばれ、私はゆっくりと前を向いた。
12使徒。
この世界に存在する〈災い〉を討つために選ばれた、十二人の魔術師たち。
その中で、私は第二位。
そして——。
「〈全属性の魔女〉か。やっと来たな。」
いつしか、人々は私をそう呼ぶようになった。
炎。
水。
風。
土。
雷。
氷。
光。
闇。
この世界では、人は生まれながらに一つの属性しか持たない。
それが、この世界の常識。
けれど私は、そのすべてを扱うことができた。
だから、私は特別だった。
だから、私は恐れられた。
だからこそ。
私は、永遠を生きる。
「——第四位。シリウス・エルディア様がお越しになられました」
門兵の声が議場に響き渡った。
私は声に振り向く。
そこに、一人の少年が立っていた。
ここ最近、新しく12使徒へ加わった、若き天才魔術師。
彼のその身に宿る魔力はこの場にいる誰もが認めざるを得ないほど強大だった。
新入りでありながら、第四位。
異例の抜擢だった。
少年がこちらへ歩いてくる。
そして、
私の前で足を止めた。
「先の〈災い〉討伐、お疲れさまでした」
そう言って、少年は微笑んだ。
どこか不自然な、仮面をかぶったような笑顔で。
「......ありがとうございます。エルディア様もお疲れさまでした」
私も微笑み返す。
やはり、この人は苦手だ。
何度顔を合わせても慣れない。
何を考えているのか分からない、あの笑顔。
「では、また後程」
そう言って彼は、踵を返して自分の席へ向かっていった。
私はその背中をしばらく眺めていた。
だけど、なぜだろう。
ほんの一瞬だけ、
この光景が、どこか遠い記憶と重なった。




