あとふたり
あれ、だよな?
間違いないよ。
声かける?
そうだな、せっかく来たんだから。
「あの…ギリギリオーナーちゃんねるの律さんですか?」
「あーはい。ギリギリオーナー律です。ファンですか?w」
「あ、いつも見てます」
「応援してます。フォローしてます」
「あざーす!」
「ここでランチするって、以前話してたから」
「え?ストーカーっすか?おっさんが、おっさんの?」
「いや、俺たちお願いがあって探してたんです」
「そうなんです。ここで張ってたらいらっしゃって」
「俺、ガード甘いわーwとりあえず、奢るから食べなよ。これ、オススメー」
律さんは気さくな人だった。俺たちは高校同級生で、律さんのYouTubeを見て、プロチームを作るためのノウハウっていうより葛藤を見てきた。たぶん、フォロワーはその方法を学びながら、律さんの人柄に惹かれてると思う。実は俺たちは以前から律さんを知ってたんだけど、その頃から惹かれてた。楽しいことも辛いことも、ストレートに伝わってくるのが嬉しかったり、頑張れーと思ったり。同年代として、心を揺さぶられるんだよね。
でさ、律さんが先日チーム作って大会に挑むっていうコメントが上がってて、まだ人数足りないって話してて。俺たちも参加したいって思っちゃったんだよね。
瑠さんに会えるかもって、下心もないとは言い切れないw
まさか、こんなに簡単に会えると思わなかった。
律さんってYouTubeのとおりの人だwマジでこんなに簡単に会えるなんて、ガード甘すぎ。てか、ガードなんてしてないでしょ?仕事の昼休みに「これ、面白いんよー」とあいつに見せられたYouTubeが律さんの動画だったんだけど、顔出してるからすぐ「あーこれ南高の律さんだ」ってわかった。今、こんなことしてるんだー。変わってないなって。俺たちは学年は1個下で、律さんの高校とよく練習試合したけど、常にポジティブな声がけしてて「あんな先輩いたらなー」って思ってた。ウチはサッカー強豪校だったから、南高とは試合前の調整試合だったんだけど、南高のサッカーって楽しそうでさ。いいなって思ってた。その中心にいたのが律さんで、俺、勝手にモニター越しの再会にドキドキしたw
それで、チーム作る、大会出る、人が足りないって、やるしかないじゃん。
あいつと2人で、DMとか面倒なことしないで、生活圏内一緒なんだから、いくつか行ってみようぜってことになり、一発目で発見したってわけ。
自己紹介すると
「あれ?東高のサッカー部にいなかった?」って。
この人、本当にすごいな。1個下の対戦チームの俺たちの名前を覚えてるの?
「当たり前じゃん。俺、戦略家だもんw1個下なのに試合に出てくる強豪校の選手って、絶対、フリーにしちゃいけないっしょ」
「俺たちは、そんなんじゃないですよー。俺たちは律さんのこと覚えてます。で、YouTube見て『思ったとおりの人だ』って」
「大会出るのに人数足りないって聞いて、俺たちでも足しにはなるかなって話して、きちゃいました」
「えらいえらい。会って話す方が、チーム作るのに判断しやすい」
「それに、断りにくいでしょ?w」
「わかってるねーw」
突然現れた俺たちに、律さんはオススメを奢ってくれた。
「で、いつから来れる?」
「採用ですか?」
「うん。2人のプレイは知ってるもん。ぜひ、きてくださいな」
マジか?俺たちのプレイって、高校の時の頂点のプレイで、今はおっさんだし。
「大丈夫。ボールに向かう姿勢とか、チーム内でやろうとすることとかって、変わらないから。俺のチームは、そこんとこ大事。今、ここでこうやってさ、おっさんたちが、ワンプレイで俺を見つけて、ゴールしてんじゃん。俺には伝わるよ。おっさんたちがどうしたいかがさ。
『サッカーしたい』それってもう、チームじゃん」
やばいなーこの人。
人の心をガッチリ掴む。俺たち、律さんとサッカーしたかったんだ。
対戦してたあの頃から。
あー早くサッカーしたい!
明日に続く




