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悪魔と悪魔 (Demon & Devil)  作者: サムライドラゴン
本編
2/5

デーモンとデビル

メインで書いてはいないので、更新は遅めです。



 時刻は午前3時を過ぎている。

 街中は暗く、人も歩いている様子はない。



 数分後、帰宅途中の紳士が歩いてきた。

 そして、まだ明るい通りからとても暗い路地裏へ入って行った。


 数十歩進んだところで紳士は不安になってきた。

 何かが出るのではないか、という気持ちになり、一歩一歩進むたびに不安が募る。


 しかしこの路地裏を通らなければ、かなりの遠回りをしてしまう。




 紳士の周りは漆黒の空間に包まれ、もはや目を閉じて歩いているのと同じ状況だった。


 紳士は直線に進む。

 幸い路地裏の直線ルートは、ただまっすぐ進めば簡単に抜けれるため、周りが見えなくても平気であった。


 目には見えないが、風で空き缶が転がる音が聞こえる。

 唯一注意すべきは、空き缶を踏んで転ばないようにすることだろう。




 いや、唯一ではないか・・・。




「ん・・・?」


 この街にはもう一つ注意すべきことがある。

 というより、最優先で注意すべきことである。


 昔からこの街には真夜中にだけ現れる怪物がいる。

 当初、街の人々は迷信だと笑い飛ばしていたが、ある日その怪物を見ようとした男性が、翌日に無残な死体で発見されたのである。


 人々はただの殺人事件だと思っているが、このことがきっかけで、真夜中に街を歩く人がいなくなった。

 しかし彼のように大丈夫だと思い、出歩く人も多々いるのである。


 だが大体、そういう人々は怪物を目撃するのである。




 紳士は何かを感じ、駆け足になり一直線に出口に向かった。

 明らかに後ろから何かが迫っていた。


 無事に紳士は路地裏を抜け出せたが、突然の曲がり角でバランスを崩し、転倒してしまった。

 すぐに立ち上がろうとしたが、漆黒の空間から現れた目の前の怪物の姿に恐怖し、腰を抜かしてしまった。



 紳士が恐れていたことが現実となった。

 目の前には、白い人の顔をした大きな黒いクモのような生物が一歩一歩、ゆっくりと紳士に近づいてくる。


「助けて誰かぁー!!!」


 紳士が空に向かって大きく叫んだ。

 しかし真夜中に外を出歩く人はこの街では一切いない。

 それ以前に、人間がどうにかできる相手ではないだろう。



 怪物は笑みを浮かべながら一気に距離を縮め、紳士に飛びかかった。


「ああっ!!」


 紳士は完全に諦めていた。




 バァン!!!




 大きな銃声がなった。


 紳士は閉じていた目を開いた。

 目の前には顔を撃ち抜かれて、もがき苦しんでいる怪物がいた。


「ちぇっ、なぁ〜んだ。 最下級の "デビル" か。」


 紳士は声がした斜め上の方を向いた。


 そこにはフェンスに寄りかかっている、一人の男の後ろ姿があった。

 よく見ると脇の下から拳銃の銃口を覗かせていた。


 男はフェンスから離れると、フェンスを踏み台にして怪物の前に飛び降りてきた。






 怪物に襲われた人は今までにも沢山いた。

 しかしほとんどの人々が何故か生きていた。


 そして生還者たちの証言の中で必ず言うワードがあった。




「鉄仮面・・・。」


 男の頭には、鉄仮面のような被り物を被っていた。

 そしてコートを羽織り、手には拳銃を持っていた。


 鉄仮面の男は怪物に近づき、怪物の顔面を踏み、銃を二発ぶっ放した。

 すると怪物は動かなくなり、黒い煙と共に消滅した。


「おい男、死にたくなければ隠れてろ!」


 鉄仮面の男は紳士に向かってそう言葉を発し、動けるようになった紳士もそれに従い、近くの物陰に身を隠した。



 すると鉄仮面の男は、コートの中から取り出したライターでタバコに火を付け、一服し始めた。

 口元の八つの穴から煙が溢れ出し、空に消える。


 そしてタバコを咥えると、拳銃を左手から右手に渡し、歩き始めた。


 突然止まったかと思ったら、その場で思い切り飛び上がる。

 それと同時に漆黒の空間となっている路地裏の中から、先程の怪物が男の真下に飛び出してきた。


 男はすかさず怪物を撃ち抜き、怪物を両足で踏み潰す。

 そして怪物の頭を二度撃ち抜き、怪物は消滅する。



 今度は別の方向から二体の怪物が襲いかかってきた。


 一体は男が正面からの銃撃で仕留める。

 もう一体は飛びかかってきたところを躱し、がら空きになった背中を撃ち、転倒したところを仕留めた。


 その後も三体、四体と現れた怪物たちだったが、同じように男に仕留められていった。



 十五体目ぐらいの怪物を撃ち殺すと、咥えていたタバコを手に持つ。


「終わったぞアリス。」


 そしてやや大きめの声でそう発した。

 すると物陰から大学生ぐらいの女性が出てきた。


「ロイ、大丈夫?」

「最下級相手に俺が傷を負うわけねえだろ。」


 どうやら仲間のようである。

 そして男の名前は "ロイ" というらしい。


「おい、お前も出てきていいぞ。」


 ロイの言う通りに従い、紳士は物陰から出てきた。


「ありがとうございました。」


 まず紳士は帽子を外し、感謝の礼をした。


「夜間に歩くのはやめておきな。」

「はい・・・。 今後は気を付けます。」


 今度は紳士がロイに謝罪の礼をした。

 するとロイは片手をあげ、下ろしたと同時に隣にいる女性を連れて去ろうとする。

 紳士は追うように後ろから話しかけた。


「あの、もしかしてあなた・・・」


 紳士はロイに心当たりがあった。


「・・・あなた、 "デーモン" なのですか?」

「ん? ああ、そうだが?」


 ロイは足を止め、振り返りながら答えた。

 その返答を聞いて、紳士は膝をついて礼をした。


「お会いできて光栄です。」

「お、おう・・・。」


 ロイはやや照れながら言った。

 そしてロイと女性は暗い路地裏へと消えて行った。






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