第542話【ゼクード&ナイトVSレグ】
ドレスの狙撃に成功した。
あとは奴がゾンビ化するかどうかを確認してから排除する。
「ドレスーッ!」
倒れたドレスに駆け寄る女の姿があった。
見覚えのあるソイツは……
「アグリスか……一緒に居たなら好都合だ。まとめてやらせてもらう。リイドくん」
「はい!」
ゼクードはリイドに二本目の【エリザの矢】を貰い小型バリスタに装填する。
そしてドレスにすがり泣きつくアグリスに狙いをつけた。
するとアグリスがこちらに向かって叫んだ。
「ゼクード! なんでよ! なんでこんなことするのよ!」
なんで?
敵だからに決まってるだろ。
お前もドレスも、俺にとってはいつかは排除しなきゃならない討伐対象だったんだ。
利害の一致で協力したことはあったが、それはお前の翼を利用したかっただけに過ぎない。
「もとはと言えばお前らのせいなんだよ。全部!」
呟き、ゼクードは小型バリスタのトリガーを引いた
アグリスの眉間に飛んだ【エリザの矢】は、しかし寸でのところでレグに素手で掴まれて止められた。
「……っ!」
「アグリスをやらせるわけにはいかんな」
「ちっ」
まさかレグまで居たとは。
アグリスが居た時点で気づくべきだった。
「作戦は失敗だリイドくん。ヨコアナに下がれ」
リイドに小型バリスタを返しながら言った。
「は、はい! ゼクードさんは!?」
「レグを抑える。フランベールを呼んで狙撃の準備をさせるんだ。急げ」
「はっ!」
リイドは駆け足でヨコアナへ戻って行った。
すると近くにいたグロリアやセレンたちが来た。
「お父さん! レグが!」
「わかってる。俺がアイツを抑えるから母さんを連れてヨコアナへ避難していろ」
「わかったわ! 気をつけて! 今度は死なないでよ!」
「もちろんだ」
この身体で死ぬことってあるのかな?
そうボンヤリと思いつつ、ヨコアナへ駆け込むグロリアとセレンを見送った。
するとゼクードの隣にナイトが立ち、向かいのレグを見据えた。
『……凄まじいのがいるな。ヤツがレグか?』
「そうだ。悪いがナイト……カーティスとネオはまだ回復していない。俺とお前だけでやるしかないが、いけるか?」
『誰に言っている』
「はは……頼もしいな。リィちゃん。今すぐ俺たちを強化してくれ。最初から全力で行く」
『え? えっと……』
ゼクードの指示に戸惑うリィ。
従っていいのか分からないらしく、リィはナイトを見た。
『歌えリィ。終わったらすぐに離れろ。ただでは済まんぞ』
『わかった! ♪〜』
リィが『全能の歌』を歌い始めた。
全身から力が漲ってくるのが分かった。
これが『全能の歌』ってヤツか。
凄いな。本当に力が湧いてくる!
「ゼクード・フォルス。まさか生きていたとはな」
近くまで来たレグ・ディアマードが言う。
「ああ。お前の確認不足のおかげでな。死体の確認くらいしたらどうだ?」
「相変わらず生意気な奴だ。それに……」
レグは鼻をクンクンさせるとニヤリと嗤った。
「セレンの匂いが濃くなっているな。さては血をもらって蘇生したか?」
「お前を倒すには必要な力だと思ってな」
ゼクードを言うと、リィの歌が終わった。
すると先に退避していたグロリアがヨコアナから顔を出してリィに手を振る。
「リィ! こっち!」
『グロリア! うん!』
リィはグロリアに抱かれヨコアナへ避難した。
それを確認したゼクードとナイトは改めてレグを見据える。
「はっは! そうか! 人間を辞めたか! 馬鹿な奴だ。ちょっと血を入れた程度で勝てると思ったか? 本物の心臓を入れているこのオレに!」
「やってみなきゃ分からないだろう?」
「ならばやってみろ!」
気勢と共に踏み込むレグは大地を爆ぜらせた!
レグの振るう爪の一閃は鋭く深く、残酷な曲線を空間に刻む。
その爪の余波が何メートルも離れた岩にヒビを入れる。
しかしゼクードには当たらなかった。
セレンの輸血で片眼が治ったおかげで視野が広い。
そしてリィの『全能の歌』による強化も相まってレグの動きを追うことができていた。
それどころか反撃する余裕さえ生まれていた。
「『真・竜斬り』!」
地面すれすれの斬り上げ。
レグの爪を躱した瞬時に斬り返した。
その斬撃はレグの片腕を吹き飛ばし、レグを驚かせ大きく後退させる。
そこをすかさず追撃したのはナイトだった。
舌打ちしたレグは斬られた腕をすぐに再生させ、ナイトの爪の猛襲に対応してみせた。
「ドラゴンが人間と共闘だと! ふざけるな! なんなんだお前は!」
『……お前が死ねばこのふざけた状況も終わる。消えろ!』




