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「おい。いつまで寝てるつもりだ。いい加減起きろ」
「は、はい……」
あれからどれだけ地面に転がっていただろうか。
おそらくそれほどの時間は経っていないのだろうが、彼にとってはとても長い時間に感じた。
ようやく立ち直ってきたかと思ってきたところで、ロゼに蹴り起こされる。
もとはと言えば彼女のせいなのだが、反抗するほどの元気は残っていなかった。
「さて、起きたな。もう身体は大丈夫だろう」
「あぁ。今さっき蹴られたところ以外は……」
そうか。と彼女は短く呟くと冬夜の側頭部目掛けて蹴りを放つ。
唐突に放たれたそれを冬夜は避けられるはずもなく、側頭部に強い衝撃を受けてしまう。
はずだった。
はずだったのだが、それが飛んでくることはなかった。
正確には放たれているのだが、とても遅い。
『あれ?どうしたんだ?こんな速度じゃ普通に見切れるぞ?』
冬夜は難なく彼女の蹴りを手で弾く。
いつもの彼であればそもそも見切れるはずもなかった。
だが、今はよく見える。何度やっても同じ結果となるだろう。
彼女が手を抜いていてくれていたから。
「ふむ。調子は良さそうだな」
「調子良さそうだなじゃねぇよ!いきなり何するんだよ」
彼の怒りも最もである。
彼女が手を抜いていてくれたから良かったものの、本来であれば再び地面に転がることになっていた。
元気なときでも嫌だが、病み上がりに近しい今の状態ならなおさらだ。
「お前がちゃんと動けるかテストしただけだ。今のお前ならこの水晶も砕けるだろう」
「テスト?いや、さっきと何か変わった感じはしないけどな……」
「はぁ……それはお前が勘違いしているうえに鈍感だからだ」
ロゼの呆れた表情は二度と忘れられないだろう。
彼女に会ってからそれほど長い時間が経ったわけではないがわかる。
間違いなくこんな顔をしないことくらい。




