案件 幽霊③
夜も更けた頃、三人の学生風の若い男たちがやってきた。そこはひったくりの現場だった。そして、電柱に立て看板が置かれているのを見つけた。
「おい、なんだよこの看板。昨日までなかったよな。ここで死亡事故?目撃者探しか」
「花まで供えてあって、気味悪りいな」
「いや、好都合だろ。面白えじゃねえか」
「しっ!隠れろ!女がやってくるぞ」
「さて、火をつけて……」
「おい!あれを見ろ!」
「なんだよ」
「こ、子供が……!」
男たちが振り返ると、立て看板のある電柱のところに血まみれの子供がぶら下がっていた。
「……い、痛いよー」
「「「ぎゃーっ」」」
三人の男たちは逃げ出した。
よしよし、こっちに向かって来るな。
「よっと」
俺は走ってくる男たちが通る寸前に、ロープを引っ張った。ぴんと張ったロープに男たちは足を捕られた。
「うわっ」
バターっ×3
「千恵ちゃんの思いを体で知れ!」
「あ、石川さん……」
ドカッ
石川さんの蹴りや拳が男たちに降り注いだ。
「ああ、すっきりした!」
「石川さん、強いんだね……」
「いえ、そんなあ。少林寺拳法をかじった程度ですよ~」
あれで……?三人はボロボロだ。
そんなとき、満君が田沼君に抱き抱えられてやって来た。
「あ、満君、ありがとう」
「うっ、ロープが食い込んで、痛いよー」
「なんだ、痛かったのか。セリフが上手いと思ったんだよな。ごめんな、満君。田辺君もお疲れさま」
「子供でも、ロープで吊るすの大変でしたよー」
「まあ、これで解決したんだし、良かったな」
その後、三人を警察に突き出し、この案件は終わった。かに見えた。
ピンポーン
「はい」
「河田さん、お手伝いに来ましたよー」
「いや、石川さん、頼んでないから」
「えーっ、バイトさせてくださいよー」
「いや、今募集してないし」
ピンポーン
「はい」
「河田さん、みー君預かってねー」
「えっ?昨日預かりましたよね」
「細かいことはいいじゃない。よろしくねー」
「あ、ちょっと!」
はあ、浜本さん、なんとかならないかな……。
「私が面倒見ますよ」
「いや、それも……」
石川さんもどうにかならないかな……。女難の相でも出てるのか?まともな仕事が欲しい。