暗い夜道と鬼ごっこ 1 side Ryoka
無理矢理ルート分岐(´・_・`)
最近、颯太 ――弟の様子が変だったのは気づいていました。
弟の、というより弟から聞く学校の様子、それに怯える弟の様子というのが正確ですが。
颯太はここ一ヶ月ばかり、学校へ行くのをひどく嫌がり、帰りも絶対と言っていいほど走って ――逃げてくるように帰宅していました。
ただ不思議なのは颯太自身もその理由がはっきりと判っていないようなところです。
特にいじめられてる様でもなく、不良 ――って小学生でもそう言うのでしょうか?―― に絡まれるとかしてる風でもない。
原因は、不明。
ただひたすらに怯える弟を思い、この巴 涼香、今日は弟のお迎えに来たというわけです。
まあ、いつもの時間に帰ってこないという気になる要素もあるにはあったのですが、もしかしたら颯太の「問題」が解決したのかも……、など安直に考えていたのが悪かったんでしょうか……。
何となく辺りの暗さが気になりだしたわたしは胸ポケットのスマホに手を伸ばします。
――もう6時を回ってますね。
颯太のヤツ、こんな時間まで何をしてるのでしょう?
あの子の帰宅時間は、以前は5時くらいでしたが、最近は1時間くらい早くなって4時前後。 前と比べてほんの1時間遅いだけ、と言えるかも知れませんけど、最近の様子からみると気になるのは事実。 友だちの家に遊びに行く時でも、律儀に一度は帰ってくる子だから余計気になるところです。
――最近あの子は「学校がヘンだ」と言っていました。 どこが「ヘン」だと言うコトはなく、ただ「ヘン」だと。
そして「ヘン」と揶揄するような言い方をするくせに、ひどく怯え怖がり、嫌がっていたんです。
もしかしたら本当に、何かオカシイことになってるんでしょか?
たとえば、
①宗教的なナニか ――それはあったら確かに「ヘン」ですが、そんなのだったら他の児童もなんか言ってますね…って自分で自分の考えにツッコミ……。
②ヤバイ教師の出現 ――だったらとっくに保護者たちが大騒ぎしてますよね。 最近の風潮ですと特に。
③ヤバイ人が侵入 ――ならニュースになってます。 というか警察が来てますよね。
④学内抗争 ――ってマンガの見すぎです。
……考えても思考は明後日の方向へ飛んでいってしまいます。 それはある意味当然かも知れません。 ……だって「ヘン」だけしか情報がないんですから。
何にせよ、わたしはさっさと颯太を見つけるだけです。
そしてそれはとても簡単なこと。 我が巴家は大江山小学校のごく近所なのです。 玄関を出たら学校の敷地が見えるくらいに。
歩いて一分、すぐに校門が見えてきます。 校門の前の、人影も。
一瞬颯太かと思いもしますが、影はふたつ。
片方は180くらいあるでしょうか、結構な長身です。
もう片方は逆に150そこそこ ――いえ、もっと低いでしょうか? かなり小柄に見えますし、シルエットでスカートを穿いているのが解りますから、どう見ても女の子ですね。
颯太ではないです。
家族のお迎え、でしょうか? だとすると何かの事情で複数の生徒の帰りが遅かったのかもしれません。
帰りが遅いからと、気にしすぎたのですかね。
その人影へ頭を下げつつ近寄ります。
児童の親御さんかと思っていたら若い、ですね。
それに何となく見たことがあるような……? 年齢的に、同じ神代高校の人でしょうか?
なら見た事があってもおかしくありません。
……あれ? 何を持ってるんでしょう、この人は?
近寄るとその人が、1メートル以上はあるでしょうか、棒を持っているのに気づきます。
布の袋に包まれたそれは……竹刀でしょうか? 剣道部?
その人はわたしが校内へ入ろうとするのに気づいたのでしょう、道を空けるような仕種をします ――が、止めてしまいました。 と言っても邪魔をするような事はなく……、何でしょう。 戸惑ってる様な……?
「……待って」
それは傍らに居た女の子の声。 平淡な、感情の篭らないそれ。
「……その子、普通のヒトじゃない……」
………えっ?
颯太と同じくらい ――いや、もう少しは上でしょうか―― の女の子から「その子」呼ばわりされたのもビックリですが、いえ、それよりも――。
「……普通の、人間じゃ、ない」
女の子は傍らの剣道部員さん(仮称)に言い聞かせるように、その言葉を繰り返します。
ですが剣道部員さん(仮称)もそう言われて戸惑ってるようです。
と言うか、わたしの方が戸惑ってるんですけど……。
とりあえず、……どうしましょ?
このパターンは逃げた方がいい気がします。 でも、何だか動けませんっ!?
「……貴女、誰?」
中々動かない剣道部員さん(仮称)に変わって女の子が前に出ます。
何かすごく恐いっ。 何なんすか、無表情で殺気混じりって!
「はははははっ………」
あたしは、渇いた笑いを浮かべつつ、両足に活を入れて ――きびすを反して走り出す!
脇目も振らずに猛ダッシュ。
すぐさま我が家に指しかかり、ちらりと後ろを見て見れば……。
「何で追っかけて来るッスかぁ~っ!?」
再度ダッシュ!
ああ、我が家が後方に…………。
後ろから少し聞こえてくる、軽い足音。
軽いけど、それはすごく、速い。
「あ、あた、あたあた……あたしが、あたしが何かしたッスかぁっ!?」
いきなり殺気を纏った少女に追いかけられるの不幸ではあるけど、ここ数年、頑張って被ってきた猫がポロっと脱げてしまった事のが、何か哀しかったのはないしょッス。
頑張ったんスよ、ホントに。
今後も出るかどうか解らない巴さん。
○ 巴 涼香・・・日系吸血鬼の少女。 高校1年生。
吸血鬼ではあるが不死者としての吸血鬼ではなく、いわゆる吸血種族であり、かつ血も薄まっている為、吸血鬼らしい弱点も特徴も、趣味嗜好の範囲に収まってしまっていたりする。 それでもその血はまだ濃いと言える方。
◉一人称・・・わたし
◉特徴・・・血族、家族思い、猫っかぶり、高運動能力、鋭敏聴覚、カナヅチ、
◉特殊・・・吸血、噂話、猫の小路、
◉ヘレティック・・・なし
◉ミュータント・・・なし
◉クラス・・・吸血鬼、




