side 6-1
山口眞子(雷華の妹)side
今、ありのまま起こった話をするわ!
アタシは山口眞子。16歳。高校2年生。
割と歴史あるアーケード街にある写真館の娘で、家族構成は父ちゃんと母ちゃんと兄ちゃんの4人。あとミドリガメ2匹もいる。
今日学校帰りに友達とファミレスで駄弁ってたんだけど、解散後の帰りに見ちゃったんだよね。
兄ちゃんが女の子連れてる所。
身内だけど贔屓目に見ても男前な分類に入る兄ちゃん。ただ兎に角女っ気が無く彼女の影を一切感じない。
アタシ以上に可愛い物が好きだし、そんなんだからもしや男色の気があるのかと思っていたけどそうじゃないみたい。普通に女の子にも興味がある事が分かって安心した。
少し離れた距離で兄ちゃん達の後を追ってみる。
並んで歩いているけど手は繋いで無い所から、まだまだ深い間柄って訳ではなさそうね。
でも兄ちゃんは満更でも無いみたい。
兄ちゃんって表情筋壊れてるから一見、喜怒哀楽が乏しいんだよね。パッと見で平静さを保っている様に見てるけど凄い嬉しそう。あの微妙な表情は家族にしかわからない。
女の子は…兄ちゃんってあんな感じの子がタイプだったんだ。
愛らしい雰囲気の子だなぁ。年はアタシと同じ位か少し上って感じ。恐らく専門学校の後輩って所でしょう。凄く楽しそうに女の子はお話をしているみたい。
そうか!これが俗に言う「両片思い」ってヤツか!SNSや漫画で見た事あるヤツだ!
数ヶ月前にアタシのアニマルバニアを譲ってくれないかと言われて一式あげたんだけど、あの子にあげたのかな。
もしかして2人で遊んでいたりするのかな?人形は持っていかなかったけど、彼女の方が持っているのかな?もうアタシの妄想が止まらない。
少し歩いた先でテラス席のあるカフェに2人が入って行く。
やば。さっき友達とファミレスで使っちゃったから、ちょっと中まで尾行は出来ないや。
運良くテラス席に通されたのを確認すると、カフェの道を挟んで斜向かいにある遊具が2個しか無い公園のベンチへ移動して見守ってみる。
彼女はわからないけど兄ちゃん視力良く無いから、この距離ならアタシの事はバレないだろう。
ちょっとチビッコ達が数人走り回ってるけどまあ良いわ。
2人で仲良く話している姿は絵になるなぁ。
いつか兄ちゃんから紹介されたりするのかなぁ。
自分の色恋沙汰にはイマイチ興味が持てないが、他人の恋愛話は大好物なんだよね。
幸せな話は大好き。アタシにとっては心の栄養剤。
不倫とか奪略とかはダメ。悲しい話は虚しくなるだけ。
生きてるんだからハッピーでいたいがアタシの考え。
「ギャルのお姉ちゃん!」
「アタシ?」
公園で遊んでいたチビッコ達に話かけられる。
「そう。派手なお姉ちゃん。」
「アタシはそんな派手じゃないよー?んで、どした?」
「お姉ちゃん、野球の審判やってよ。」
「野球わかるー?」
「こんなチャラチャラしたギャルに審判なんか出来ねーよ。」
気付いたらさっきよりもチビッコが増えている。しかしこのチビッコ好き勝手言ってるなぁ。
「これでもアタシは横浜コロンビーナのベッチさんのファンだからね!野球のルールくらい分かるわ!ほら!行くよっ!」
ワッと20人位のチビッコ達に囲まれてしまった。
横浜コロンビーナは横浜を本拠地とするプロ野球球団。
ベッチさん事、上尾野辺 千草選手は中堅ショート選手。プロ野球選手なのにコンビニ弁当で過ごす凄い人。




