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ランドレス戦記〜漆黒の女騎士は亡き主の意思を継ぎ戦う〜  作者: ヌマサン
第3章 新たなる王国
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第60話 勝てば官軍、負ければ賊軍

どうも、ヌマサンです!

更新が遅れてしまい、申し訳ないです……

今回はジェフリーがロベルティ王国の国王になった後の話になります!

はたして、ジェフリーが国王になったことで、ロベルティ王国内でどういった事態が起こってくるのか……!

それでは、第60話「勝てば官軍、負ければ賊軍」をお楽しみください!

 ジェフリーが新たなるロベルティ王国の国王となって数日。ジェフリーは親書をしたため、南部の3国――シドロフ王国、フォーセット王国、プリスコット王国のそれぞれに使いを送った。


「アルセン、ラウル。ジェフリーからの書状だ。オレは良い機会だ、親父を殺したユリアのいるナターシャ陣営を叩き潰したい。ついでに、ユリア・フィロワの首を取って、親父の墓前に供えてやる!」


 若く、血気盛んなシドロフ王カイルは激情に駆られるまま、ジェフリーに味方すると言い出した。対して、彼の幼なじみであり、側近でもあるラウルは「とんでもない」と諫めにかかる。


「カイル王、いくらジェフリーの背後には帝国がいるとはいえ、相手は『漆黒の戦姫』!ヤツも一騎当千の強者だが、他にもアマリア・ルグランのような猛将も数多くいるんだ」


「おい、ラウル。テメェ、いつからそんなへっぴり腰になっちまったんだよ!アマリアと言えば、アンディを殺したヤツじゃねぇか!そうだ、アマリアの首も獲ってアンディの墓参りにでも行こうぜ!」


 カイルはますますナターシャと敵対する気持ちを強くした。アンディの話題を出したのがマズかったかとラウルは内心、後悔していた。しかし、後悔したところであとの祭りである。


「カイル陛下、ここはジェフリーの方に味方するべきだろう。今はジェフリーに協力して、ナターシャどもを皆殺しにしてしまえば、残るはジェフリーとかいう無能だけ。ロベルティ王国へ攻め込み、版図を拡大することもできる!」


「へっ、そいつはいい!アルセン!さすがはシドロフ王国随一の猛将!言うことが違うぜ!」


 その後、カイルは手勢を集め、王都パレイル南に駐屯しているトラヴィスの軍を奇襲した。


 なぜ、トラヴィスたちがここにいるのか。それは、聖都コーテソミル制圧後、負傷兵と共にゆっくり北へと戻ってきていたからである。その途上にあたる王都パレイルで一休みしていたのだ。


 そこを約定を違えてシドロフ王国の軍勢が攻め込んだとあっては、総崩れであった。さすがの名将トラヴィスでも、半数近くが負傷兵である軍勢ではいかんともしがたく、5千近い兵を討たれてしまう。


「兄者、無事だったか!」


「叔父上!ご無事で何よりでござった!」


「おう!ローランもノーマンも無事で安心したぜ。ここはナターシャ殿のいる聖都コーテソミルへ引き返すぞ!」


 ウルムクーナ川北岸でトラヴィスはローランとノーマンたちや、敗残兵を糾合し、南へと撤退。その数およそ8千。その後は、ナターシャに急を告げるべく、南の聖都コーテソミルへと引き返していくのであった。


 この勝利に酔いしれたカイルはラウルを使者として、ジェフリーに協力することを誓った。ジェフリーもカイルの決断を英断だと称賛し、この後の作戦に加わるように指示した。


 この後の作戦とはすなわち、3路からの侵攻であった。当初は軍勢を3手に分け、南の3国へそれぞれ進軍するつもりであったが、シドロフ王国が味方となったため、作戦は変更となった。


 すなわち、1路はルイス率いるヴォードクラヌ領の1万8千の大軍。これをもって、プリスコット王国へ。そして、デニス率いる帝国兵1万8千はカイルたちはシドロフ王国へ。


 残るフォーセット王国へは、ジェフリー自身が帝国から借り受けた兵とロベルティ王国内で徴兵した兵を併せた、1万2千で向かうこととなっている。


 また、シドロフ王国はジェフリーたちに協力する姿勢を見せたため、当初の予定を変更し、シドロフ王国の6千の兵は帝国の将軍デニスとウルムクーナ川北岸で合流することとなった。


 一方、南の3国の西部に位置するプリスコット王国では。


「フン、ジェフリー・ルグランが新たなロベルティの王になったか」


 王都クルメドにてラッセルは使者からジェフリーの書状を受け取り、一読する。その文面は明らかに自分たちを小国として侮る者であり、ラッセルはその時点で答えを決めていた。


「当方の返事はそれだ。持ち帰って、ジェフリーに伝えておけ。お前のようなクズは生かしておく価値もない。近いうちにクライヴの墓参りのついでに、お前の首を受け取りに行ってやる……とな」


 ラッセルは使者をその場で斬り捨て、その首を使者の護衛に投げ渡した。護衛たちは震えあがり、王国へと逃げ帰っていった。この時点で、プリスコット王国は宣戦布告を行なったようなものである。


 それは国王であるラッセルも分かっている。よって、真っ先に敵が攻め寄せるであろう副都ゼンドアにいる妹のマリナに書状をしたため、アランと共に守りを固めるように命じた。


 そして、自らも王都クルメドの守りを固めるべく、急ぎ迎撃の準備を整えていくのであった。


 数日の後には、ジェフリーの元にラッセルからの痛烈な宣戦布告は届けられた。これに憤激し、自己の誇りを傷つけられたジェフリーはプリスコット王国を攻めるルイスに何が何でもラッセルの首を献上するように指示したのだった。


「ルイス様、いかがなされますか?」


「アレーヌか。こんなくだらん戦で兵を消耗するつもりはない。それに、ジェフリーとかいう小物では、ナターシャの相手など務まらん。近いうちに、あいつも父親の後を追うことになるだろう」


 ルイスはジェフリーに指示されたことに怒りを覚えていた。『あのような小物が偉そうに……』というのが、紛れもないルイスの本心。それに、憎い帝国に心から従っているわけではないため、しばらくは成り行きを静観するつもりでいるのだ。


 そんな一枚岩ではない帝国側へ、次はフォーセット王国からの返答が届けられた。


 3国の東、海岸部に位置する国。フォーセット王国。女王クリスティーヌは美女であることで知られるが、同時にイケメンに目がないことでも有名だ。


 そんな彼女でも、王として、人としては、賢明である。よって、ジェフリーの誘いには乗らなかった。そのうえ、『死にたくなければフォーセット王国には来ず、王宮に引きこもってはどうかしら?』という挑発的な文面を叩きつけられたのである。


 ジェフリーはプリスコット王国に続き、フォーセット王国からもプライドを踏みにじられる結果となっていた。


「小国の分際で私をコケにしやがって……!」


 彼は怒りに燃えており、即日兵を率いて王都テルクスを発った。ジェフリーは兵1万2千を率いてフォーセット王国へ、ルイス・ヴォードクラヌは1万8千の軍勢と共にプリスコット王国へ。そして、デニス率いる騎兵1万8千はシドロフ王国方面へと進発。


 南下してくる帝国の大軍勢は総勢4万8千と数えられ、そこにシドロフ王国軍6千を加えれば、総勢5万を超える大軍勢であった。


 さらには、南からも帝国が誇る名将カルロッタ率いる6万5千が聖都コーテソミルの南、ヘキラトゥス山地へと侵攻を開始する手はずとなっている。


 すなわち、南北併せれば12万に届くほどの大規模な侵攻。これを聖都コーテソミルにいるナターシャたちはいかにして防ぐのか。


 腹背に敵を受ける絶望的な状況は、すでにナターシャの元へと届いていた。尊敬するセルジュの死、弟であるクライヴの死と共に。


 さらには、母シャノンと女王マリアナ、セシリア行方不明の報せも合わせて入っている。


 だが、プリスコット王国とフォーセット王国からは味方となるという内容の使者が来ており、完全に詰んでしまったわけではない。なにせ、この旧クレメンツ教国で集めた有能な人材も健在である。


 ――その人材を活かせるか否か、すべてはナターシャの双肩にかかっている……!

第60話「勝てば官軍、負ければ賊軍」はいかがでしたでしょうか?

今回はジェフリーが帝国軍とともに南へ侵攻しようとしていました。

そこへ、シドロフ王国が便乗する形で参戦したわけですが、プリスコット王国とフォーセット王国はジェフリーからの誘いを突っぱねてました。

はたして、ここからナターシャたちがどう反撃していくのか、楽しみにしていてもらえればと思います……!

――次回「兵は神速を貴ぶ」

更新は3日後、1/16(月)の9時になりますので、また読みに来てもらえると嬉しいです!

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