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ランドレス戦記〜漆黒の女騎士は亡き主の意思を継ぎ戦う〜  作者: ヌマサン
第3章 新たなる王国
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第59話 有終の美を飾る

どうも、ヌマサンです!

今回はクライヴとデニスの一騎打ちから始まります!

はたして、クライヴとデニスの一騎打ちの結末やいかに……!?

それでは、第59話「有終の美を飾る」をお楽しみください!

「死ね、クライヴ・ランドレス!」


 デニスは一直線に突撃を敢行し、青い髪をなびかせながらクライヴの前へと迅速に移動。雷の斬撃を大上段から振り下ろす。それに合わせ、クライヴも冷気を纏う剣を横にして受け止める。


「ぐっ……!」


「ハハハッ!そんな傷だらけの体じゃ、オレの豪剣は受け止められねぇぜ!」


 クライヴはデニスの言葉を否定することはできなかった。肩には先ほど受けた矢傷が口を開けている。さらには、足や腕にも切り傷や槍を受けた傷があった。


 これらの傷が体中に何十と刻まれているだけでも、クライヴは不利。対するデニスは大した傷も負わずにここまで来ているのだから。


 さらに言えば、デニスは武闘派の将軍であり、武芸に秀でている。対して、クライヴは元が文官であり、武芸もナターシャには遠く及ばない。


 得物の漆黒の槍も王宮を守る戦いにて、折れてしまった。残るは剣のみ。槍よりも不慣れな剣で今の一騎打ちに挑んでいる。もはや、無謀である。だが、クライヴはあきらめなかった。


 ランドレス家の男として、『漆黒の戦姫』の弟として、そう簡単に殺されては武門の名折れ。せめて一矢報いんものと懸命にデニスと剣を打ち合う。


 復讐に燃えるデニスは凶暴な勢いをもって立て続けに斬りかかってくる。クライヴも必死に剣を右へ左へいなすが、それではいたずらに延命しているだけ。


「どうしたっ!?もう反撃する余力もねぇのかよ!」


 デニスの振り下ろした一撃はクライヴの左腕を捉えた。すなわち、勢いそのままにクライヴの左腕を斬り落としたのである。クライヴからは悲鳴が上がる……かに思われた。


 しかし、クライヴの右手にある剣は鈍い音を立て、デニスの左大腿部に斬り込んでいた。クライヴの筋力では太ももを両断することはできなかったものの、剣の半分は太ももに埋まっている。重傷だ。


「この……!」


 返す刀でデニスはクライヴの腹部を左から右へと切断。体を横に切り裂かれたクライヴは地面に上半身が落ちる頃には絶命していた。だが、クライヴの表情には憎悪は感じられず、むしろ満足のいったような、清々しさすら感じる表情なのであった。


「けっ、こんな満足のいった顔をされちゃ、気に入らねぇ」


「デニス将軍、こんなヤツよりも傷の方は……?」


「痛いな。斬られた時には痛みなんてまるで感じなかったのによ……!」


 ジェフリーは近くにいた兵士を呼びつけ、軍医を連れてくるように命じた。そして、デニスからも許可をもらったうえで、ジェフリーはクライヴとセルジュの首を斬り、王都の中心部にさらすようにも指示したのである。


 すなわち、『女王をたぶらかしたる逆臣の末路、かくの如し』と。そう記した立札が、2人の首の側に掲げられていた。長らく王家に仕えた忠臣の末路としては、哀れなものであった。


 それと同時に、最後まで粘り強く抵抗を続けていたモレーノとダレンの両名はと言えば。


「モレーノ・カスタルド!ダレン・カスタルド!無益な抵抗はやめるがいい」


「無益な抵抗……だと?」


「すでに、そなたの主君であるクライヴ・ランドレスは首のみになった!今さら王宮にたどり着いても手遅れだぞ!」


 すでにクライヴが死んだという事実に愕然とするモレーノとダレン。ダレンは恨みに満ちた瞳をしていたが、モレーノは手にしていた剣を放った。


「……承知した。すでに主君亡き今、貴殿の言うように戦うは無益。我らは降伏するとしよう」


「親父殿、降伏など……!」


 ダレンは言いかけた言葉を腹へと押し戻さざるを得なかった。ダレンへと向けられたモレーノの片眼にはキラリと光る雫があったからだ。


 父の降伏は本心ではない。それを悟ったダレンも他の皆に武器を捨てるよう伝え、生き残っていた168名は全員が捕虜となった。


「デニス将軍、このモレーノとダレンを私の家来のしたいのだが、構わないか?」


「フン、好きにしろ。オレはこんな雑魚には興味ねぇからな」


 デニスからもそれ以上は何も言われず、ジェフリーは牢へ送られていたモレーノの元へと向かった。普段は血統を重んじる彼だが、此度の帝国軍相手の戦での奮戦を聞き、部下にしておく方が良いと考えたのだ。


 ……それ以上に、大嫌いであったクライヴの部下を従えるのはいい気味だと思っていたのだが。


「モレーノ、お前をこの私の家臣にしてやろう。家臣になれば、悪いようにはしない。ああ、そなたの息子もついでに召し抱えてやろう」


 さすがのモレーノも「家臣にしてやろう」などと言われた時には、怒りを覚えたが、すぐに湧き上がる激情を制圧し、ジェフリーに仕えることを承諾した。ダレンもオマケ呼ばわりされたことに憤激しながらも、父と同じくジェフリーに仕えることとなった。


 こうしてモレーノとダレンという優秀な将軍たちを家臣に加えたジェフリーは、続いてフロイドの元へと向かった。


 フロイドは王宮での戦いの前に、王宮を出ていた。そして、家族と共に屋敷でいるところを捕虜とされた。そんなフロイドもジェフリーは家臣にしたいと考えていた。これも、モレーノたちを家臣にしようと思ったのと同じ理由である。


「どうだ、私の家臣になるつもりは――」


「ないな。私は逆賊に仕えるつもりは毛頭ない」


「ならば、これならどうだ?」


 フロイドとは別の部屋にいたはずの、ヘレナが連れてこられた。その腕の中にはディーンもいる。2人は槍と剣で武装した兵士たちに取り囲まれていた。


「お前が家臣とならないのなら、この2人はこの場で殺す。仕えるのなら、今後一切危害は加えないでおいてやろう」


「くっ……!」


 苦渋の決断であった。しかし、フロイドは目の前で妻と息子が殺されるのは耐えがたかった。すなわち、臣従の道を選んだのだ。


 こうして、ジェフリーは武にモレーノとダレン、文にフロイドと優秀な臣下を無理やり手に入れた。


 その翌日。デニスから呼び出されたジェフリーは王都の中心部へと召しだされた。一体、何事かと思いながら王都の中心部へやってくると、クライヴは目を見張った。


 王都の中心部には壇が築かれていたのである。見たところ、なにやら式典を取り行なうようであった。


「ジェフリー……いや、新たなる王よ。こちらへ」


 デニスも今までとは違い、戦場での粗野な服装とは異なり、正装に身を包んでジェフリーを出迎えた。


「デニス将軍、これは一体……?」


「皇帝の命を伝える。細かいことはいいから、ここに立ってくれ」


 手を引かれ、祭壇の中央へと導かれるジェフリー。そして、デニスは懐から取り出した巻物を読み上げ始めた。


『勅命。女王マリアナは佞臣と共に苛政を行ない、民を苦しめる。余は民を苦しめる者を大帝国の皇帝として生かしてはおけぬ。ゆえに、配下の勇将デニスに命じて、これを掃討す。それにあたり、ジェフリーの貢献や比ぶる者なし。よって、女王マリアナを廃位し、ジェフリーをロベルティ王国第5代国王として戴冠することをここに皇帝として許可する。速やかに、領受すべし』


 すなわち、この日をもってジェフリーがロベルティ王国の国王となったのである。それを宗主国であるフレーベル帝国の皇帝ルドルフが承認した。つまりはそういうことである。


「本当に私が国王に……!?」


「陛下はオレが出発する前におっしゃっていた。ジェフリー・ルグランこそ国王に相応しい。血統、才覚ともに申し分なし……と」


 デニスの言葉に背中を押されたのか、少し遠慮がちであったジェフリーは快く王位に就くことを決断するのであった。


 ここに、獅子の身体の中にいた虫が獅子を食い破って躍り出た。はたして、身のほどもわきまえぬ男の末路やいかに……

第59話「有終の美を飾る」はいかがでしたでしょうか?

今回はクライヴが討たれ、モレーノとダレン、フロイドの3名はジェフリーの家臣とされてしまっていました。

さらに、ジェフリーが皇帝ルドルフから功績を認められ、ロベルティ王国の新国王に就任していたわけですが、ここから王となったジェフリーがどう動くのか、楽しみにしていてもらえればと思います……!

――次回「勝てば官軍、負ければ賊軍」

更新は3日後、1/13(金)の9時になりますので、また読みに来てもらえると嬉しいです!

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