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ランドレス戦記〜漆黒の女騎士は亡き主の意思を継ぎ戦う〜  作者: ヌマサン
第2章 帝国への従属
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第35話 4カ国会談

どうも、ヌマサンです!

今回も更新が遅れてしまい、申し訳ないです……!

今回は4カ国が集まっての会談が開かれますが、どのような会談になるのやら……

それでは、第35話「4カ国会談」をお楽しみください!

 ナターシャたちが王都パレイル入城から3週間後。ようやくロベルティ王国とプリスコット王国、シドロフ王国、フォーセット王国の4国の王による会談が開催された。


 女王マリアナも国政をセルジュに任せ、道中モレーノたち近衛兵に守られながら王都パレイルに到着していた。他にも、プリスコット王ラッセル、フォーセット王クリスティーヌが次々に入城。


 残るシドロフ王国からは、新王カイルが出席していた。先王ビクトルの戦死により、王子であるカイルが弱冠20歳にて新たな国王の座についたのである。カイルにとっては、この会談こそ国王として初の仕事となる。


 その4カ国の会談はシドロフ王国の王宮にある一室で行なわれた。部屋の中央に置かれた丸テーブルを囲むように4つの椅子が配置されている。


 それぞれが席を選び、上座にはロベルティ王国女王マリアナ、下座にシドロフ王カイルが向かい合う形で腰かけた。少々遅れて、マリアナの右手にプリスコット王ラッセル、左手にはフォーセット王国女王クリスティーヌが席についた。


「それじゃあ、会談の方を始めさせてもらうわ」


「……手短にお願いするのじゃ。妾は早う国元に帰りたい」


 まだ9歳のマリアナが進行役を務める中、クリスティーヌは早くも扇子を仰ぎながら帰りたそうに窓の外を見つめるのである。


 マリアナも子供ながらクリスティーヌを説得した。すなわち、早く帰りたければ窓の外を見ず、会談に参加してほしいと。ラッセルからも皮肉交じりなことを言われ、クリスティーヌも大人しく会談に臨まざるを得なくなった。


 このように会談はマリアナが進行役として進めていったわけだが、事前にクライヴから要請されたラッセルが幼いマリアナを補佐する形となっていた。


 会談において主題として挙げられたのは3国の処遇である。マリアナの口から皇帝ルドルフの意思が伝えられ、3国の王は一度黙り込んだ。


 だが、ラッセルの中ではすでに結論が出ているため、黙ったのは本当に息継ぎ一回分程度の短い期間であった。


「我らプリスコット王国は元より帝国と事を構えるつもりはない。喜んで従属しよう」


 元々ラッセルがシドロフ王国に加勢しなかったのも、帝国と事を構えることこそ滅亡への近道だと考えていたため。ならば、その帝国に従属できるのであれば断る理由などどこにも見当たらない。


 さらに、ラッセルは矢継ぎ早に帝国へ従属の意を示すことによる利点をカイルとクリスティーヌに向けて語った。それはもう、帝国の回し者かと問いただしたくなるほどに。


 だが、ラッセルの言葉に偽りはなく、すべて真実であるため、両国の王の心に刺さった。


 まず、ラッセルが強調したのはフレーベル帝国とクレメンツ教国のどちらの方が敵に回すと恐ろしいかという点。どちらと戦っても滅亡する可能性はあるが、フレーベル帝国と戦えば1ヶ月と経たずに滅亡させられ、首が帝都フランユレールでさらされることは間違いない。


 それに、従属して帝国の傘下に収まることで、クレメンツ教国に攻められた際には帝国へ援軍を要請することができるのだ。それこそ、国を守るという観点からは文句の付け所がないほどに、良い選択肢である。


 ラッセルはペラペラとよく舌を動かしたが、それによってフォーセット王国女王クリスティーヌもあっさり従属するという意志を表明した。


 シドロフ王カイルは何かにつけラッセルに噛みついていたが、噛みつくたびに言いくるめられ、最終的には大人しく従属を受け入れることとなった。


 こうして会談はラッセルの弁舌のおかげで、あっさりと3国ともフレーベル帝国へ従属するということで話がまとまった。キチンと王国という政治体制のままで従属したため、ヴォードクラヌ王国のように滅亡とならずに済んだ。


 そんな会談の内容はマリアナ経由でフレーベル帝国皇帝ルドルフへと届けられた。


 ルドルフはその報告を聞き、たいそう機嫌が良かった。まず、ロベルティ王国に従属を受け入れる条件として掲げたシドロフ王国、プリスコット王国、フォーセット王国の平定を速やかに成し遂げたことが大きかった。


 これで、来年の春には南北からクレメンツ教国討伐の軍を進められるのだ。さすがの強国クレメンツも南北から大軍で攻められれば防ぎ切れないだろう。


 そうなれば、残るは帝国全土から集めた兵で南下し、ヴァルダロス王国との決戦が残るのみとなる。そうなれば、史上初のルノアース大陸統一を成し遂げられる。


 ルドルフの心は踊っていた。心だけでなく、血など沸々と体の奥底から湧き上がってくる。今の時点では、捕らぬ狸の皮算用としか言いようがないのだが、『史上初の大陸統一』という八文字に興奮せずにはいられなかった。


 ルドルフの気持ちはすでにルノアース大陸を呑んでいた。このルノアース大陸を統べた暁には、孫娘のソフィアに帝位を譲り、実権を握りながら他の大陸へ攻めかかるもよし、夢と野望の広がりもまた果てしなく、妄想に歯止めがきかなかった。


 まさかルドルフがそんな大陸統一やその後のことを妄想し、興奮しているなどとは露知らず、会談を終えた女王マリアナは王都テルクスへの帰路についた。


 シドロフ王国の王都であるパレイルに駐屯しているロベルティ王国軍も順次撤退する運びとなり、ナターシャたちも色々と忙しくしていた。そんな中、ナターシャとクライヴが話しているところに、ある男がやって来た。


「やぁ、元気にしていたかな?」


「これはラッセル陛下。このようなむさくるしい場所へお越しとは、一体どのようなご用向きでしょうか?」


 クライヴよりも先に礼をするナターシャを見たラッセルはニコリと微笑んだ。


「大して用はない。たまたま近くを通ったから、顔でも見たいと思っただけだよ」


 ラッセルの言葉を聞いたナターシャとクライヴは少し肩の力を抜き、公式の場でもないため少しリラックスした状態で応対することとした。


 そんな3人での話は他愛もないことだった。まず、ラッセルから勝利を祝う言葉が述べられ、クライヴからはシネスティア平野の戦いでの傍観についての感謝の言葉が返された。


「なんでも、再三にわたって加勢するように要請してきたシドロフ王国の使者を一喝したそうですね」


「フッ、そんなことまで耳に入っているとは恐れ入る。あまりにもしつこいので、つい強めに言ってしまってね」


 ラッセルはシドロフ王国の使者に対して何といったのか。これもまた、ただの屁理屈なのだ。


『援軍としての出馬を求められたから、シネスティア平野まで出張って来たのだ。元より、援軍として加勢してくれとは一言も言われていない!約束が違うじゃないか!』と。


 さらには、『そのように約束を違えるなど、貴国は恥を知らないのか!恥を知るなら、速やかに自軍へ戻り、潔く決戦されるが良い!これ以上しつこく使者をよこすなら、我々は自国へ引き上げる!』としかりつけるように言ったのだ。


 そこまで言われれば、シドロフ王国の使者も何も言えず、すごすごと帰るのみであったという。


 そんなシドロフ王国の使者とのやり取りを笑い話にしながら、部屋中に笑い声が満ちていた。


 そうしてラッセルとの私的な話も終わり、ラッセルも貴国の準備をするべく、退出していく。


 また、ナターシャとクライヴも大急ぎで支度を済ませ、翌朝にはロベルティ王国への引き上げを開始するのであった。

第35話「4カ国会談」はいかがでしたでしょうか?

今回はプリスコット王国、フォーセット王国、シドロフ王国の3国が帝国への従属を決めてました。

それを聞いた皇帝ルドルフも上機嫌と言ったところ。

ともあれ、次なるクレメンツ教国との戦いはどうなっていくのか……!

――次回「次なる侵攻目標は」

更新は3日後、11/2(水)の9時になりますので、また読みに来てもらえると嬉しいです!

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