第13話
魔法少女の続きです。
「…ワンダーコアはまだかっ!…え~~~い!ギャランにアイルトン、それにビーエムは何をしておるのだぁ~~~!…」
異空間にそびえ立つ「とぐろ城」、またの名を「うんこ城」と呼ばれる城の展望部分では、大きな鏡に閉じ込められている黄緑色の炎のような姿のヘル・ブラックが怒り狂っていた。
…
「…わぁ~…すご~い!ビーエム先生は氷の魔法を使えるんだものねぇ…うふふふふ…素敵素敵ぃ~」
魔法少女のりるかは、庭に作ってもらったスケートリンクを見ると、大いにはしゃいだ。
ママの足の怪我がすっかり回復したけれど、何故か引き続き炎、氷、電気の怪人兄弟はりるかの家に入り浸っていた。
「えっへん!どうだい?良い感じでしょ?…早速滑ってごらんよ!りるかちゃん!」
ビーエムは少しだけ自慢げにりるかを促した。
秋風がより一層冷たく感じられるようになった休日、りるかは他よりちょっぴり早めにスケートを楽しんだ。
「る~んもおいでぇ~…楽しいよォ~…っとととと…」
おぼつかない滑りで何度も転びそうになるも、一緒に滑っていたビーエムがそれとなくりるかをフォローしてくれたので、今日は怪我をせずに済んでいる。
もうすぐ雪が降るかもしれないというので、ギャランとアイルトンは手分けして屋根や外壁の修理などに勤しんでいた。
怪人と言っても見た目は普通のかっこいい男。
近頃、そんな彼らがりるかの家を出入りしているのが、ご近所でじわじわと噂になっていた。
「…まぁねぇ…奥さんも随分長いこと未亡人ですものねぇ…そろそろいい人がいてもねぇ…りるかちゃんと二人だものねぇ…何かと大変だわよねぇ…」などと、回覧板を回しに来たり、おすそわけをしてくれるお隣の加藤さんのおばあさんが余計なおせっかいをしたくなっても仕方が無かった。
りるかの家は普通の住宅街ではなく田舎なので、ご近所と言っても隣が近くはなかった。
この土地に代々と受け継がれている古い洋館に、りるかとママとる~んは住んでいる。
りるかのずっとずっと前の魔法少女だった先祖が、この土地の地主だった男性と結婚したことから始まっているのだった。
「…皆さ~ん!そろそろお茶にしませんかぁ?…」
すっかり足も治ったりるかのママが、焼きたてのパウンドケーキと熱い紅茶を用意しながらみんなを呼んだ。
「は~い!」
スケートリンクの手前、リビングから出られるガラス戸の傍のテーブルセットで、みんなそろっておやつタイム。
そんな時、「…奥さ~ん!いる~~?…」とお隣の加藤さんのおばあさんが、玄関ではなく庭の方に回ってやってきた。
両手で大きなざるを持ち、その中には沢山の柿とかぼちゃ、それに栗が乗っかっていた。
「…あらぁ…どうもォ~…」
ママが笑顔で出迎えると、「あらいいわねぇ…みなさんでお茶かい?…あっ…そうそう…これね、遠くの親戚から送ってきたんだけど、うちはあたしとおじいさんだけでしょ?こんなに食べきれないから…良かったらどうぞ…若い人達で召し上がってくださいな…」と笑顔で持ってきてくれた秋の味覚をたんといただいた。
「良かったら加藤さんも一緒にお茶、いかがですかぁ?…」
ママが笑顔でお誘いすると、加藤さんも仲間に加わった。
「…あらぁ…りるちゃんいいわねぇ…お兄ちゃんにスケートリンク作ってもらったのかい?…いいねぇ…」
「えへへへへ…いいでしょ…えへへへ…あのね、りるかね、本当のお兄ちゃんが出来たみたいなのォ…」
「そうかい、そうかい…良かったねぇ…」
りるかと笑顔で会話しながら、加藤のおばあさんは怪人達を見つめた。
「…ああ…本当にいいわねぇ…家もね、雨漏りがしてるんだけど…おじいさんこの前ぎっくり腰やっちゃったでしょ?だもんだからなかなか…」
加藤のおばあさんがしんみりしていると、「あっ!よければ僕らがちょっと見ましょうか?」とギャランが口を挟んだ。
「あらぁ…そう?いいのかしら?」
「いいですとも!いいですとも!任せてください!」
ギャランは笑顔で胸を叩いた。
「…まぁ、そう…ありがとう…頼もしいわぁ…冴子さんもいい人達と知り合いねぇ…みなさんとっても男前だしねぇ…」
「…そうなの!加藤のおばあちゃんもそう思うでしょ?ねっ?…りるかもね、ギャランさんがママと結婚したらいいのになぁって思ってるんだぁ…それとね、アイルトン先生とビーエム先生がお兄ちゃんになってくれたらいいなぁって…思ってるのォ…えへへへへ」
りるかの思いがけない発言に、ギャランは飲みかけていた熱い紅茶をぶ~っと噴き出してしまった。
そんな赤い顔で慌てるギャランを、そこにいる全員でにこにこ笑ったのだった。
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