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A:迷子

登場人物紹介:フェイル・ディ・ハイム。フレアが通っている学校の生徒会長で学校一魔法がうまい人。人見知りするタイプだがなれるのが早いところもある。正直に生きている人間でお人よし奈挙句におせっかいをやく傾向がある。ちょっと融通も利かないところもあって仕事には厳しい人である。

七、

 自分が迷子になっている。俺がそれに気がついたのは辺りが完璧にどこだかわからんところに来たときだった。気づくのが遅すぎである。

「・・・・ここ、どこ?」

 いいや、どこかの建物に入っているのはわかる。たぶん、結構高貴なところだろう。床は赤いカーペットが覆っているし、部屋を明るくするためにたいまつがついている壁にはとても高そうな絵が飾られている。ちなみに廊下の幅は車が二台は楽勝で通るのではないかと思われるほど大きい。天井は俺が立っても余裕が七メートルほどだろうか?

「おっかしいなぁ、迷わないように城を目指して歩いてきたつもりなんだが?」

 困ったことにはじめてきた場所なので帰り道どころか、進むべき場所させ覚えていないのだ。これは本当に困ったぞ!この焦りは間違って女子トイレに入ったとき以来だ。

「ああ、そういえばこの建物の高いところにいけば自分がどこにいるかわかるだろう!」

 俺は寂しさから一人でぶつぶついいながら歩くことにした。はたから見たらどう見ても危ない人なのだが、いいのだ。俺一人しかいないのだから・・・・

「階段階段・・・会談、怪談、戒壇、解団?いいや、階段階段!」

 なんとなく、既視感を感じたのだが、フレアの家の帰り道に迷ってはいるのだが、同じところをぐるぐる回っているみたいではないので道に迷っているというわけではないだろう。なんだか、ややこしいな・・・

「しかし・・・・本当に誰もいないのか?すいませーん!」

 叫んでみるものの、俺の声は誰にも聞こえていないらしい。返事をしてくれるものなど一人もいなかった。

「・・・?」

 あれほど騒いでいた城下町とは思えない場所に来ているかもしれないと思った俺は足早に階段を見つけてそれを駆け上がる。勿論、人も探している・・・・と

「あ、人だ・・・・」

 恐ろしいスピードで後ろ向きに俺に迫ってくる人を見つけた。あわてて俺はそれを避ける。

「ぐはっ!!」

 階段の壁に当たり、その人物はようやくスピードを緩めたのだった。

「あ、すいません・・・あの、ここってどこですか?」

「・・・・」

 相手の意識はどこかに飛んでいってしまっているようで、見たところお城にいそうな兵士だった。

 兵士が飛んできた方向に歩いていくと、なにやら血なまぐさい雰囲気を感じ取れた。

「ききっ!!」

 物音を感じたのだろうか?建物内を徘徊していたと思われ、ついでに言うなら先ほどの兵士をぶっ飛ばした存在であろう、俺の身長の二倍はあろうかというこうもりが歩いてこちらに近づいてきた。

「!?」

 実に歩きづらそうにしているところを見るとこの建物内に入ったのはいいのだが、出ように出られなくなってしまったようだな。

 相手は口を開ける。

「・・・・光線か??いいや、超音波だったかな?」

 俺は耳を押さえて相手からの攻撃に備える・・・・・

「ききっ!!」

 相手は叫んだだけで、何もしてこない。俺は相手に恐る恐る近づいていくと・・・

「ききっ!!」

「あいたっ!」

 目の前に見えざる壁があり、それに頭をぶつけてしまった。そして、気がつけば自分が今いると思っていた場所から数メートル後ろのほうに吹き飛ばされていたのである。

「なるほど・・・・さっきの兵士もこれのせいで気絶したのか・・・・」

 つまり、怪物を見つけた兵士は剣を抜いて踊りかかり・・・・その結果、相手の見えざる壁に阻まれて見事に吹き飛ばされたということなのだろう。実に、かわいそうな結末である。そういえば、反対方向の壁には結構な量の兵士が倒れていて目をまわしていたような・・・・

「なるほど、この建物内にいた兵士たちは皆やられちまったのか?」

 しかも、壁に当たった自分の力で・・・・?

 巨大こうもりは俺を恐れているのか必死に威嚇しているようである。

「ききっ!!」

「・・・・・」

「ききっ!!」

 くっちゃうぞ〜みたいな顔をしてその大きな口を開けるのだが・・・・牙がめちゃくちゃ小さく、そもそも、こうもりとは血をすうものであって相手を丸呑みするような存在ではないはずである。

「そういえば、光に弱かったっけな?」

「ききっ?」

 俺はポケットに入っていたペンライトを取り出して相手の目の部分に向けて電源を入れる。

「ふらっしゅ!」

「ききぃぃぃぃぃ!!」

 めちゃくちゃ苦しんでいるようだったのでさすがに可哀想になってきたのでそれをやめる。

「ききぃ!!」

「どうやら怒っているみたいだな?」

 そりゃそうである。誰だって寝耳に水みたいなことをされれば怒るに違いない。

「ここを出たいのか?」

「ききぃ?」

 話しかけてみるのだが、相手は首を傾げるばかりである。どうやら、言語が通じていないようである。誰か、このこうもりの言語を訳せる人はいないだろうか?

「だから、こうやって・・・羽で・・・・空を飛びたいのか?」

 ジェスチャーをこうもり相手にするのもなんだが、言語がつうじないのならこうやって地道な作業をするしかないだろうが・・・・

「ききぃ?」

 奇妙な言葉をはっして首を傾げるだけである。

「ああ、もう!!面倒だ!!」

 俺は右手を掲げ、振り落とす。

 振り落とした結果、俺の右隣の壁は見事に大きな穴を開け、外の冷たい空気が石で作られている廊下の隅々までに行き届く。壊れた窓からは城下の様子がよくわかり、ここから見ると改めてこの王都が大きいということがよくわかった。

「ききっ!」

 こうもりはその巨体を唸らせながら開いてしまった大穴へと向かって歩いていく。そして、飛び立とうとしてその大きな羽を広げる・・・・

「ききっ!!」

 別れを言うように俺に視線を向けるとこうもりは去っていってしまった。

「・・・・世の中には馬鹿でかいこうもりがいるんだなぁ・・・・」

 俺がそう思っていると後ろから人がやってくる音が聞こえる。

「こっちだぞ!!」

「けが人の状態は・・・・

「王様たちは・・・」

 たぶん、誰かが呼んだ増援部隊の人たちなのだろう・・・・と俺は一人で考えている暇などなかった。なぜなら、俺の目の前には巨大な穴が開けられており・・・・この穴を開けた犯人は俺だ。

「・・・やばいかな?」

 俺もこうもりのように飛ぼうかなぁ・・・と思ったのだが、ちょうど壊れた壁の近くに木があったのでそっちに飛び移ってそのまま降りていく。

 上のほうでは俺が空けた大穴をぎょっとしてみている兵士たちがおり、そして、俺は自分がどこにいるのかようやく理解できたのだった。

「ここ、城だ・・・・」

 俺の目の前には白くて威厳のあるお城がその姿を惜しげもなく広げている。

「しっかしまぁ・・・これは急いでここから離れないと冗談じゃなくて本当に首が飛ばされるかもしれないなぁ・・・・」

 俺はその場からは急いで離れたのであった。


 無事に家に帰りついた俺なのだが、非常にネリュさんが心配していたのだった。ちなみに、俺が帰り着いた頃には既に民家には明かりがつけられて俺はいわゆる不審者みたいな感じになっていた。正直に泣きそうになっていたことを伝えておこう。

「まったく、悪者にでもつれさらわれたのかと思ったよ」

「すいません、面倒をかけて・・・」

「フレアの話じゃ学校でも何か早速やらかしたそうじゃないか?」

「いや、あれは生徒会長が・・・・」

「生徒会長?ああ、フェイルか・・・・」

「知ってるんですか?」

「ん?ああ・・・まぁ、そりゃ生徒会長だからねぇ・・・」

 なにやら苦笑しているところを見るとあのフェイル生徒会長とネリュさんはどうやらお知り合いということらしい。

「さ、夕飯を運ぶのを手伝っておくれ」

「わかりました」

「この家にいる間は客といえどもこき使うから覚悟しておくように!」

「了解しました!」

 しっかしまぁ、いい人に俺は拾われたもんだ。


 夕飯を食べ終えて俺は分け与えられた部屋に戻っていた。無論、勉強するつもりなど毛頭なく(基本的には一緒だったのだが面倒だ)もっぱら、かっこいいというか、魔法使いの必需品と思われる杖を作ることにしていたのだった。

「零時さん!」

 そんな俺の元へフレアがやってきた。

「どうしたんだ?」

「いやぁ、皆すごく噂してましたよ?暴走状態の生徒会長を止めたすごい人だって!私は鼻高々ですよ!」

「ああ、そうか・・・・」

 なんだか非常に機嫌がいいらしい。俺の部屋でぴょんぴょんと跳ね回っている。そして、机に座って何かをしている俺の元へとやってくる。

「・・・何しているんですか?」

「ん?ああ・・・杖みたいなものを作ろうと思ってさ?」

「杖・・・零時さんは杖を持っていないんですか?」

「ま、まぁ・・・・」

 根本的に必要ないとは魔法使い素人の俺が断言して良いのかわからないので曖昧に答えておくことにした。

「・・・・ん〜それなら、私があげますよ」

「本当か?」

「ええ、構いませんからね〜」

 そういっていったん自分の部屋に戻ると何か棒状のものを持ってきた。

「先生からもらったものですけど・・・」

「・・・・」

 フレアの手から受け取ったものは教師が黒板の文字をさすときに使われる棒(名前不明)だった。

「・・・・ええと、これは?」

「教師棒です。ああ、そんな遠慮しなくて良いですよ。まだありますから」

 そのまんまじゃねぇか!?しかも、まだ持ってるの、これ?

「あ、ありがとよ・・・」

「いえいえ、気にしないでくださいね」

 嬉しそうにしているフレアに俺はどうしたものだろうかと考えながらフレアの手から自分の手に渡った教師棒(命名:フレア)を眺める。先っちょの赤い部分を引っ張ると約二メートルほどまで伸びたのだった。

「・・・・・」

「どうです?よく伸びますよね?」

 いや、特に感想は無いけどさ・・・・

「いやぁ、本当に今日は疲れたんで・・・おやすみなさい」

 そういってフレアはそれが当然であるかのように俺に用意されているベッドに入り込んであっという間に寝息を立てて眠ってしまったのだった。

「・・・・はぁ・・・」

 さて、教師棒はどうしようかと悩みながら・・・俺は誰かに呟いたのだった。

「この世界に呼んだやつ、俺の苦労を見てきっと笑っているんだろうな?」

 そして、俺をこの世界に呼んだやつの寝顔を見て俺が笑ったのだった。

「すぴ〜」

「・・・まったく、ぶにゃっとした面して幸せそうなやろうだなぁ・・・・」

 静かにお休みと告げて俺はフレアの部屋に行き、ベッドに入って目を閉じたのだった。

 次の日に目を開ければそこにはぶにゃっとしたような顔がひろがっていたというわけな

のだが・・・・・どうしたものだろうか?

はぁ、いつになったら帰れるんだろうかなぁ?


今回、零時が迷い込んでいた場所は王宮でしたが、今のところ王様を登場させる予定はありません。王様ってどんな人なのか真剣に悩むときがきたら書きたいと思っています。アメノツキのほうではこれから………そうですね、竜と書いてドラゴンと呼ぶ!のIF版を考えています。

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