A:お話
さて、今回の登場人物ですが・・・校長先生:全校生徒から恐れられている校長先生。本名は不明。実のところは意外な人物の祖父である。サンタさんとしか思えない格好で的を射たような意見を言う人物でもある。人をこき使うのが大好きな性格で、悪い結果になるということでさえも、黙っていたりするちょっと変わった人物。
六、
皆は寝ている奴のまぶたに目の落書きをしたことがあるだろうか?俺は何回かある。そして、そのたびに思うのだが・・・・
「これってどこまでリアルにできるのだろうか?」ということを皆も思わないだろうか?誰かやってくれないだろうかと俺は思っている。
「起きんの〜」
「ええ、そうですね。俺に任せてください」
鼻の中に細くしたティッシュを突っ込んでくすぐる。
「はっくしょん!」
大声で叫んだ彼女の反応に
「これは起きたのかもしれない!」と思った俺だったのだが・・・・彼女はむにゃむにゃといって再び夢の世界に行ってしまった。
「じゃ、次はわしの番じゃな」
校長先生はおもむろに椅子に座って今はいていた脱ぎたての靴下を自分の鼻をつまみながら生徒会長の鼻に持っていく。ものすごくいやそうな顔をして右のほうに顔を背けるが、顔が動くたびに校長が巧みに鼻の近くにまで持っていっている。これはさすがに起きるだろう・・・・だが、彼女は我々の予想をはるかに超えていたのだった。
「ふんっ!」
「・・・なんとぅ!?」
鼻息だけで靴下を吹っ飛ばしたのだった。吹き飛ばされた靴下は俺らが今いる場所の反対方向にある開け放たれた窓の外へと消えたのだった。鼻息だけで吹き飛ばすとは・・・なかなか侮れない人物だ。
「・・・・さて、お遊びはここまでじゃ・・・おぬし、名をなんと言う?」
「零時です。剣山零時・・・」
ソファーに座って校長先生を見る。俺は相手に一分の隙も突かれない様に心がけていた。
「・・・ふむ、噂はかねがね・・・異世界の人らしいな?大丈夫じゃ、この老いぼれは別にお前さんが警戒しなくてもいいほどよぼよぼじゃからな・・・」
「わかりました。信用します。ええ、釣り上げられてこちらの世界にやってきました」
「・・・・なるほど、ネリュの娘の仕業か・・・」
ネリュさんの本名を知っているということは結構な知り合いなのだろう。蓄えられた白ひげを触りながら校長は何かを考えているようだった。
「とりあえず、俺が何故ここに来ているのかわかりますか?」
「そうじゃのう、“ツリマ”という魔法の杖のようなものがあってのう、それは低確率だが異世界のものを釣り上げるという効果があるのじゃ。ネリュの家にもそれが一つだけあっての〜」
校長は隣で寝ている生徒会長をじろりと見ながら・・・・ここで生徒会長は
「んがっ!」といってびくりと動いた・・・・ため息をついた。
「その、道具を俺、壊しちゃったんですけど?」
家に帰れなくなったことに対して、悪いのは確かにフレアかもしれない。だが、その道具を壊したのは俺だ。自業自得な部分もあったのだが・・・・そのことについても言って見ることにした。すると、次のような返答が返ってきた。
「それはお前さんのせいで壊れたわけではないじゃろう。代々、“ツリマ”は彼女の家系が使ってきたものだったそうなのだが、残り一、二回となっていたそうじゃ。見た目と違って強固な道具でのう、使用回数が残っている間は絶対に壊れたりはせん。じゃが、壊れてしまったということはもう既にぼろぼろに成り果てていたのだろう」
しょうがないという風に俺はため息をついた。さて、これからどうしようか?
「あの、元の世界に戻るにはどうしたらいいんでしょう?」
思い切って怖かったが校長に聞くことにしたのだった。しかし、校長は違う話をし始めたのだった。
「・・さぁのう?それはわからんが・・・別に前例が無いわけではない。この学校はほかの町や王都などから学生がやってきたりする大規模な学校じゃ。図書館にも過去の事例が多く載っておる。少々大人びたような面をしておるようだが、おぬしもあちらの世界では学生だったのだろう?」
大人びている面→老けてる・・・まぁ、それはいいや。俺は素直に頷いた。
「ええ、そうです」
「それならば、この学校への留学生として迎えよう。おぬしが異世界から来たということが知れれば危険もあるかも知れんが多くの情報が他の町などから来るに違いないだろう。どうじゃ?」
なるほど、それは確かにいい話だ。
「でも、この世界の勉強なんて俺はしたことありませんよ?」
「なぁに、お前さんには勉強ではなく図書館の管理を任せる。あの一帯は少々危険だからのう・・・誰も管理をやりたがらないのだ。これが条件だといえば割りに合うと思うがの?」
校長先生は既に書類を用意しており、書類には俺の名前が書かれている。経歴などのところには『特別留学』とかかれた大きな判子が貼られていたのだった。
「わかりました、これからお世話になりたいと思います」
「ふむ、なかなかいい学生のようじゃ。頭のほうがどうかはわからんがのう・・・」
む、なんだか無性に頭にくる言い方である。そりゃまぁ、悪いといえば悪いなぁ・・・・過去に
「すずめの○」という問題が出されたので俺は
「すずめのサンバ」と入れてやった。一度は丸にされていたのだが・・・その上からばつがつけられていた。先生に答えを尋ねると
「すずめの涙」という答えが返ってきたのだった。そのとき、コメントを聞くと
「いや、個人的には丸にしてあげたかった」とのことである。
閑話休題、俺は頭を下げて未だに気絶している生徒会長を背負って校長室を出ようとしたのだが、そんな俺の背中に校長の呼び止める声が返ってきた。
「・・・すまんが、生徒会長を外に出してこっちにきてくれんか?」
「?わかりました」
屋上に寝かせて俺は校長室へと再び戻ってくる。校長先生はいたずらを思いついた子どものような顔になっており、とても面白そうにしていたのだった。
「・・・すまんが、あの子を補佐してくれんか?」
「と、言うと?」
「あの子・・・生徒会長じゃが、わしの孫なんじゃ」
「・・・・」
「強情なところもあるが一生懸命なところもあっての・・・・それがいいところなんじゃが、お熱が行き過ぎるところもあるんじゃ。だから、あの子を補佐して欲しい。本当は生徒会長補佐官というものがあったんじゃが・・・・これがまた、問題児で別の王都に留学という名目でこの学校から追放されたんじゃ・・・いつも、というわけじゃなくていいから彼女を見てくれんかの?生徒会長補佐官になってくれんか?」
「え、ええっと・・・」
「老いぼれの最後の頼みじゃ」
「う・・・・」
「ごほごほ、ああ、今そっちに逝くぞ、マリンナ・・・・」
「わかりました・・・・生徒会長補佐官になります」
「おお!そうか!!」
返事をするとあっちにいってしまいそうになってしまった校長先生はあっという間に戻ってきた。てか、マリンナってだれ?
「じゃ、よろしく頼むぞ!彼女を保健室に連れて行ってくれ」
「はぁ、わかりました・・・・」
校長室を後にし、次に向かうのは保健室・・・背中に生徒会長を背負って俺は保健室へと向かったのだった。
「さぁて、保健室はどちらかねぇ?」
誰に言うでもなく、俺は呟いた。いや、このままでは先ほどとまったく同じ状況に陥ってしまうだろう。
「・・・保健室なら一階にあります」
「あ、生徒会長、起きてたのか・・・」
「ずっと起きてました」
「なんか、わからんが俺はあんたの補佐官となったようだ・・・」
「聞いてました。まったく、校長先生もうれしいことをしてくれますね・・・」
そういってため息を吐いている生徒会長なのだが、いい加減俺の背中から降りてくれれば良いのに・・・というより、生徒会長が目覚めたのなら保健室に行く意味ないんじゃない?
「生徒会長、降りてくれよ」
「零時といいましたね?私は生徒会長ですが、その前に本名があるのですよ?」
初対面のときのか弱そうなイメージとは百八十度転回した性格が現れた。調子に乗っているというのはこういうことをいっているのだろう。
「ああ、そう。それで?」
「わ、私の名前はフェイル・ディ・ハイムです」
「偽名?」
「いえ、本名です。これから信頼関係を気づいていくべき相手に偽名を名乗るなんて失礼ですからね・・・・これ以後、よろしくお願いします・・・ああ、呼ぶときはフェイル会長と呼んでください」
そういって生徒会長・・・・・フェイル・ディ・ハイムは脱力したのだった。
「しかしまぁ、異国の世界の魔法使いと魔法をぶつけ合うなんて思いもしませんでした。校長が特別留学を認めたのですからさぞ、あなたの世界でも重宝されていたのでしょう?」
根本的に俺の世界には魔法使いが大手を振って歩いているというわけではないので説明することにした。
「・・・・なるほど、異世界には私の世界とはぜんぜん違う世界が広がっているのですね・・・ぜひ、見てみたい気もします」
きらりと目を光らせてそんなことを言っている。知的欲求を求めているようでもあった。
「そりゃ、まぁ、フェイル会長の夢ならそれでいいけどさぁ・・・・まぁ、願いはいつかかなうんじゃない?」
「そうですね!私、知らないことがあると非常に気持ち悪いんです・・・・この世界をもしも去ることになったら私もつれてってくださいね?」
「いや、戻れたとしても今度はフェイル会長が戻ってくるって保証はないぞ?」
背中でうっとりとしているフェイル会長にそう告げるのだが彼女は何も聞いていないようだった。やれやれ、この人はどうやら自分の世界にはいっちゃうような人なのだろう。だから、さっきだって彼女に追いかけられたのだ。
石造りの階段を下り始め、俺はふと疑問に思ったことを彼女に伝えた。
「フェイル会長・・・さっきの魔法の衝撃でどこか怪我したりしてないか?」
「いえ、どこも怪我なんてしてません・・・・それがどうかしたのですか?」
本当にどうでもなさそうにたずねてきたので気に病むことはないのだろう。それならばと、俺は彼女に提案してみた。
「それなら、俺にこの学校を案内してくれないか?」
「なるほど、思えば零時補佐官は今日特別留学してきたばかりでしたね。シャインさんと一緒にいたようなのですが、彼女に案内してもらわなくていいのですか?」
彼女なりの配慮なのだろうが、今フレアは授業を受けているから邪魔してしまうだろう。
「いや、いい。今頃授業を受けているだろうし・・・性格的に一緒に迷子になっちまうだろうからな・・・その点、この学校の生徒会長にお願いしたほうが適材適所ってところだろうなぁと思ったんだ」
ちなみに、フレアの適材適所はトラブルメーカーだろう。
「一理ありますね・・・いいでしょう、生徒会長である私が新任の零時補佐官を案内します。では、まずは近くの場所から行きましょう」
四階の踊り場に出て彼女に尋ねる。
「この階には何が?」
「ここでは主に行事を行います。それ以外では生徒が騒いでいる場所の一つでもありますね。特に大切な場所などはありません。下の階に行きましょう」
そんな風に彼女は言ったのだった。そして、降りてきた三階は授業をしている生徒たちの姿がちらほらと見えている。
「ここは?」
「三階には主に教室が集まっています。特別教室も多いですからね・・・頭のよい人たちが多いと覚えておいてください。ここに構えているのが最上級生の者たちです」
「なるほど・・・・」
その後、下に降りていったのだが二階にはいわば二年生、一階には一年生がいるとのことだった。
「ざっとみてこんなところです。正直言って、一日そこらでこの学校を案内する自信など私にはないんですよ。見た目も大きいですが、それ以上に内部は複雑奇怪になっており、生徒たちが魔法で作り出した場所もあるとのことです」
「なるほど、学校兼秘密基地か・・・」
「ええ、校内には悪者もいますので零時補佐官も気をつけてくださいね」
彼女はそのように俺に忠告してくれたのだった。
「そういえば・・・」
「どうかしましたか?」
「・・・いい加減、俺の背中から降りてくれ」
「・・・・そうですね」
すいませんといいながらフェイル会長は俺からようやく降りてくれたのだった。やれやれ、そこまで重くはなかったのだがさすがに時間が時間だからなぁ・・・・つらかった。
「零時補佐官は特別留学ですので私のクラスに来てください」
「はぁ・・・いや、場所おしえてもらってないんだが?」
「大丈夫、私があなたを明日迎えに行きますから・・・待っていてください。明日の昼休みは学校の案内を私が再びしますので今後予定を入れないでくださいね?今日は一度家に帰るといいでしょう。シャインさんには私から言っておきます」
わかりましたかと念を押してくるフェイル生徒会長に俺は頷いてみせ、その日は帰ることにしたのだが・・・ちょうどいい機会だ。
俺は城下町を歩くことにしたのだった。俺は後にそれが間違いだったことに気がつく。
どうだったでしょうか?ふと、疑問に思いましたが・・・・何故、生徒会長よりも校長先生を登場人物紹介に書いてしまったんでしょうか?自分でも不思議です。まぁ、いいですね。さて、今回の小話は作者の実際にあったとある日の平和な話です。その日は愛用の自転車に空気を入れてちょっと遠出をしようとしていました。家を出てすぐに一回目、車にはねられそうになり・・不幸は続くもので、家に帰りつくまでに五回ほどはねられかけました。これはもう、平和な話ではありませんね・・・皆さんも、車にはねられないように努力しましょう!




