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A:危険な魔法の使用法

登場人物紹介フレア・シャイン:零時を釣り上げた張本人。魔力によって作られた人工物の魔型で性格はいたって温厚。今まで広い家に母親と二人で生活していたので零時がやってきたことを非常にうれしく思っている。ちょっとおばかな天才肌。

四、

 目を覚ますと可愛い女の子が隣に眠っていた・・・・・という状況があったらどうするだろうか?いや、女の子の場合は逆だ。可愛い男が自分の隣に眠っていたらどうするだろうか?俺の隣に女の子が寝ていたら俺は別に何もしない。だが、男が隣に寝ていたらそいつを二階の窓から簀巻きにして落とすこと確定だ。

「・・・・?」

 視界に映る少女が誰だったか脳内ネットワークが検索を始める。

てーん!一件のヒットです♪

「ああ、フレアか・・・・」

「すぴ〜」

 非常に良く寝ていてぷにぷにしていそうなほっぺたをつねろうか、鼻に指を突っ込んでやろうかと悩んだのだが・・・・

「額に肉とでもかいてやるか?」

 いやいや、やっぱりそういうことはよそう。自分がされたときは得も言わぬ敗北感を味わってしまいそうだからな・・・・

「にゃふ・・・」

「おい、フレア・・・朝だぞ」

 肩を掴んで左右に振ってやる。うるさそうに整った顔が歪み、両手を挙げて揺らすのを邪魔しようとする。しかし、目を瞑っているので結局、目を開けたのだった。

「・・・・誰ですか?」

「そうだろうな、そういうと思ったよ。誰だ?昨日、俺を釣り上げたどこぞの魔法使いは?」

「・・・・あ、すいません・・・寝ぼけてました」

 目を眠たそうにこすりながら彼女はあくびをかましていた。母親と同じように腰まで伸ばしている髪の毛はぼさぼさになっており、寝起きだからか知らないが、かなりボーっとしている。

「起きたか?」

「いえ、眠いです・・・まだ、お母さんは寝てる時間帯ですね・・・そろそろ、学校に行かないと遅刻になってしまいます・・・」

 部屋に備え付けられていた時計らしきものをちらりと見てベッドから降りる。ピンク色の枕はそのままここに忘れていっている。

「・・・・朝食はパンですね・・・・着替えてきますんで、昨日の大広間に先に行ってください・・・・」

「わかった」

 部屋を去っていったフレアを追いかけるように俺も部屋を出て大広間にある大きなテーブルの一つに俺は腰掛ける。


 待つこと三十分ぐらいだろうか?眠気がぶり返してきた頃合だったので剣を持って睡魔と頭の上で戦っているとこの世界の彼女が通っている学校の制服に着替えたと思われるフレアが階段を駆け下りてきたのだった。

「お、思った以上に時間を食っちゃったみたいです!遅刻です〜!」

「・・・・ああ、そうか・・・・」

 朝食はまだだろうか?と俺は思いながら地団駄を踏んでいるフレアを他人事のように見る。いや、まぁ、他人事なのだが・・・・

「感心してる場合じゃありませんよ!」

「してねぇ・・・眠い・・・」

 そんな俺の右腕がいきなり掴まれたのだった。

「こうなったら走るしかありませんね!朝食は学校で食べることにします!行きますよ、零時さん!」

「お〜・・・・?」

 あれ?俺も?という考えを俺に持たせる前にフレアは

「いってきます!」と大声で叫んで家を後にしたのだった。当然、俺もつかまれたまま・・・・一緒に道を駆けていたのだった。

「おはよう、シャイン」

「おはようございます、リーディさん!」

「おはよう、遅刻じゃないのかい?」

「まだ間に合います!」

 道の途中で会う人々に挨拶をされてそれをまじめに返しているフレア。どうやら、町の人からは結構好かれている人のようだ・・・・しかしまぁ、何で俺も一緒になって走っているのだろうか?何?マラソン大会でもあるの?

 寝ぼけた俺がようやく平常時の思考回路になると、近くから鐘が鳴るのが聞こえてきた。

「が、学校の鐘です!あれが鳴り止んだら遅刻です〜!もう、駄目です!」

 そう叫ぶが、まだあきらめていない様子のフレアに俺は尋ねる。

「それなら歩いたほうがいいだろ?」

「何を言っているんですか!根性さえあれば何でも出来ますよ!」

「・・・根性論かよ?」

 しかしまぁ、どうやら根性でどうしようにもこの距離はいかんせん、駄目のようだ。門の前に先生が待っており、その先生は

「残念でしたぁ〜」という顔をして門に手をかける。どうやら、根性が負けてしまう瞬間に立ち会ってしまったようだ。

「零時さん、魔法でどうにかなりません?」

「え、ああ・・・わかった」

 俺は右腕を振ってフレアに魔法をかける。

「素早く(四倍速)な〜れ♪」

 自分にも魔法をかけるのを忘れていた俺はやばいと思ったのだが・・・・遅かった。残像を残しながら走り始めたフレアの手を握っていたので・・・・

「腕がぁ〜腕がぁ〜千切れる!千切れる!」

「おお、ぎりぎりセーフです♪」

 気がつけばフレアは止まっており、先生は唖然として俺たちを見ている。

そして、俺は校門から引きずられた挙句にフレアから約一メートルほど前に転がっていた。

ついでに言うなら、何事かと校内にいる人たちが俺たちを見ている。

そりゃそうだ、生徒がいきなり目にも止まらないスピードで駆け抜けたのだから・・・・先生が門を止める手を止めてしまったのでこっそりと本当は遅刻してしまった連中が何人か入ってきている。ううむ、今思いついたのだが、別にフレアの足の速さを上げなくても先生に魔法をかければよかったのではないだろうか?

「フレア、今度からは遅刻には気をつけような?」

 肩が外れていないか確認しながら俺はよろよろながらも立ち上がった。擦り傷に切り傷、それと精神的な傷がなんだか以前より増えた気がする・・・・人はこうして強くなっていくのだろうか?

「すいません、以後、気をつけます♪」

 そんなに楽しかったのか、ものすごくうれしそうな顔をしながら俺にそう告げたのだった。もしかしたらわざと遅刻しそうな時間帯に出てくるかもしれないな・・・・くれぐれも、そうならないように努力しよう。

「そういえば、俺が学校来てなんになるんだ?」

 たずねてみると彼女は

「う〜ん、とりあえず、お母さんが校長先生に会わせてきなさいって言ってましたから・・・」とのことである。まぁ、ネリュさんの意向ならそれに従うほか、無いのできちんと従うことにしよう。

「じゃ、校長室はどこだ?」

「ええと、あそこですね・・・・」

 フレアは俺が見ていないのに適当に指差している。そういえば、せっかくの学校を良く見ていなかったな・・・と思いながら隣で

「迷っちゃわないように気をつけてくださいね〜零時さん・・それと・・・」としゃべっているフレアを軽く無視して学校を見て・・・・

「でかいな、学校・・・」

 五階建てぐらいの学校がそこには建っていた。いや、こりゃまた、王都の中心にあったお城よりは小さいとはいえ、学校所有地を入れたら意外と王様が住んでいると思われるお城よりも上なのではないだろうか?

 真っ白なレンガ造りの学校は中世の古城を思わせるものがあったのだが、屋上となっていると思われる場所にはなにやら丸い球体のようなものがあった。あれだけいやに近代的で七色の光をまるでクリスマスツリーのように発光させている。

 一風を成すあの球体の存在を聞くために隣を見たのだが・・・・・

「あれ?フレアがいねぇ!?」

 俺の周りにいつの間にかフレアが消えており、先生や生徒たちも既に姿が見えなかった。あれ?何で?俺ってもしかして置き去りを食らってしまったのだろうか?

 普通だったら異世界に来てしまった挙句に置き去りを食らっててんやわんやで侵入者とかと間違えられておじゃんなのだろうが、そうはいかない、いや、いくものか!

「というわけで、俺はこれよりフレアの学校に侵入し、自分のその目であの学校の屋上にある謎の球体の正体を突き止めたいと思います!」

 テレビの突撃リポーター風に自分でそう告げて走り始める。別に障害物など何もなく、俺はすんなりと校内に進入成功したのだった。まぁ、最近は何かと物騒だから事務室かどこかで誰々に用があって何々のために来ましたと告げないとはいれないからなぁ・・・・

「さて、あれは屋上だからとりあえず階段を駆け上がればそれでいいかな?それなら別に誰かと会うってわけでもないし・・・・・」

 階段を探すことにして俺は辺りをうろうろとし始めた。


そして、十分後・・・・


「ここはどこだぁ!?」

 いつの間にか居もしないミイラを探してミイラ取りになってしまったような心境にかられてしまっている俺、剣山零時・・・・この歳で迷子になるとは思わなかった。ここどこ?僕は誰?

「さて、どうしたものだろうか?」

 未だに階段を見つけ切れていない俺はもう面倒になったのでフレアの家に帰ろうと思ったのだが、おかしなことに外に出れないのであった。いや、まず・・・さっきからずっと同じところを回っている気さえするのだ。ああ、そういえばフレアが

「迷わないように」といっていた気がしないでもないなぁ・・・・いや、いまさら言っても後の祭りなのだが。

「今手元にあるものでこの奇奇怪怪な状況を打破するしかない!」

 まぁ、俺は尊敬する万能青猫機械じゃないので出来ないことが多いのだが・・・・さて、俺のポケットから出てきたものは次のものである・・・生徒手帳、ハンカチ、ポケットティッシュ、シャーペン、メモ帳、螺旋、写真・・・・と、どこの高校生だって持っているものしかない。

「じゃ、これを使って状況を打破するか」

 いつの間にか十字路に立っており、俺はその十字路の中央に座ってシャーペンを立てる。そして、シャーペンが倒れた方向に進むことにしたのだが・・・・

「あれ?シャーペンがたおれねぇな?床に突き刺さってんのか?」

 立てたまではいいのだが、シャーペンは待てど暮らせど、倒れることは無かった。

あれ?普通はシャーペンって床に刺さるのか?と首をひねっていると座り込んでいる俺の視界に誰かの靴が目に入ったのだった。

俺が目を上げるとその相手は驚いて俺から数歩飛びずさった。

目の前に映り込んできたのはこの学校の生徒と思われる人物であり、なんだかとってもびくびくしているような人だった。目が悪いのかぐるぐる眼鏡を掛けてあたふたとしている。俺を変質者か何かと勘違いしているのか、俺が一歩踏み出すと彼女も一歩後ろに下がり、俺が二歩目を踏み出すと彼女は四歩も後ろに下がったのだった。何もそんなに離れなくてもいいだろうと目の前の女の子を見た俺だったが・・・・

「えええええ、ええっと、あ、あああ、あの!こ、この学校の生徒じゃないですよねっ?」

 おどおどしながら俺のほうを見てくる。一応というより・・・着の身着のままこの世界にやってきたのだから必然的に着ている服は俺が通っていた高校の学ランである。

「まぁ、そうですが?」

 まるで反応をうかがうように俺を上目遣いで見てくる相手にそう告げる。告げるとすぐに彼女の顔がかなり怯えているような表情になった。

「こ、ここは部外者立ち入り禁止の場所ですよ!そ、そんなことはこ、この学校の生徒会長であるわ、私が許しません!」

 この学校の生徒会長と思われる人物が声を大きくしてそんなことを言ってくる。いや、生徒会長うんぬんより正直俺だってこんなところに来たくもなかったわい!

「ええっと、俺も別に来たくなかったんだが・・・それよりあんた、生徒会長なんだろ?ちょうどよかった。俺、校長先生に用事があるんだが・・・・」

「み、身元不明の人をこ、校長先生様にお会いさせるわけには行きません!」

 思い切り俺を拒絶するかのように両手を振り回す。

「あ〜ええっと、住所は・・・・」

 フレアとネリュさんの家の住所を言えばいいのだろうが・・・・残念なことに昨日の今日のでそんな住所を聞いているはずが無い。相手は掛けている眼鏡をつまんで待っている。

「・・・・・とりあえず、地下だ」

「そ、その間が怪しいんです!」

 俺がそう告げると彼女はさらに怪しげな・・・・いや、それより俺を完全なる

「変質者」として認識してしまったようだ。懐から杖を取り出して俺に向ける。おお、やはりこの世界では杖を使って魔法を出すのか・・・やっぱり俺も杖を探そうかな?と思っている場合でないことを俺は悟った。あわててその場から飛びのく。

「あぶねぇじゃねぇか!」

「あ、危ないのはあなたです!こ、こうなったらこの学校の中でもっとも強い私があなたをこ、ここから追い出します!」

 かわいらしく言葉をかみながらそう俺に断言してきた彼女はどうやら有限実行派のようだ。杖を俺に向けて彼女はなにやら呪文をすばやく呟いた。そして俺はというと、肉食動物から逃げるような気分で走り出した。相手はいきなりのことで判断し切れなかったらしく、魔法を別の場所にぶつけ、その後に俺を追いかけてくる。鬼ごっこの始まりである。


今回ははちゃめちゃな人物が現れました・・・いや、まぁ、色々とあるんですけどね。さて、今回の小話は作者が経験したことですが・・・夜、木刀をふっているのですが、そのときに西の方向を向いていたら・・・金色に輝いている星のようなものを見つけたのです。それを見ながら振っていると、なんともまぁ、それが不規則な動きをして動いていたのです。最初はなんだろうかと思ったのですが、今のところ自分の中ではUFOではないのか!?という結論に至っています。読者の方が信じる、信じないは別なのですが・・・・まぁ、去年の今頃にあった出来事です。UFOみたいなものを見たことがあるよぉ〜というひとがいましたら信じてもらえると思います。とまぁ、今回はこんなところで終了です。次回は生徒会長との対決と校長との邂逅です。

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