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A:”真”と”偽”

さて、今回は主人公の親友、瑞樹の紹介です。瑞樹:成績優秀、運動神経抜群、顔よし・・・と、基本的には欠点がないような人物だが、ちょっとマニアックな性格であり、零時の幼馴染でもある。

二、

「なぁ、あんたの本名はなんて言うんだ?」

「え、な、名前ですか?」

 きょとんとした表情でこっちを見てくる。そして、少しばかり顔が赤い。

「ああ、名前・・・もしかして名無しさんか?」

「あ、あのう・・・あなたの世界じゃ、偽名とか使わないんですか?こちらの世界じゃ、基本的に偽名を使っているんです・・・」

「偽名?ああ、使う人もいるかなぁ?瑞樹がラブレターをもらったときは相手の女子生徒が瑞樹の反応を確かめるために他人の名前を偽ってたっていってたっけなぁ?とりあえず、基本的には本当の名前を相手に教えるぞ?」

「あ、そ、そうなんですか・・・あのですね、それならあなたの名前を教えて欲しいんですけど・・・それがこの世界での礼儀なので・・・」

 この世界では礼儀としては名前を聞いたほうから名前を名乗らなくてはいけないらしい。いや、そういえば俺たちの世界でもそんなもんだけどよ・・・

 しかしまぁ、さっき話したときはきちんと伝わっていると感じたのにやっぱり文化とかそういうのが違うもんなんだなぁ・・・これも一種の旅行かもしれないな。

「俺の名前は剣山零時だ」

「ツルギヤマ?剣山さんって呼べばいいんですか?」

「・・・やっぱり、零時でいい」

「わかりました。零時さんですね?その、ご趣味は?」

 ぽーっとした表情で俺のほうを見てくる。趣味か・・・

「趣味は機械いじりだ・・・」

「キカイ?キカイって奇怪ですか?」

「あれ?この世界に機械って言葉無いのか?あ〜わかんないのなら・・・そうだなぁ、機械って・・・とりあえず、“人が造ったもの”をいじることだ」

「ひ、人が造ったものをい、いじること!?」

 ぼんという音が隣から聞こえてきたのでそちらのほうに目をやるとめちゃくちゃ顔を真っ赤にして目を瞬かせている女の子の姿があった。

「何?どうしたの?」

「あ、い、いえ・・・その、い“ぢ”ることがお好きなんですよね?」

 口に右手を添えて上目遣いでこちらを見てくる女の子・・・いじるのアクセントがい“ぢ”ると何故か聞こえてしまった・・・

「・・・いや、その言葉だけ聞くとなんだかおかしいぞ・・・それより、こっちの名前を教えたんだから偽名じゃなくてきちんとした名前を教えてくれよ」

「だ、誰にもこの世界の誰にも私の名前を教えないですよね?」

 そりゃ、教えるにもこの世界に知り合いは目の前の女の子しかいない。初めてこっちに来たのに俺のことを知っている奴がいて俺が知っている奴がいたらこの異世界との交流が発展するかもしれん。だが、俺の知り合いにはまだ

「異世界に引越しした」というひとはいないなぁ・・・

「教えない。約束する・・・」

「約束ですよ?」

「わかってる」

 息を何度か吸ったり吐いたりを繰り返して顔の温度を下げると潤んだ瞳を俺に向けて言った。ここだけだとなんだか告白シーンみたいだな。


「あの、やっぱり恥ずかしいんで耳を貸してくれませんか?」

「・・・ああ・・・」


 この世界では名前を告げるのがそんなに恥ずかしいのだろうか?そんなことだったらきっとテストの氏名の部分で制限時間が間に合わなくなってしまうに違いない。先生に渡すときは皆して顔を真っ赤に染めるという奇怪な現象が毎回起こるに違いない・・・・

 さて、馬鹿な考えはこのくらいにして俺はかがんで女の子の口当たりに耳を持っていった。

「大声で叫ぶとかそういうことはなしな?」

「わ、わかりました・・・」

 以前友達から

「ちょっと耳貸して」といわれたので耳を持っていったら大声で叫ばれたことがある。そのときはその相手を我を忘れてボコボコにした思い出があるのだが・・・・まぁ、あれだ。この子はきっとそんなことしないだろうが念のためだと思って告げたのである。皆、そんなことしちゃ駄目だぞ?

「・・・・ァイ・・・」

「アイ?アイーン?」

「も、もう一度いきますね?」

「ああ・・・」

「・フ・・シャ・・ン・・」

「・・・・わからねぇなぁ・・・」

 俺の頭の中では

「ふはははは!シャイニン○・フィン○ー!」という意味不明な文字が出てきたところだった。

「もう!フレア・シャイン!フレア・シャインですっ!」

「ぬがぁ!」

 思い切り耳元でそういわれたために俺はにげるようにして女の子・・・フレア・シャイン・・・から離れたのだった。

「いったたた・・・・大声で叫ぶのなしっていっただろ・・・」

「あ、す、すみません・・・約束破っちゃいました」

「まぁ、聞き取れなかった俺も悪いんだけどな・・・」

 耳をさすりながら立ち上がってフレアの方を見る。

「フレアか・・・いや、フレアちゃんか?」

「い、いえ・・・フレアと呼んでください・・・・お願いします」

「わかった」

 未だに顔が心なし赤い女の子を促すようにして森の道を歩き始める。フレアのおかげで不安は既になくなってはいないが、かなりなくなった。

「フレア、王都までどれだけかかるんだ?」

「ええと、一時間ほども歩けばもんにたどり着けます。それから役三十分ほど歩けば私の家にたどり着けますよ?」

 一時間三十分も歩けるだろうか?俺、眠いんだけど・・・と思いながらも隣にいるフレアがまったく眠そうにしていないところを見るとなんだか年上として情けない気が・・・

「なぁ、フレアって何歳だ?」

「え、ええっと・・・高位学校初年ですけど?あ、高位学校初年って言うのはですね・・・低位学校って言うのがあって、次に中位学校って言うのがあって・・・(以下長いので省略)・・・・そんなもんです」

 つまり、そういうことなのである・・・・簡潔に説明するなら高校生ってことにしておこう。わかりづらい。歳は十六歳だそうだ。

「ああ、そうなんだ・・・それより、この世界について聞きたいことがあるんだが一ついいか?」

「ええ、なんですか?わかる範囲なら教えてあげますよ?」

「あの蛇っぽい生物を倒したときに血が流れたりしなかったんだがあれ、何でだ?」

 もしかして連中は血も涙も無いような生物なのだろうか?

「ああ、あれは・・・きっと誰かが召喚して放置したものか・・・・もしかしたらの可能性なのですが、幻覚の可能性だってあります」

「幻覚?でもフレアは現に尻尾で掴まれていたし、尻尾がなくなって湖の中に落ちたじゃないか?」

 まだ名前を呼ばれるのに慣れていないのか少々顔を赤く染めながらも彼女は考えをまとめるように静かに口を開いた。

「ええっと・・・・零時さんの世界ではそうなのかもしれませんが、私たちの世界では自然現象とかにも誰かの魔力がこめられているんです。その結果、自然現象それ自体が現実を見せ始めたりするんです。ええと、わかりません?」

 いや、わかるも何も・・・・俺にはそういうことは理解できん。というより、まだこっとに来て一日も経っていないのである。わかれといわれようが理解しろといわれてもわからないものはぜんぜんわからないのである。

 その後、ずっとそんなよくわからない話を聞きながら・・・・俺らはようやく王都の門までやってきた。

「すいません、門番さん!もう、起きてますよね?」

「ああ、シャインの娘さんか・・・」

 一人の門番(無精ひげにバンダナ。そして、短パン)が姿を現してそんなことを呟いた。

「で、そっちの御仁は誰だい?」

「えっと、こちらは私を“贄の日”から助けてくれた・・・・えっと、レンジ・D・チンさんです♪」

 わかってる。俺はわかってる・・・この世界じゃ、偽名を名乗るのは当然ってのはわかってるけど・・・なんだろう?無性にフレアのそのにこやかな顔を引っ張りたくなった。

「・・・・ああ、チンさんか・・・・この前も似たような人が来たなぁ・・・」

「ええ、チンさんです。ええっと、愛称はチンチンです」

 ああ、まるでパンダみたいな愛称だな・・・

「何も、初対面の人に向かってチンチンはないだろ?」

「・・・まぁ、いいや。シャインの娘さんがなついているのなら大丈夫な人なんだろう。ほれ、通行許可証」

「あ、どうも・・・」

 渡された紙には

「つ〜こ〜きょかしょ〜」とかかれているだけだった。ああ、なんて下手な字なんだ・・・と思う前に俺は自分がこの世界の文字をきちんと読んでいることに気がついた。まぁ、そんな些細ながらも重大なことはどうでもいいや。

「さ、行きますよ、零時さん♪」

「はいはい・・・」

 フレアに手を引かれながら俺は少しばかり小走りをしながら大きな門を抜けたのだった。既に太陽は空に浮かんでおり・・・門から先には大きな石畳の道が待ちの中央に聳え立つ大きな城の入り口までひろがっていた。

「はぁ〜すごいなぁ〜俺、城なんて松山城ぐらいしか(写真で)見たことが無かったよ」

 あと、オダギリ○ョーをテレビで見たぐらいだろうか?

「すごいですよね?あれが王都の心臓部となっているジョーキャッスルです」

 自慢げにそんなことを教えてくれているフレア。ジョーキャッスル→城城?

「なぁ、そんなことよりフレアの家はどこだ?」

「えっとですねぇ・・・こっちです、ついてきてください」

 再び手を握られながらそして、街の人たちに挨拶しながらフレアは裏道を通っていく。表街道ほどの華やかさがなくなってきて、目つきの悪そうな人たちが並々ならぬ視線を俺に向けてきたりもしたのだが・・・・フレアが知り合いだと告げると

「あんちゃん、何か入用になったら俺たちに相談しな・・・・」と瞳に危なさそうな光をたたえて俺に告げてくれたのだった。その申し出は気持ちだけもらいたいと思う。

「つきましたよ!」

「・・・」

 フレアに引っ張られて約三十分ぐらい・・・目の前に現れたのは空き地のようなところだった。公衆便所らしきものが建てられているぐらいだろうか?

「つきましたよって・・・ここ、空き地じゃんか?」

「いえ、違います・・・あそこが入り口となっているんです」

 そういって公衆便所を指差す。

「地下に私の家はあるんですよ。ええと、別に中はすごいんですよ?例え雨が降ってきても流れ込んできて溺死するってわけじゃないんです」

 そりゃ、まぁ・・・すごいね。建築物に対して疎すぎる俺にはまったく理解できないのでとりあえず、フレアの後に続いて公衆便所の扉をくぐる。そこからは下にはしごがおいてあり、はしごを下りた先には鉄の門が俺たちの行方をさえぎっていた。

「ええと、これはノックすればあきます」

 かわいらしくノックしているフレアの隣で俺は

「あなおかし・・・なんで地下に家なんか作ってんだ?」と考えていた。

「あきましたよ?」

 フレアが俺の手を引いて・・・・ようやく、何故地下に家を作ったのか理解できた。


 そこには、かなり広い大広間が広がっていたのだ。


「えっと、あと・・・・両手で数え切れないほど部屋があります」

「はぁ・・・でかいな・・・こりゃ、地上に作るのも無理か・・・」

「とりあえず、お母さんを探してきますね?寝ていると思うんですけど・・・・」

 ちょっと待っててくださいねといわれたので大広間に置かれている椅子の一つに腰掛ける。フレアは部屋の脇に置かれている階段を下に降りていった。

 大広間の天井を色鮮やかにしているのは電気らしいが・・・そうでもないようだった。何か明るい玉が天井に当たりそうであたらないという微妙なところに浮かんでいてそれが部屋を明るく照らしていた。そのほかには会議用にでも使われるのか知らないが、大広間の中央に巨大なテーブルが置かれている。椅子は左右に分かれて十個ずつあり、俺はその右の一番手前に座っている。

「なんだか自分がすごく場違いな場所にいるような気がする・・・」

 ああ、そういえばフレアはいまさら気がついたのだが、金髪だったなぁ・・・この世界じゃ、金髪が常道なのだろうが・・・俺は未だに黒髪・・・ううん、街を歩いていた人たちも心なしか、違う色の髪の毛だったような・・・・

「零時さ〜ん、つれてきましたよ!」

 間の抜けた声が聞こえ、何故か上に行く階段からフレアは降りてきたのだった。


さて、今回のお話はどうだったでしょうか?じっくり進んでいっているので物足りないなぁと感じている人もいるかもしれません。それと、題名がなんとなく、コメディーっぽくないと思っている人もいるかもしれませんが・・・実は、最終部には表と裏の話をつけたいと思っているのです。つまり、AとBの話を考えているので(勿論、主人公は零時ですが、登場キャラは変わります)一応、両方とも同じ名前にしておきたいと思ったからです。あとがきでかいていいのかわかりませんが、この小説を読んでくださった作者のかたがたがどのような小説を書いているのか少し、興味があるのでメッセージなんかを送ってくれたときに小説名も一緒に書いてくれませんか?そうすればそれを読んで評価したりメッセージを送り返したりとできると思いますので・・・・それでは、次回はフレアの秘密とフレアの母親を登場させたいと思っています。

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